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見合いmeeting with a view to marriage

作者: tetsuzo

郷土の英雄アテルイが処刑されたと伝えられる平泉の達谷窟毘沙門堂。洞窟に突き刺さったような、迫力ある外観だが、アクセスが悪く訪れる人は少ない。板敷きの仏間の奥に普段は使用することのない二十畳ほどの座敷がある。住職の冬山哲善坊は朝早くから小僧達に徹底的な部屋の掃除を命じていた。何しろ今日は東北一の大富豪、伊藤弥ェ門の嫡男一弥殿と、ミス日本に輝いた美咲嬢との見合いがここで行われるから、哲善坊の緊張も一通りでは済まない。弥ェ門は檀家総代で、毎年多額の寄進を続ける大旦那。一方の美咲は元南部伯爵家の令嬢なのだ。僧侶最高位の金襴の袈裟を身に付けると流石に緊張してくる。今年は暖冬の影響で例年だと既に散ってしまう紅葉も、今が盛り。陽光を浴び燃えるように輝いている。巨大な磨崖仏の前に金色のロールスロイスのリムジンが横付けになった。制服を着た運転手が恭しく車のドアを開けると、今をときめく伊藤コンツェルン総裁、伊藤弥ェ門が姿を表した。総髪の銀髪に顎鬚を蓄え、鶴のように痩せ、鋭い眼光であたりを睥睨する。

「家老の弥次郎はどこにおる。おいッ。肝心要の一弥は未だなのか。姫君を待たしたとあらば、ただでは済まぬ。家老のお前を何のために抱えておるのか解っておろう。即刻迎えに出ろ!」「へ、へい。只今」

齢八十の老僕弥次郎が転がるように門前の坂道を駆け下り、大声で叫ぶ。

「か、一弥様ぁ!早くしてくだっせえェ〜」

樹林帯の奥からぐわオ〜、ぐわオ〜という恐ろしい唸り声が聞こえる。

「く、熊?助けてけろ」

「落ち着けェ。じい。わしじゃ。一弥只今参上」

身の丈三mは優に超す、獰猛な巨大羆に跨るは、真っ赤な着物をはだけ、毛むくじゃらの胸や脚を露わにした一弥。ゆっくりと弥ェ門の前に熊に乗ったまま罷り出る。

「親父。今参った」

「う、うつけものメが!貴様なんという格好をしておるのじゃ。本日はお前の晴れの見合いの日である。そのようなナリでは姫君が逃げ帰ってしまうのは必定。お前ワシに恥を掻かせる積りか」

「ててご。ご安心召されよ。幾らうつけと謂われるワシでも、このままの姿で見合いの席には出申さん。キチっと着替える。じい。わしは湯に浸かり着替える。湯浴みの準備を致せ」

「へッへい。然しながらこの地は人里離れた山奥の御堂。左様なことを仰られても、俄かに準備は致しかねます」

「お前口答えする積りか。ごたごた抜かさず、有り合わせのもので良い。はよ支度に掛かれィ!」手伝いに来ていた伊藤家の郎党数十人が大童で寺から大釜を借り受け、磨崖仏の眼前に岩石で竈を設え、谷川より水を汲んで、釜湯の用意をする。一弥は素っ裸になると、ざんぶと釜湯に飛び込み叫ぶ。

「者共!わしを洗え!」

郎党共はてんでに一弥を取り囲んで、藁縄を丸めて全身を洗い清める。ただちに床山が大銀杏の髷を結う。美装係りが化粧を施し、衣類を整え一弥に着せる。待ちかねた弥ェ門は既に座敷に入っている。ド派手な衣装に身を包み、一弥はどっか、どっかと歩いて弥ェ門の隣に胡座をかいて座る。

「一弥。遅いでないか。姫君はもうすぐ到着なされる」

「丁度良かんべェ。待たずに済む」

「ほお、威勢が良いの。最後までやりとおせよ」

玄関先まで出迎えに出た哲善坊が慌てふためいてよろめき座敷に入った。

「た、た、只今南部伯爵ご令嬢、美咲様ご、ご到着で御座います。一同頭が高こうござる。平伏しお迎えくださりませ」

女中頭に手を引かれ、艶やかでセクシーな衣装に身を包んだ美咲様が現れる。金色のキャミソールからは、豊満な乳房が覗き、ミニスカートより美麗極まりない脚が見える。神々しいまでも美しい可憐な顔。ツヤツヤに光った肌。一同呆けたように見とれてしまう。

「う、う、美しい。美し過ぎる」

普段女に眼がなく数々の美女と情を交わす弥ェ門もポケっとして口を開けたママ。

「う、うほん。私はこの御堂の住職にして、大僧正の末席を汚す、冬山哲善坊で御座います。本日は天気も宜しく、この毘沙門堂にて目出度きお見合いが挙行されるのは、愚僧の喜びとするところであります。上座にお座りの見目麗しき女性は畏くも南部伯爵家ご令嬢、美咲様でございます。対面されるは伊藤コンツェルン総裁ご長男一弥殿であります。斯様に由緒正しきご両家が結ばれますると、東北は勿論、日本全国でも極めて稀な大富豪一家となるは必定。愚僧もこの場に立ち会える幸せを噛み締めておるところで御座います。ご覧の通り美咲様は花も恥らう世界一の美貌にして御歳二十歳。胸乳高く、すらりとしましたる体躯は、希臘国のビーナスにも例えられておるので御座います。しかもプリンストン大学を卒業され彼のケンブリッチロウスクールに学ぶご才媛。謂うまでも無く南部伯爵家は名代の名家にして東北盛岡を中心に所有地三百五十万坪、東京、仙台、大坂、京都などに百五十万坪をご所有になり、その他山林原野等は二千五百万坪、日本国屈指の大地主でございます。対する一弥殿。こちらに控えましたる弥ェ門殿は二百五十年続いたる旧家にして、豪農。近年はパチンコ、風俗、映画館、遊興施設、遊技場、賭博場、スーパー、コンビニなどあらゆる事業に手を染め、傘下二千社、総売上高三十兆円を誇る世界一の一大コンツェルンを一代にて築き上げマシたる英雄です。ご嫡男の一弥殿はお父上の事業の跡取として英才教育を受け、且つ日夜山野を徘徊し獰猛な羆をも手なずけてしまう剛のもので、身の丈六尺、ご覧の通りの美丈夫でございます。誠に似つかわしいお二人で本日のお見合いが滞りなく運んで、末永くお付き合いしやがてはご結婚となれば、この場を提供し取り持った愚僧の喜びは格別のことでしょう。暫しご歓談くださいませ」

「か、一弥。ご、ご挨拶を」

「へッ、へい。て、て、手ェ前ェ〜、か、か、か、かぁ、ウホン、一ぁ弥ぁとも、も、申ォしますゥ」

顔面蒼白、ワナワナ震えながら辛うじて言葉を発する。

「どうした、一弥。貴様程の剛のものが。普段の勢いはどうしたのじゃ。左様に震えていては、まともに話も出来ぬ。もそっと緊張を解け」

「ち、ち、父上。おら、イヤ私が生を受けて以来、こ、このような美しき女性はみ、見たことがねえ、イヤございませぬ。ふ、ふ、震えが止まりません」

「ほ、ほ、ほ。一弥殿と申されましたか、私は貴方様をとって食べたりいたしませんヨ。そんなに震えて。可愛らしいわ」

「め、め、面目ねえこったす」

手の先まで真っ赤に染めて赤面し、緊張から小便をちびってしまう。しかも巨大な音を出し放屁する。そうなるともういけない。慌てて前を抑えて屈みこむ。濡れたシミが見る間に白い和服を鼠色に染める。

「く、臭っせェ!障子と窓を開け放て!」

「一弥殿。見苦しい限りでございます。先ほど羆に跨って吠えていた勢いは如何なされた」

「情けないぞ。我が伊藤コンツェルンは純利益三兆円を超す大企業。その跡取が見合いの席でこのような醜態を晒すとは。呆れ果てる」

「お坊様もお父上様もそんなに一弥さんを攻めないでください。きっと、女性にお慣れになっていないのだと思います。さ、お顔を上げて。私が貴方の粗相を拭って差し上げます。それから着替えなさってね」

「うっ、うっ、うっ」

「あら、そんなに泣かないで。抱いて差し上げます」

「うぇ〜ん」

「バカ者!呆れ果てたる大うつけ。わしは今の今までお前がかくも意気地ない男とは知らなんだ。美咲様。わざわざお運びいただきながら、非常に恐縮極まりませんが、本日のお見合い中止とさせてください。このような恥辱に耐えられませぬ」

「それが宜しかろう。この毘沙門堂には秘仏、毘沙門天、慈覚大師作と伝える吉祥天をお祭りしておりますが、その聖域が斯様に汚されてしまったとあっては、祖師に申し訳が立たないばかりか、真の祭神アテルイ様にお詫びのしようもございませぬ。前代未聞の椿事でござる」

哲善坊は苦虫を噛み潰した表情。弥ェ門は怒りのあまり青筋をたて震えている。

「お二人ともお静まりください。一弥殿に悪気はありません。席を外してくださいませんか。私が一弥殿を立ち直して見せましょう。桂昌院、一弥殿の着替えとお絞りをこれに」

「む、元より見合いは当事者二人で致すもの。美咲様の仰せの通りにしましょう。さ哲善坊殿、ここは美咲様にお任せするしかございますまい。出ましょう」

二人が出て行っても、一弥は咽び泣き続ける。お女中頭の桂昌院が真新しい着替えをどこからか調達し運びいれる。

「お前も下がっていなさい。ここは私と一弥殿の二人だけにしてください」

桂昌院が出てしまうと深閑とした静寂な座敷に戻る。

「一弥殿。全裸になりなさい。ほら、恥ずかしがらずにパンティも脱いでネ」

「ち、ち、縮んでおりやす。こ、こ、これだけはご勘弁くだせえ」

「大丈夫よ。誰も見ていないわ。そう、私脱がしちゃオ。あら、可愛い。」

「ひっ、ひいっ。おら、恥ンずかしい」

大きな身体を捩りながらパンツを脱がされた一弥は素裸。

「今お絞りで拭いて差し上げます。汚いところアッチ行けェ」

「や、や、優しいンだぁ」

恥ずかしさと嬉しさで再び泣き顔。

「一弥さん。私のムネに縋って泣いても宜しいわよ」

「ンだばお、お言葉に甘えて」

一弥は美咲の露わになった美しい胸に顔を埋めて泣いた。

「さ、パンティ穿かせて差し上げます。あら、イヤだ。勃っておられますわよ」

「め、め、面目ねえっす。か、か、感じてスまって。おらのこげな汚ェとこさ、絶世の美女に拭いて頂き、申し訳なかトだす。ゆ、許してつかわっせい」

「あら、宜しくってよ。だって貴方と夫婦になれば、いつでも見なければならないンですもの」「め、め、メオトォ!こげな大失策やらかしたおらと、め、メオトになって下さるンでごぜえやすかぁ」

「声が裏返っているわ。私貴方のような素朴なヒト、好きよ」

「な、なしてェこげなダラシねえ男に優しくしてくれんだぁ?」

「ソレハね。貴方が純朴そのもので汚れが全くないと解ったからよ」

「ぐ、ぐすん。泣けるノォ。おら、生まれて初めてこげな優しい女性にめぐり合ったダ。それになんちゅう美しさだんべ」

「一弥さん。ちゅうしていい?」

「ちゅ、ちゅ、ちゅう?あ、あ、あの、キッスのことだんべかぁ?」

「そうよ。貴方と口付けしたくなったの。さあこちらにいらして。抱き合いましょ」

「よ、よかんべか?おらまだ服も着てねえ裸形だども」

「いいわよ。その方が直接貴方の逞しい身体に触れられるから」

二人はものも謂わずひしと抱き合い、むさぼるように口付けした。何度も繰り返し、繰り返し唇を合わせる。美咲はふと我に返る。

「い、いけませんわ。初めてお逢いした殿方と、斯様なことをしてしまいました。相済まぬことでございます」

「で、でもおらとおめはもう割り無い仲でごんす。明日も逢いてえだす」

「まぁ、すっかり元気になって。さっき緊張のあまりオモラシなさったのはどちらのお方かしら」

真新しい衣服を美咲に着せてもらい、二人は腕を組んで座敷を出る。隣の座敷で心配し、待ち侘びていた弥ェ門、哲善坊、桂昌院は二人をみて飛び上がる。

「マ、マジックか?一弥が姫君と腕を組んでおる。あのような大失態を演じた一弥は、きっと美咲様に打擲され、傷だらけの修羅場を迎えているとばかり思っておった」

「摩訶不思議でござる。しかし吉祥天のお導きやもしれぬ。南無阿弥陀仏」

「姫君。誠におめでたい限りです。姫様の襁褓のお世話をして以来、二十年。お屋敷にご奉公させていただきました甲斐があると謂うものでございまする」


「一弥さん。私クリスマスプレゼントに貴方の身の回り一式を買って差し上げようと思うの。それでお洒落になった貴方とデートしたいな」

「す、素ン晴らしいプランだす。夢のようじゃ」

「良かったら今度東京へ行きませんか?貴方もご存知な表参道交差点のアンデルセン前で待ち合わせ。12月23日の午后5時にネ。一人で来られるかしら?」

「大丈夫だす。おら、以前東京で2年程暮らしておったがや。外出の機会は少なかったけんど、そこなら解りまっす。美咲さん、おめは?」

「私、ちょっと用もございます。二十一日からあちらにおります」

「そうだがや。出来れば一緒に行かんべと思ったんじゃが」

精一杯のお洒落をし、約束の時間、表参道交差点に立った一弥。今年一番の寒さにも関わらず、流れ出る汗を拭いつつ、震えの止まらぬ脚を抑え、ワナワナ腰砕けになりそうな腰を懸命に支え、眼を細めて街に煌びやかな電飾を睨みつける。

「ま、眩しいゾイ。夜なのになんちゅう明るさだべ。そ、それにこの人ごみはなんだ。江釣子の村人全員集まってもこんなにゃいねえ。み、美咲。はやぐ来ンかい。心細ェ」

「あらぁ、一弥サンここにいたの?待ったぁ?」

「インヤ、つっとも」

「いやだわ、一弥サン。ここは東京よ。岩手弁丸出しだと恥ずかしいわよ」

「ンだか?スカス、おらほがの言葉サ知ンね」

「それにサ、大都会の真中で分厚いどてら、狸の襟巻き、狐の腹巻、腰に熊皮、足袋に下駄、それになによ、汚い手拭で頬被り、破れ菅笠。帯に鎌なんか差して。イヤっ。ド田舎者の極地。ブティックやレストランなんか入れヤしない」

「ンなこともあんめえ。おら、見合いのときのような失敗をしねえよう、股引の上サ、オシメしてきた。臭うけ?」

「バカ」

美咲は黒貂のコオト、金色のロングドレスで決め、この街中でも飛びぬけたお洒落ぶり。

「美女と野獣か。仕方ないわ。今日はこのお百姓の一弥を都会風の素敵な男性に変身させて見せる」

「ンだ。まんず、褌サ買ってケレ。二月洗ってねェもんでちいっとバカシ臭ェンだ」

「呆れた。これほどヒドイとは思わなかったわ。でも遣り甲斐がある。近くに私いきつけのエステがある。そこ行きましょう」

「え、え、エズテって何のこっだス?」

「いいから。私についてきて」

美咲は汚すぎる一弥を人目に触れぬよう隠しながら、ゲランのエステに出むいた。

「先生。申し訳ございません。この人、今朝岩手の山奥から出てきたばかりの野獣のような男です。サウナで徹底的に洗い、ヘアカット、脱毛、ネイル、全身エステを施してください。不潔で相すみません。百万円用意しました。すべすべのシティボーイに仕上げてください」

「いやぁ、私もこの世界に入り三十年になりますが、これほどヒドイ不潔な男性は初めて。他ならぬ美咲様のご用命とあらば。宜しゅうございます。私の名誉にかけて、超一級の男に変身させましょう」

「宜しくお願い致します。施術時間を利用して、着るものを調えてまいります。今着ているものは下着も含め、全て粗大ゴミとして処分してください」

「み、美咲ちゃん。おら、こげな処でひどりぼっちになるのコワイ。いがねえでけろ」

「だめ、だめ。少しの時間我慢しなさい。貴方は顔つきや身なりに反してとっても気が弱い。先生。この人緊張すると、すぐオモラシしてしまいます。お気をつけあそばせ」

嫌がる一弥の衣服を全部剥ぎ取り、全裸にしてサウナに押し込むと、美咲は買い物に走った。普段は使わぬ地下の洗濯槽に投げ込まれ、屈強の5人の男に抑えられ、強力洗剤をつけたたわしで全身を隈なく洗われる。口や耳、臍から尻の穴の中まで、洗剤が注入され洗浄する。超音波洗浄も行われた。

「ひ、ひいっ。鼓膜が破けちまう。ケツの穴がいてえ」

「我慢しなさい。こびり付き、沁みこんだ汚れが落ちないわ。危険ですが止むを得ません。苛性ソーダを入れましょう」

「何!無茶すんな!死んじまう」

「漂白され色白になります。いいから続けなさい」

攪拌機で泡立てられ、洗濯槽は泡で満たされ、強烈なソーダの悪臭が漂う。ついで極太の消防ホースから冷水を多量に叩きつけられた一弥は真っ白け、つるんつるんの肌に変った。全身エステを受け、ヘアを今風にカットして貰ったたころ、大量の買い物を終えた美咲が戻って来た。

「あら、一弥さん。随分綺麗になったのね。さ、着るもの買ってきました。着てください」

「そうですか。大変ご造作かけました。有り難く頂戴いたします」

「あれっ。言葉付きが変った?」

「左様です。岩手弁は封印致しました。今後はシチージェントルマンとして振舞わせて頂きます。さ、このパンティより穿かせて頂きます。カルバンクラインのシルクですか。穿き心地が大層宜しい。シャツと上着はアルマーニですね。コートとマフラーはフェンディ。あれ、このペンダントと指輪も買って下さったのですか?」

「はい。素敵な貴方を演出するため、全てを整えました」

「お、おら、イヤもとい、私の財布は?」

「ここにあるわ。ブルガリよ」

着替えて大きな姿見の前に立つ。

「こ、こ、これが私ですか。全く想像を絶する。以前のボクは何処行った」

「素敵よ。素晴らしいわ。腕を組んでエスコートしてくださらない」

「喜んで」

気取った素振りで腕を組み、にこやかに微笑んでエスコートする一弥。誰もこの男が先ほどまで、身体中に野獣の毛皮を纏い、強烈な悪臭を放っていた野蛮人とは気が着かぬ。

「竣工なった表参道ヒルズにちょっと顔をだしませんか」

「いいわね。そのあとやはり最近開店したパリのクロエのショップでお買い物。お食事は宮下なんかどう?」

「いいプランです。美咲ちゃんとっても可愛いから、クロエきっと似合うと思うよ。それに宮下は個室だから、仲良くできるものネ。そのあとマンダリンホテルのスウィートに泊まりましょう。一晩中キミを離さないよ」

「あら、一弥さん、いつの間にそんな知識身に付けたの?」

「いや、実はネ、美咲。B山先生が毎日都会の最新情報を伝えてくれているから、自然に精しくなったのサ」


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