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第9話:感情の信号、点滅中

翌朝。

のぞみは、今日も教室の自席で時刻表を広げていた。


「今日の感情ダイヤは、信号点滅中。赤でも青でもない、黄のまま止まっている」


(昨日の“車内アナウンスで探すしかない”って……あれ、天然爆弾すぎるでしょ。

しかも北斗くんは“ダイヤは詩”とか言ってくるし……私の感情、文学と放送で同時に揺れてるんだけど!?)


そこへ、噂をすれば北斗がやってくる。


「速杉さん、昨日の“短歌ビート”の話、すごく面白かったです。

僕、感情の揺れって、韻律に似てると思ってて……」


「ちょ、やめて!私の心拍数、今“七・七・七”で暴走してるから!」


北斗は笑って言う。


「じゃあ、今日の放課後、鉄道研究会の資料整理、手伝ってもらえますか?

“感情の乗り換え案内”の特集、作りたいんです」


(やばい……この人、私のこじらせ鉄道脳に、完全に乗り入れてきてる……!)



昼休み。

のぞみが廊下で自販機を眺めていると、迂闊が隣に立つ。


「なあ、のぞみ。俺さ……最近、時刻表ちょっと読めるようになった」


「えっ!?迂闊くんが!?」


「ああ、北斗の“感情MAP”見てたらさ……なんか、俺も乗り遅れたくないなって思って」


(え……こいつ、私の感情に合わせてダイヤ改正しようとしてる……!?)


「ほら、やるよ」


迂闊は道端の自販機で買ったペットボトルのお茶の一つを私に渡しながら言う。


「あ、ありがとう……」


「ねえ、迂闊くん」

のぞみはキャップを開けながら、不意に尋ねる。

「いきなりだけど、迂闊くんって、将来何になりたいの? 夢とかってある?」


迂闊は、ペットボトルを握りしめたまま、少し目を逸らした。

「んー……なんだろな。まだ、話す定刻じゃない、かな」


「え?定刻?何それ」

「だって、まだその路線の工事中なんだ。時刻表に載ってない予定を、フライングで教えるわけにはいかねーだろ?」


「あ、そう……」

のぞみは、迂闊が真剣な話を時間や鉄道の言葉で曖昧にすることに、少し戸惑いを覚えた。


「ところでさ……」


「なに?」


「俺さ、のぞみの“好きかも駅”がどこにあるか、まだわかんないけど……

とりあえず、俺の路線、そっち向きに走らせてるから」


「……うるさいな。信号、まだ黄だから。

勝手に進行方向決めないでよ……!」



放課後。

のぞみは、鉄道研究会の部室で、北斗と並んで資料を整理していた。


「この“感情の乗り換え案内”って、すごく面白いですね。

“初恋=八高線”“失恋=久留里線”“両想い=湘南新宿ライン”って分類、秀逸です」


「……それ、私が夜中にこじらせながら書いたやつだから!

あんまり真顔で褒めないで!恥ずかしいから!」


北斗は微笑む。


「じゃあ、僕は“両想い”駅に向かって、湘南新宿ラインで並走しますね」


(やばい……この人、私の感情に直通運転してくる……!)



帰り道。

のぞみは、ひとりで歩きながら、信号機の点滅を見つめていた。


(私の感情……赤でも青でもない。

でも、黄って……“注意して進め”って意味なんだよね)


のぞみは、そっと時刻表を閉じる。


「……進行、注意。

感情の信号、点滅中。

でも、次の駅……ちょっとだけ、楽しみかも」




【今週の鉄道豆知識】恋の路線図、作ってみよう!


今回の「感情の乗り換え案内」、みんなの心には響いたかな?


初恋=八高線: 都心から離れ、少しずつ風景が変わっていく八高線。これから何が起こるんだろう?っていう、ドキドキの初恋にぴったりだよね。


失恋=久留里線: 利用者が少なくなり、終着駅でぷつりと途切れる久留里線。もう先に進めない、そんな切ない失恋の気持ちを表しているのかもしれない。


両想い=湘南新宿ライン: 湘南と新宿を一直線に結び、安定して走り続ける湘南新宿ライン。安心して隣にいられる、そんな「両想い」の気持ちにそっくり!


みんなも、自分の気持ちを鉄道に例えてみると、意外な発見があるかも?

私もこれから、色々な路線に「感情」を乗せてみようと思います。

ではまた次回!



次回予告

次回、「感情ダイヤは点検中」。

放課後の並走中、迂闊の妹が急接近。

しゃべらないのに、空気を全部持っていく?


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