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第29話:るいくん、乗車確認

翌日の放課後。のぞみの家。

ひよりがるいを誘い、のぞみの部屋に五人が揃う。


そして、家の玄関が開いた瞬間——


「きゃあああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」

のぞみ新幹線が感情の最高速度でホームに突入した。


「おい、そこののぞみ新幹線!

速度制限守れ!」

迂闊のツッコミが、構内アナウンスばりに響く。


「ごめん……ちょっと私の感情のぞみ号が暴走してた……」

のぞみは床に崩れ落ちながら、非常ブレーキを引いた。


「なにこの天使!え、え、え、るいくんってこのるいくん!?

このふわふわ!?

この透明感!?この小動物感!?

このバーチャルユーチューバー感!?

この萌えの具現化!?」

のぞみの非常ブレーキは、どうやらイカれているらしい。


そんなのぞみを他所に、るいは少し戸惑いながら、両手を胸元でそっと重ねて微笑む。


「えっと……はじめまして。るいです。

あの……僕、こういうの慣れてなくて……でも、よろしくお願いしますね。えへへ……」


「えへへじゃないよ!

その“えへへ”で何人落ちると思ってんの!?」


「のぞみ、落ち着けって!」

迂闊が制止するが、のぞみはるいの周りをぐるぐる回っていた。


「この子、旅に連れてったら絶対ニンスタ映えしまくるやつじゃん!

駅のホームで風に吹かれてるだけで絵になるやつじゃん!」


「えっと……風、強いと髪がわしゃわしゃになっちゃうので……あんまり得意じゃないです……」

るいが小声で言うと、のぞみは床に崩れ落ちた。


「くぅ〜! その弱点すら愛おしい……」


「なあ……のぞみ?」

そんなのぞみのテンションに水を差すように迂闊がぽつりと呟く。


「え、どうしたの?」


「るいって誰かに似てるんだよな……」


「誰かって誰よ?」


「わからん」


るいは、静かに香りのノートを開いていた。

その表紙には、淡い花の模様が浮かんでいる。


のぞみが、興味津々に身を乗り出す。


「ねえ、それ……るいくんの?」


「はい。姉からもらったんです。

昔、姉が詩を書くためによく使ってたノートで……香りが残ってて、なんとなく落ち着くんです」


「へぇ……お姉さん、詩とか書いてた人?」


「……はい。誰にも見せないような詩を、こっそり綴ってました」


その言葉を聞いた瞬間、迂闊の手が止まった。

視線が、るいのノートに吸い寄せられる。


「……香りのノート、詩、姉……」

迂闊は、何かを思い出しかけていた。

けれど、言葉にはしなかった。


そのとき、るいがふと迂闊の顔を見つめる。

じっと、何かを探すように。


ひよりが気づいて、るいの袖をちょんと引いた。


「ひよりちゃん、どうしたの?」

るいがひよりのほうを振り向くと、ひよりは口に咥えたポッキーで迂闊の方向を指す。


「え、いや……なんでもないよ」

るいはそう言うと、迂闊から目をそらし、香りのノートをそっと閉じた。


一方、迂闊は何かを思い出すように、窓の外を見ていた。


「え……どゆこと?」

のぞみはそんな二人の空気に少しだけ違和感を覚え首を傾げる。

でも、誰にも言わなかった。


ただ、心の中で——

「この旅、何かが動き出す気がする」

そう思った。



次回予告

次回、「恐怖の山手線ゲーム」。

駅名しばりで、勝者が旅の行き先を決める!?

でも、詰まった瞬間——赤面確定の罰ゲーム行き!

罰ゲーム有りの恐怖の山手線ゲーム。

のぞみ、玉砕覚悟で発車します!



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