第5話 猫語翻訳アプリを試してみた
登場人物(と猫)
サチ(マンチカン)
とても臆病な短足短毛の子。ユーの親戚だが一番仲が悪い。幸せを呼ぶ鍵しっぽを持つ。
他の猫と相性が悪く(この子は多頭飼いがそもそもダメなのかも…)いつもみんなと喧嘩をしている。
粗相が酷く、監獄生活が多い。
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第5話 猫語翻訳アプリを試してみた
皆さんは動物と話してみたいと思ったことは無いだろうか?
私は子どもの頃から猫の言葉を理解し、猫に自分の言葉を伝える事を想像してきた。
もしそれが出来るなら、辛そうにしている子に「何が辛いのか?」と聞いてあげることも出来るし、逆に「君が大好きだけど今は手が離せないから待ってて」って伝えることも出来る。
もっともユー様のような王様気質の子には言葉を伝えたところで、
「ふ… 我が好きならば我との遊びを優先するが良い。」
とか言ってきそうだけどもーーー
さて、みなさんも一度は「猫語翻訳アプリ」なるものを見かけたことがあるのでは?
そんな飼い主さんなら既に試しているかもしれないけれど、今回ついに私も導入してみたのだ。
じゃららじゃっじゃら~
猫語翻訳アプリ!!
とはいえ、猫って言葉を発するのが苦手な子が多い。
うちでよくしゃべるのは “可愛い至上主義のあざと猫” ノンちゃん、
“お前の手足はどこにある!?監獄猫” サチくん、
“破壊神ベイビー” ルイくん、の3匹くらいだ。
まずはルイくんで試してみる。
最近は私のそばで壁で爪とぎしたり、引き戸の端についてあるゴムの緩衝材を1つずつ外し続ける可愛い顔をした悪魔(家って高いんだからな!!)。
堂々と家を破壊するこいつの頭の中をぜひ見てみたい。
「ルイく~ん、何か言って~」
アプリの音声聞き取りボタンをポチッ!
「ぐるにゃ~ん」
(悪魔の癖に声は甘えん坊め…)
---音声解析結果---
遊ぼ―よ!!
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お前! 家破壊しててそれを言うのか!?
「とりあえず、家壊すの止めよ~ね。」
私はルイくんの頭をひとなでして、今度はノンちゃんの所へ向かう。
* * *
「ノンちゃ~ん」
ノンちゃんは人の顔を見ると、床にお腹を出して寝転がり、こちらを見る。
(やべ! 来るぞ!!)
アプリの音声聞き取りボタンをポチッ!
「にゃーーーん」
---音声解析結果---
どぉ? 私可愛い? 触って良いよ。
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………
「うん。 お前はそう言ってるって分かってた…」
私はノンちゃんのお腹を少しモフモフして、最後のサチくんの元へ行くーーー
* * *
実は今回、一番この子の気持ちを知りたかった。
冒頭の説明の通りサチくんは何故かみんなにいじめられている。
檻から出すと粗相をし、他の猫たちにも追いかけられる可哀想な子だ。
まともに触れる事が出来る人も限られていて、危険極まりない存在でもある。
「サチくん。 何か言ってみて。」
私はサチくんを撫でながら話しかけてみた。
アプリの音声聞き取りボタンをポチッ!
「にゃーん にゃーん」
鳴き声は透き通っていてとても可愛らしい。
粗相さえしなければ、こんないい子はいないのに…。
---音声解析結果---
おらぁ! かかってこいや!! ビビってんのか? チキン野郎!!
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(これ、実話ですからね! 一切盛ってませんからね!!)
「… … …」
私は黙って、アプリをアンインストールした…




