第4話 溺れるほどに好奇心
私---瀬田川由比は幼少の頃から猫と一緒に過ごしてきた。
野良猫を拾ってきては飼い、母猫が子猫を出産する時に立ち会ったりもして来ている。
本当の研究者や専門的にやってきている人には当然勝てないとは思っているが、猫の事はかなり知っている―――つもりだった。
我が家に来た猫には一つ儀式がある。
それは、お風呂だ。
ペットショップやブリーダーから譲り受けた猫は最初、それぞれ住んでいた場所でシャンプーをしていたり、もしくは洗った事すらない子もいたりする。
…という事はどういう事かと言うと、猫吸いをしても自分好みの匂いがしない事があるのだ!!
なので私は猫を迎え入れたらなるべく早めにシャンプーをしたい―――
しかし、ここにも問題はある。
猫は基本的に濡れる事を嫌うのだ。
中には猫生で一度もお風呂に入らない子すらいるのが相場である。
その代わり、グルーミングと言って自分の体を舐めて綺麗にしているらしい。
その時にいらない毛を巻き取りやすくするために猫の舌はザラザラしているという説もある。
要約すると―――
お風呂に入れたいがルイがどれだけ拒否反応をするのか予想できない!!!
そんな事を悩みながら私はテレビゲームをしていた時だった。
ガタガタガタ!!
リビングの外で大きな音がした。
私は驚いて、ゲームの手を止め、廊下に出た。
ユーとキーがお風呂場から出てきて、私の顔を見るなり急いで逃走をした。
えっ… 何怖い。
そう思いながら私は脱衣所に入る。
脱衣所は何故かびちゃびちゃになっていた。
脱衣所からお風呂場に行くアコーディオンドアがわずかに開いている…。
締めたはずなのに…。
緊張しながらそっとアコーディオンドアを開き、お風呂場を見ると―――
浴槽の蓋がどかされて…その中に必死に顔だけ出して呼吸をしているルイの姿が!?
「ひぃぃぃ!」
悲鳴を上げながらルイを救い出すと、ルイは濡れた体のまま浴槽を飛び出して家中を駆け回った。
「ちょ!」
私とママは空拭きの雑巾とタオルを持ってルイを追いかけるが…
興奮したルイは中々捕まらない!!
やっとの事でルイを捕獲し、体を拭いてあげ、体が冷えすぎないよう温めてあげる。
---のにこいつは人の気も知らずに「離せ! 離せ!!」と主張するかのようにジタバタしていた。
長年猫と生活をしてきた私だが、このようにお風呂の扉を勝手に開けて、浴槽の蓋をどかして勝手に溺れる猫は初めてだ。
冒頭の説明通り猫は濡れる事を嫌う。
もしかしたらショック死する子もいるレベルと言うのに…
ルイがおかしいのかノルと言う猫種の特性なのかは分からないが…
猫を飼うみなさん、奴らに過去の経験則は当てになりません!!
常に未知の小悪魔だと思って接せねばヤラれますのでご注意を!!
※猫はお風呂を強く嫌がるので無理に入れるのは危険です。…でもうちのルイは勝手にダイブしました。




