第11話 毛づくろいの好き嫌い
うちの猫たちはサチ以外の子はみんな長毛である。
長毛の子というのは見た目がふわふわで可愛らしく、触り心地もかなり良い。
しかし、その分毛が飛び散り易く、毛玉もすぐに出来る。
本当は毎日毛づくろいをしてあげるのが良いらしいが時間的に難しく、世田谷家では3日に一回位と毛玉を見つけたらその都度処理する程度に留めている。
今回は、その毛づくろいをしてあげる予定の日だ。
サチの場合---
この子の毛づくろいはほぼ不可能である。
やるなら厚手の手袋と長袖を着けていないと大けがをする。
ペットトリマーに連れて行っても断られるレベルで、やるなら動物病院へ行って麻酔を打ってからやるしかないが、そこまでするとサチへの負担が大きくなりすぎる。
サチは短毛なので本当にそこが救いだ…。
ノンの場合---
お洒落好きで、自分が可愛くあり続ける事に余念が無いノンの毛づくろいは素人でも出来る位楽である。
ノンは人間用の柔らかい櫛が大好きで、置きっぱなしにすると自らその櫛に体を擦り付けたりもしている。
私がやってあげようとするとやりやすいように頭や体も動かしてくれるのでとても作業がしやすい。
…が、好きすぎて一度始めるとなかなか終わらせてくれない…。
「ノンちゃん… もう、綺麗だから。」
「にゃーん」(めちゃくちゃ甘い声で)
再び毛づくろいーーー
「もう完璧だよーーー…」
「にゃーん」(めちゃくちゃ甘い声で)
… … …
とエンドレスに続く。
一度始めるとエンドレスになるので、どこかでノンちゃんの可愛さに対して心を鬼にする必要だけはある。
キーの場合---
キーも毛づくろいは好きである。
この子もノン同様に毛づくろいは好きで比較的素直にやらせてくれるが、この子は綺麗より遊びたがる。
やっている途中でもルイが近くに来て遊びだすと突然駆け出していく。
なので、ほとんど逃げたりはしないが、一応押さえつけておく必要がある。
ルイの場合---
毛づくろいは好きでも嫌いでも無い子。
大きな体でドテッとしているので範囲が広くて大変だ。
ついでにルイは無抵抗なのでこれはこれでやりやすい。
もっとも、何か気になる事があると、毛づくろい中でもお構いなしで勝手に移動していく。
かといって押さえつけると理由も分かっていない癖にただ、抵抗をしたがるので、ルイは動き出すまでは平和だ。
もっとも力が強いルイが暴れ出したらもう手に負えないが…。
そして一番やっかいなユー国王様の場合---
ユー様は瀬田川家の猫の中で一番厄介である。
毛並みはふわふわですぐ絡まりやすく本来は毎日でもしたいのだが、ユー様は毛づくろいを凄く嫌がる。
毎回喧嘩になるのだ。
しかもユー様は力は無いが動きが素早い。
「こら! ユー!! 良い子にしなさい!!」
「にゃーーーーー!!」
(めちゃくちゃじたばた)
押さえつけて毛づくろい…。
しかし、油断をすると体をひねって…
ダダダダッ!(逃走)
その後しばらくして遠くからノンちゃんの叫び声がして向かうとーー
ユー様はノンちゃんに八つ当たりをしている。
「こら! ユー!!」
… … …と言うようにユー様の毛づくろいは他の猫に被害を及ぼすレベルの大惨事となる。
ユー様とサチのこの兄弟は本当に…大変だ




