表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100ものアレルギーを持つ男  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第一章 触れられない恋
8/12

第8章 閉ざされた心の扉

夜の静けさの中で、陸は自分の部屋の窓の外を見つめていた。

 外は深い闇に包まれているが、彼の心はもっと深い闇に閉ざされていた。


 「好きになりたい。でも、好きになれない」——

 その矛盾が、彼の胸を締めつける。


 幼い頃から積み重ねられた恐怖と孤独が、彼の心の扉を堅く閉ざしていた。

 誰かに触れられること、近づかれることが、命に関わる恐怖を呼び起こす。


 楓がそばにいても、彼は一歩引いてしまう。

 その優しさが、逆に痛みとなって返ってきた。


 「ごめん、楓……僕はまだ、君に応えられない」


 電話越しの彼の声は、震えていた。

 「でも、君のことは大切だ。だからこそ、遠くにいるんだ」


 楓は黙って聞いていた。何も責めず、ただその言葉を受け止めた。


 「陸くんのペースでいい。急がなくていい。私は待つから」


 その言葉は、彼の心に少しだけ灯りをともした。


 ***


 翌日、陸は研究室でひとり、試験管を見つめていた。

 心の扉はまだ閉じたままだけれど、どこかで、その扉を開く鍵を探しているようだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ