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100ものアレルギーを持つ男  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第一章 触れられない恋
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第7章 心のバリア

研究室に戻った陸は、胸の奥に何かが引っかかっているのを感じていた。

 楓と交わした約束は確かなものだった。だけど、体が許さない感覚が、どうしても拭えなかった。


 「好きになってはいけない」——

 それは彼の心のバリアだった。


 過去の痛み、拒絶、絶え間ない孤独。

 陸は何度も心にその壁を築いてきた。傷つかないために、誰も近づけないために。


 楓はいつもそこにいるのに、彼は自分を守ろうとして距離を置いた。


 「……僕は、君に触れられると死ぬかもしれない」


 陸の声は震えていた。

 「それでも、君は僕のことを見てくれる?」


 楓は静かに頷いた。


 「私は陸くんの体じゃなくて、心を見てる。君の痛みも、不安も、全部。たとえ触れなくても、私はここにいるよ」


 その言葉は、陸の心の硬い壁に、少しだけ亀裂を入れた。


 ***


 ある日、楓が小さな箱を持ってきた。中には手作りのマスクと、香料無添加のスキンケア用品が入っていた。


 「陸くんが安全に過ごせるように、少しでも役に立ちたい」


 彼女の優しさに、陸は涙をこらえた。


 「ありがとう……楓」


 彼の心はまだ完全には開かない。けれど、確かに彼女との距離が縮まっていくのを感じていた。


 心のバリアはまだ厚いけれど、二人の絆は、少しずつ、ゆっくりと紡がれていった。


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