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100ものアレルギーを持つ男  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第一章 触れられない恋
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第6章 傘の下の約束

雨はまだ、しとしとと降り続けていた。

 病院の窓から見える街路樹の葉が濡れ、黒く光っている。


 「もう、あんな無茶はやめてくれよ」


 ベッドに座る陸に、宮坂楓は優しく諭すように言った。

 手に持ったビニール傘を彼の前に差し出しながら。


 「……わかってる。でも、君が……」


 陸は言葉を探した。

 「君が素手で僕を助けてくれた。あの時、初めて怖くなかった。触れられても、命が危ぶまれても……」


 楓は静かに微笑んだ。


 「私たちは違う世界にいるけど、同じ空の下にいる。陸くんの命は、私にとって宝物。だから……」


 彼女は差し出した傘をゆっくりと陸の頭上に開いた。


 「これからは、ずっと一緒に歩こう。雨の日も、晴れの日も」


 陸の瞳に涙がにじんだ。

 「ありがとう、楓。君がいるなら、どんな困難も乗り越えられそうだ」


 ふたりは病室の窓の外を見つめた。雨はまだ止まないが、心の中には静かな光が差し込んでいた。


 ——命を守るための距離は、

 ——でも、心はもう、寄り添っている。


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