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100ものアレルギーを持つ男  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第二部:春風と柴犬の名前
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プロローグ:春がきた


 春風が頬を撫でる季節。

 陸ははじめて外の空気を“怖くない”と感じた。


 花粉症用の眼鏡もマスクも、今では予防程度。

 薬と心の回復は、確実に彼を自由へ導いていた。


 そして——

 陸は、柴犬と暮らすという新しい夢を叶える準備をしていた。


 きっかけは楓がスマホで見せた、1匹の小さな柴犬の写真。


 「この子、保護犬なんだけど……すごく、陸くんみたいな目をしてるの」


 その犬の目は、どこか怯えながらも、誰かを信じようとしているように見えた。


 「名前、つけてくれる?」


 楓の問いに、陸は少し迷って、そして口にした。


 「……いちか、ってどうかな」


 「いちか?」


 「“一か八か”の“いちか”……今の僕みたいでさ。怖くても、一歩踏み出してみたいんだ」


 楓は微笑んで、彼の手をそっと握った。


 「その一歩、私も一緒に踏み出すよ。いちかと一緒にね」


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