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刺青の聖女と契約の王子  作者: じょーもん
第5章

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あとがき

 あらためまして、どんどはれ!


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


 構想は10年ほど前、「縄文人の女の子が異世界転移する話って、あるんかな?」

 当時、もう飽和状態だった異世界ものに、こんなテーマの物はあるか……

『エヴェリーナ商会』の短編でも世話になった方の弟に聞いたのがこのお話の始まりでした。


 確かその時にはなかった、という結論です。そして、現在もざっと調べた限りではないのかなって。

 もしあったらごめんなさい。


 10年も温めた理由――それは、縄文人の女の子を、異世界に飛ばすことがものすごく難しいから、でした。

 いや、召喚は簡単なのですが、そこからが話が進まない。

 本来だったら、主人公に感情移入して、異世界を愉しむのが異世界モノの醍醐味ですが、そもそも主人公が読み手と大きく文化的素地を乖離している時点で、感情移入もあったもんじゃない――


 そこで考えた策は、ヒーローの方に異世界召喚が当たり前の文化を与え、何なら現代日本の知識もちょこっと持たせてメタい発言をさせる。というものでした。


 当初は、「原始人キター」「魔力ツエー」「純真モエー」な、典型に乗ろうと画策していたのですが……気が付いたら、物語は思いがけない方へと転がり、8万字くらいで終わるはずが、八百年にわたる歴史を紡ぎ出し、望まれてもないのにスピンオフまで書いて、全部で30万字を越える大作(って言っていいよね?)になってしまいました。


 もう、世界を構築するのが楽しくて、脳のキャパを全部世界設計に割いてしまい、4月の頭は何もないのにヘラヘラ笑ってるキモイ人間になり果てていたと思います。正直あんまり記憶がありません。


 で、なんで、あとがきをわざわざ書いたか!ですよ。

 ファナの出自について、私はあくまでも作中ではファナのいた元の世界を、ファナの視点でのみ書いたので、彼女が歴史的にどういった立ち位置にあったのか、という事を一切かけなかったんですね。

 はい、だから、もう、言いたくて言いたくて!

 ファナは、本当は、「はな」ちゃんなんです!

 ちょっと時代的にズレちゃうんですが、平安時代の日本語の発音は、「は」行が「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」って発音したっていう、小ネタが大好きでして、本当は「はな」だったけど、固有名詞は翻訳されないっていう法則を利用し「ファナ」という名の日本人?を爆誕させました。

「ファナ」って聞いて、まず日本人だっては思われないだろうっていうミスリードも狙ってます!

 彼女の刺青イメージは、ハート形土偶、かな。地理的にも時期的にも近いし。

 ファナの出身の村についても、具体的な遺跡がありまして……言うと色々ばれそうですが、群馬県の浅間山麓周辺の村です。具体的には、八ッ場ダムあたり。

 久々戸遺跡という遺跡から、「ぽつんと一軒家」な柄鏡形敷石住居址が出土しておりまして、

 本当に、小高い段丘の上にぽつんと一軒だけ立っており、内部に巨大な石棒が転がっている、という異様な竪穴建物(最近業界では住居って書くとうるさいんですよ!)です。

 この建物の事を聞いた時に、村はずれに一人で住んでいるシャーマン、という、ミトノカビメの元ネタが浮かびました。


 ファナの文化に関しては、もうはっきりと詳細に決めてありまして、縄文時代後期前葉、堀之内2式中段階から新段階にかけての時代になります。絶対年代は――知らん。3900年くらい前じゃねぇ?

 だから、茅野遺跡で出てるような、彫の精巧な耳飾りを出したくても出せなかったんだよ!あれは後期後半から晩期にかけてだから。

 私の支持する解釈となりますが、関東の縄文時代後期は、寒冷化が進んで主食がクリからトチに移行し、人口も称名寺式の段階で激減。厳しい時代の中、人々は一か所に集まって生活をするようになり、その中で、祖霊信仰を確立し始めた時代である。と思っております。

 なので、ファナも、きっと複雑怪奇な民族行事を行っていると、想像と妄想をたくましくして、ミトノカビメという因習を作り出してしまいました!はい、全部私の妄想なので、これはフィクションですよ!

 今回書いていて思ったのは、「考古学が発掘であきらかにできる情報は全体の2%」という言葉です。

 え、意外と少ないって思いました?

 いやでも、ほんとうに……そうなんです……土器の模様の変遷は分っても、その日の夕飯が何だったのか、夫が浮気していたとか、妻のひそかな楽しみとか、そんなの全然わからないのです。

 後、発見したこと!縄文土器にはサインがない!!あいつらは自己顕示欲が乏しい。pvとか気にしていたんかな……


 そんな文化圏の少女を、ありきたりな異世界に飛ばしたら――どうなるか。


 うん、なんか、神になっちゃったwww


 ヒーローのエリオットですが、まず名前から工夫したんですよ!

 ありきたりな、どこにでもいるような、何の変哲もない、金髪碧眼の異世界王子!

 いやもう、ファナを御すためにはそんな普通でなくてはダメだった。

 ……だけど、彼もまた、私の歪んだ認知の普通で作られた王子……なんか変だったらしい。


 世界を組み立てていく中で、「王族男子が唯一の聖女をもれなく召喚する世界で、異母兄弟が生まれた」という矛盾を解消するために計算していたら生まれてきたのが、アナスタシアたち叛逆の世代でした。

 最初は引っ込み思案でろくにしゃべらず、静かな知の巨人だったアナスタシア。プロット段階ではイシュティナが主人公だと思っていたのですが、書き始めたら、あの子はよく喋る喋る……気が付いたら、エリオット以上の知将に育ってしまった……


 で、最後に気が付いたんです。



 もしかして、この二つのお話の主人公って、アナスタシアだったんじゃない?


 って。


 たぶん、刺青の主人公はファナだと思うんですが、エリオットも出張ってて、正直ラノベとしては主役の分散って、あんまりよくないんだろうなーって思いつつ、やめられない止まらない。


 最初悪役として書き始めたレオナルトもリリスも、最後は主役をかっさらっていくし、うーん……このあたりは今後の課題ですね!


 この話の主題は「恋愛」だったので、はい、そっちは、頑張ったと思います。

 恋愛が人生を変え、世界の理すら変える……ほら、恋愛が主題でしょ?(たぶん間違っています)


 エリオット×ファナ、ユリウス×アナスタシア、レオナルト×リリス、ルキアス×イシュティナ、アレクシス×リゼリヤーナと、全部違ったタイプのカップルになればいいなーって、気を付けて書いたつもりです。

それぞれの恋愛観が違うように読めましたら、挑戦成功でした!いかがだったでしょうか……

 レートは、性描写・残酷描写・暴力描写のR15欲張りセット、その枠からはみ出さないように……苦心しましたが、ちゃんと枠内にいられたでしょうかww


 この物語に宿った、たくさんの名もなき想いが、

 読んでくださったあなたの心のどこかに、そっと根を張ってくれたなら、

 作者として、これ以上の幸せはありません。


 あー、たぶん、言いたいこと、これで言えました!

 私もそろそろ彼らとお別れできそうです。

 また次回も、目に留まりましたらごひいきにしていただけると幸いです。


 それでは、長々と、ここまでお付き合いいただき、本当に、本当に

 ありがとうございました!



2025/07/02


 花まめ書房

 じょーもん

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