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1話 出会い

キャラクターの絶望が好きで自家製造を始めました。

創作初心者なのでご容赦ください。

------寒い

雪が降る古いレンガ調の街並みの中で薄いマントを羽織った少年が路地から静かに通りを眺めている。

ふと俺は手に当たった雪を見て恐怖を感じる。今年は何人がこの雪で死ぬのだろうか。


王国中で最北にあたる都市 ベントラ そこに付随するスラムで孤児として暮らす俺ことカークスはこの街でなんとか日々を食いつないでいた。

食いつなぐとはいってもこの町で俺のような体もできてないスラムの孤児を雇ってくれる場所なんてあるはずもなく、俺はこうしてリスクを承知ですりをしているわけだが。

もっともこの街はましなほうだ。他の街なら俺なんてすぐにつかまって首が飛んでるところだろう。

まぁいい 意識を通りに戻そう。

俺は体を縮こまらせて静かに機会を待つ。



チリンチリン ドアについた鐘が鳴り街角の本屋から仕立ての良いマントを羽織った子供がでてくる。両手には本を抱えその腰にはとってくださいと言わんばかりに財布がかけられている。本なんて高級なものを買っているのだ。俺が見かけた事がないことを考えてもどうせこの冬で行商に来たキャラバンの坊ちゃんってところだろう。なら金に困ることもあるまいしそのおつりくらい俺が貰って生活費の足しにしたってかまわないだろうさ。


俺はフードを深くかぶり自然に路地から通りに出る。

正面からうまくぶつかることができるように少し歩き方を調整する。

幸いあっちの意識は本に向いている。これなら簡単にスることが出来るだろう。


3,2,1 ドンッ


坊ちゃんとぶつかる。それと同時に財布を止めているベルトの金具を外す。

「すいません」「ごめん」

坊ちゃんが手に持っていた本が地面に散らばる。雪が降っているため濡れる前に拾おうとするだろう。

「手伝うよ」 

拾うのを手伝って1冊の白い本を坊ちゃんに手渡す。本を渡す瞬間に本の陰になっている状態で財布を抜き取ってマントの袖の中に入れる。

「ありがとう」

ちょうど金髪に整った顔立ちが見えた。太っているわけではないが間違っても痩せこけているわけではない。

-----やはりこの坊ちゃんは裕福なのだろうな。

手慣れたものだ。無事に財布を借りることに成功したと安堵の息を吐いた。


その瞬間背後にいた軽装の男性から殺気が飛んでくる。あの子供、本当にいいとこの坊ちゃんだったんだな。護衛と思わしき人物にバレた以上俺ができるのは逃げること以外にない。幸い日々の生活で殺気を向けられるのには慣れていたおかげで足がすくむ何てへまをすることはなく俺は全力で路地裏に駆け込む。この町の衛兵や訓練を積んだ騎士ならまだしもたかがキャラバンの護衛に慣れたこの路地裏で俺が捕まるようなことはない。


ずいぶんと逃げ回っていたが護衛がやけにしつこく追いかけてきて煩わしい。市場に人込みなどに何度か隠れてみたがなぜか知らんがこっちの居場所がわかるかのように息を切らしながら追いかけてくる。呆れて俺は言う

「そろそろ諦めてくれない?」

その言葉に反応し

「コソ泥ごときに騎士が敗れるわけにはいかない。」と怒鳴ってくる。

---こいつ騎士なのかよ。あの目立つピカピカの鎧とか来てないから傭兵だと思ってた。

「騎士ってのもずいぶん暇なんだな、俺みたいなたかが小悪党をここまで追っかけるなんて。」

そろそろ逃げる俺の体力もまずい。振り切りたいが隠れても無駄、直線距離ならあっちのほうが早いだろうから町を出ても無駄だろう。対応を考えている間に見様見真似だがスラムでよく聞く軽口でも使って煽っとく。

「お嬢様の財布を盗むだけでなく我ら騎士団すらも愚弄するか」

怒り心頭といった様子で騎士が怒鳴る。

---こいつなんて言いやがった?

お嬢様だ?ってことはあれか俺がスったこの財布の持ち主はこの騎士の上役の娘に当たるのか。これはちょっとまずいな。



どうするべきか。幸いフードを深くかぶっていたから顔は見られてないはず、、、だ。ならスラムまで逃げ込めばまだなんとかなるだろうか?

何とかなるか?いや騎士は知らんが町の衛兵には何度かお世話になったことがある。

スリの時点で俺だってバレる可能性は高いだろう。

八方塞がりだ。


ドンッ

そして俺が路地から抜けたときちょうど誰かにぶつかる。


目を開けるとどうだろう。そこにはさっき見た仕立ての良いマントを着た子供がいた。


なんで?


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