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死に
頬のゆるみから
骨の軋みまで
色のない春の根を
張りめぐらそう、など
憂鬱ということばも
憂鬱になるのかしら
夢のない夢だってあるだろうに
季節に肌でふれることの
ことばにならない季節があり
わたしは憂鬱の春に沈み
あるいは入水というか
つめたさのなかに紛れていたぬくみに
ただ死をおもっている
それはあの人の死であり
またあの子の死であって
あなたの死であり
わたしの死である
生に、死に
地続きの現実に
生とは、死とは、など
はだかの肉声で語り合いたい
美醜のない
無垢な場所で
(しかしそんな場所はどこにだってない)
生命を謳う
(血のにおいがする)
人の死に
ことばのない春に
わたしの死に