鬱陶〜桜井 春流〜
桜井 春流
私は楓の友達で
楓が大好き、、、友達だし
でも、大嫌い、、、友達だから
それは、なぜか
楓はいつも私が好きな人の心を奪うからだ。それも無意識のうちに。そして、振る。
・・・ムカつく。
「楓〜」
「うーん?」
「昼休みに屋上でご飯食べよ?」
「うん、わかった」
昼休み
「暑ーーい!」
「そうだね」
「屋根だっ!行こう楓」
「うん」
購買で買った焼きそばパンとミルクコーヒー
それぞれのタイミングで食べて飲んで
スマホをイジって
飽きた体を投げ出して
どこまでも突き抜ける青空を
眺めた。
「楓バイトやってるじゃん?」
「うん」
「楽しい?」
「うーん、特に。あーそう新人が入って来た」
「へーどんな人?」
「20代の冴えない男」
「イケメンじゃないのかー」
「普通じゃない。まあ、仕事は真面目かなーってくらい」
「ふーん。そっか」
「あのー隣いいかな?」
佐伯君だ。
きっと、楓目当てだ
だって、顔赤くして、楓しか見てないし
「どうぞ」
楓は少しそっけない感じで返答する
直ぐに関心をこっちに向けようと
割り込む。
「佐伯君、どうしたの?」
「いや、な、まあ、その、うーん」
悩んでるの可愛いんですけど
「なにかあったんじゃないの?」
楓が冷たく話す。
「いいや、ごめん、割り込んだりして、それじゃ」
佐伯君は気まずくなったのか立ち去っていった。
「楓ーなんだか冷たくないー?」
「やっぱり、気まずくて、ごめん、変な空気にして」
「ほんとだよー」
佐伯君は勇気を出して楓に話したのに
気まずい?
なにそれ。
帰り
楓と別れた後
橋の上から夕焼け色に染まった
川をなんとなく眺める
私は狂ってるのかも知れない
大好きなはずの楓を思い浮かべると
「ごめんね」
って自然に口から溢れた。
頬を伝う涙の雫が
手摺りに乗せた手の甲を濡らし
顔を伏せると止めどなく涙が溢れた。
「どうしたの?」
優しい女性の声がフワッと包み込んだ。
そして、振り返ると
美人の女性が心配そうにして
ハンカチを差し出していた。
「いいえなんでもないです」
私は両手で赤くなった顔を隠す。
「とりあえずハンカチどうぞ。可愛い顔なのに」
「あ、ありがとうございます」
私は女性の優しさに甘えた。
「私も最近泣いたからね。だから、少しあなたのその泣きたい気持ちなんとなく分かるの1人にしてって思うかも知れないけど。そういう時に誰かに声掛けてくれた時ってうれしいものよ
まあ、あなたにとったらお節介って思うかもだけど。少し説教くさくなったね。ごめんね」
お節介なんかじゃない
見ず知らずの私にこんなに優しくしてくれて
気持ちが落ち着いて行った。
けど私はどこか狂ってる。
読んで頂きありがとうございます♪
また、近日投稿します!