独り〜東山 瑞波〜
時折決まった夢を見る
それは、どこか分からない街で
けど、そこでは私は確実に生きていて
昼間の閑静な団地で本当に誰も居なくて
団地の中庭?のような所にコンクリート製の道がある
そこは木漏れ日が差す道を目的も無く歩き続けると
道の先で小さな頃の私に会う
立ち止まりってしゃがんで小さい頃の私を抱きしめる
確かに体温も感じられて、柔らかい感触のあって
頭を撫でられる
口だけがゆっくりと動いて何かを伝えようとしているけど
全然聞き取れなくて、そして目を覚ます。
はっきり言って「意味」なんてないんだろう
けど、必ず息が上がって、涙の跡が頬を伝っていて
どうしようも無く、やり切れない気持ちになる
私が目を覚ました後の夢の中の私はどういう風に振舞って
小さな私に何を与え与えられたんだろうか
想像したって無意味なんだ
所詮夢なんだし
朝会社に向かう為に電車に揺られ
降車駅に到着するとゾロゾロと人で溢れ返る
大きなビル群に囲まれているこの街には
ため息と叫びと虚無感が朝日を覆い尽くし
まるで、陰鬱の世界にいるようだ。
降り口まで長いエスカレーターに身を委ねてスマホを触る
待ち受け画面に翔太の写真
こんな眩しい笑顔が私の心を
照らす光のよう。・・・大袈裟かな。
「おはようございます」
から始まって
「お疲れ様」
で終わる
事務職で酷使した目、足の冷えを労るように
夜の黒い道をトボトボ家に向う
「イタっ」
家近くの公園に差し掛かった時に靴擦れしてしまって
公園のベンチに腰掛けてスマホのライトで患部を確認する
「うわ、ひどいなぁ」
ヒールなんて履きたくないな
「仕方ない裸足で帰ろ。もう近くだし」
「裸足じゃないですか?」
「痛いですよね、私絆創膏ありますからどうぞ」
すると、通りがかりの男女カップル?の
女性の方が絆創膏を手渡してくれた
「そんな、いいですよ近くですし」
「いいですよ、気にしないで使ってください」
人の好意を無下にするのはやめよう
「ありがとうございます。使わせていただきます」
そう私が言うとカップル?は帰って行った。
人の優しさに触れて、気付くと涙が流れていた。
読んで頂きありがとうございました♪
また、近日投稿します^ ^