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茜空 ~橋野 康二~

俺は明日東山と遊園地

榎本さんと春流ちゃんも来る

東山と初めて会ったテイで振る舞い

2人でデート?だ

この日俺は東山と付き合うと

ここは男らしく言ってやると

「好きだ!付き合って下さい!」と。

さながら青春真っ只中の右も左も分からない

男子高校生にでもなった気分だ

いやー、待てよ、振られたら、東山の振る舞いからして大丈夫だ、いや、万が一振られたら、どうしよ。そもそもあんな美人俺には勿体無すぎる

むちゃくちゃ不安だ

タバコ吸いたくなって来たー、辞めたんだタバコ

あー、口さみしー

タバコの誘惑に耐えつつ

夕飯の買い出しにスーパーに向かった

俺は東山との出会いで少しずつ変わっていった

最近、自炊するようになったし

(軽い炒め物程度だが)

気が早いとは思うが

東山と結婚したいし

家庭だって築きたい

それは意識せずにはいられなかった

俺にもそんな感情があったのかって

別の自分を見てるみたいだ

まぁ、定職にも就いてないしやっぱ早いか

などと妄想しているとスーパーに到着


店内は夕方のタイムセール目当ての

客でごった返していた

それを避けて比較的客が少ない酒売り場へ

酒コーナーに入った俺は暫く

ビールかチューハイか将又ウィスキーか

東山は酒飲むんだっけ?まぁ良いっか2人分買っておこう

「・・・父さんが言ってたお酒」

横で独り言を呟く声が聞こえた

声だけ聴くと未成年だと言うことが分かった

もしや、万引きする気か?

そう、直感的に思った。案の定学生鞄にビール2缶を忍ばせ酒コーナーを出て行く

確か店を出た瞬間に万引きが成立するんだっけ?

それを待つか?いや、その前に言わないと

「ちょっと」買い物客に聞こえないよう注意を払い声を掛ける。その学生は肩をビクッとさせ静止し

少しずつ俺の方に振り向き

その少し強張った顔は

一見女の子と勘違いしそうな程

中性的な雰囲気を漂わせていた

「ご、めんなさい」

そう言うとその子は鞄からビールを出して

俺に渡す

別に万引きGメンじゃないけど・・・

ビールを棚に戻すと少年に話しかけた


「あのさ」


「すみません、すみません、でも、早く父さんに渡さないと殺されちゃう」

早口言葉というより

恐怖で口が震えて早くなってる感じだ


「殺されるって、物騒な事言うなよ」


「父さんに・・・」


「落ち着けよ、ちょっと来い」

客が異変を感じ取る前に店を出ようと

その少年の腕を掴み駐車場まで連れ出し

名前を尋ねる事に

当たり前だが先に俺から名乗った

「俺は、橋野 康二。君は?」


武田 花華(たけだ はなか)


「えっと、学ランだから男だよね?」


「・・・女です」

そうか今は制服が男女兼用になってる所もあるんだっけ?

テレビでやっていたような

男だと決めつけてしまった自分が少し時代遅れに感じられて

ダサかった。特に取り繕う事もせずに続けた。


「花華ちゃんはえ~と高校生?」


「・・・中学3年です」

花華ちゃんはため息を吐くとしゃがみ落ちてあった小石をコロコロ転がし始める

制服が云々はどうでも良くてそれより

父親の事で頭がいっぱいなんだろう

その前に酒買わす親ってなんだ?


「家族は?」


「お兄ちゃんと父さん」


「お兄ちゃんに迎えに来てもらう?」


「お兄ちゃんに迷惑かけるし」


「家は?帰れそう?」


「怖い」


「やっぱ、お兄ちゃんに迎えに来てもおうか」


「・・・はい」

花華ちゃんはスマホを取り出して

お兄ちゃんに連絡する

お兄ちゃんに大分怒られてる様子だ

スマホから声が漏れてる

花華ちゃんは「・・・ごめんね」っと言った後

電話を切った。


「お兄ちゃん直ぐ来るって、橋野さん今日はすみませんでした」


「まぁ、商品は代金を払わないといけないし

君は未成年なんだからまず酒は買えないしね」


「・・・」

改めて、何ちゅう父親だ

お兄ちゃんも大変だろうな


「お兄ちゃんは高校生?」


「はい、でも良く怒られるんです。私がいつもいけない事するから」

かなり問題児だな


「あっ、すみません妹が」

お兄ちゃんは走り寄って俺に言った

しかも何時ぞやのランニングをしていた少年だった。


「俺は全然」

っと俺が言い掛けたときに耳を疑った

「・・・父さ」

「花華っ父さんはもう死んだんだって

何回言わせんだ!」


「・・・父さんは、死んだの?」

余りの強烈なやりとりに言葉を失ってしまう

「もうっ、帰るぞ!今日はすみませんでした」っとお兄ちゃんは俺に深々と一礼して花華ちゃんの手を引っ張って帰っていった

また「死んだの?」と言わんばかりにお兄ちゃんの顔を不思議そうに見ていた。

暫く事の整理に頭が追い付かなくて2人が青信号を渡り姿が見えなくなるまで

2人の後ろ姿を見ていた。














お読み頂きありがとうございます♪

また、投稿するのでお読み頂けたら幸いです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました! 新たな展開と登場人物ですね(*ˊ˘ˋ*) 何やら訳ありな感じですごく心配になりました。 この子達大丈夫なのかな? 次の展開もこの先のお話も楽しみです! 最近特…
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