表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/54

曇る空 〜佐伯 侑士〜

「え〜と、佐伯先輩いますかー?」

昼休みに白川が俺クラスまでやってきて

俺を見つけると廊下まで連れ出す


「ちょ、なんだよ⁉︎」


「屋上行こ」

半ば強引に手を引っ張って連れて行かれた

周りの生徒はちらほらと俺達を見ては

冷やかしてくる

屋上の階段を登りやっと解放された

「な、なんだよ白川⁉︎」


「イイじゃん理由なんて」


「はぁ?、勝手な奴だな」


「勝手でワガママだからね私!」


「侑樹にもその感じで行けよ」


「無理!少し抑えないとウザがられるじゃん」


「俺は良いのかよ」


「佐伯先輩は良いの〜」


「なんだよそれ。で本題は?」


「今度、侑くんと遊園地に行くんだけど、侑くんが好きなおかずって何かなってお弁当作ろって思って」


「そんなん侑樹に聞いたらよくね?」


「それが出来ないから佐伯先輩に聞いてるの!」


「侑樹は卵焼きが好きだったかな砂糖が入って甘いやつ」


「ヘヘっ、そうなんだ」


「それが聞きたかったんなら、俺はもう行くぞ。てっあれ?髪切ってる似合うじゃん」


「ああ、うん。侑くんが遊園地行こうって言ってくれたから髪だって綺麗にしてもらったんだー」

髪を触りながら言う


「そっか、それじゃあ」

今思ったけど俺白川に耐性がついてきたのか

結構普通に話してるな

他の女子と話したら少し緊張するのに

あの性格のせいかな


「でさ、今日佐伯先輩は一緒に帰る人は?」


「えーと」


「居ないよね〜。仕方ないなぁ一緒に帰ってあげるよ!」


「おいおい」

結局なし崩し的に白川と一緒に帰る事になった。



放課後

「佐伯先輩〜帰ろうよ!」

白川が教室に

周りはザワザワして俺は教室の入り口まで走った

「分かったから、静かに」


「下駄箱で待ってるから!」

何となく周りに気にしながら下駄箱に向かった。

白川は、他の男子生徒と喋っていた

白川が俺に気付き喋っていた生徒に手を振り

俺に駆け寄る

「え〜い嬉しいでょ!こんな可愛い子と帰れるなんて〜」

俺の脇腹を突いてくる


「ああ、うん」


「リアクション薄っ」

帰りの道中もよく喋り俺との距離が近い

白川にとって普通なんだろう

校門を出て駅へ


「侑樹は?」


「侑くん用があるからって直ぐ帰ちゃった」


「マジで2人で帰るなんて良いのか?」


「普通じゃん別に、男女で帰っても佐伯先輩はお堅いなぁ。マジメか!」


「違うし!変な勘違いされんじゃあないかとかさ、あるだろう⁉︎」


「それが、マジメっての。気楽に気楽に友達じゃん私ら」


「そうか?」


「いやいや、友達じゃなかったら一緒に帰らないしこの前も帰ったじゃん」


「まぁ、確かにそれもそうか」


「それはそうと」

白川は鞄からスマホを取り出して何やら探してるようだ


「なにしてんだ?」


「えっと、これどうよ?」

白川の自撮りだ、肌が見えている服から

清楚系の服やら色々見せてくる

遊園地に来ていく洋服を俺に決めて欲しいらしい。侑樹の好きそうなのを選んでくれと

俺は、清楚系の服を選んだ

正直、侑樹とはそんな話をした事がなかったからこれは俺自身の好みだ。


「清楚系ね、よしこれにしょう」


「色々白川は大変だな」


「好きな人に良いって思われたいじゃん」

強いな


「遊園地楽しめよ」


「あったり前、あっもう駅かぁ…じゃあねー。佐伯先輩」


「じゃあな」

白川は手を振ってエスカレーターに乗って行った。

今日は、白川に絡まれて大変だった

俺もエスカレーターにそして電車に乗り込み椅子に座った

「え〜と、隣り良い?」


「あ、はい」

俺はスマホを見ながら返事をした


「いや、佐伯君」


「へっ?」

顔を上げるとそこにいたのは、桜井さんだった


「気付かないよね〜」


「ごめんごめん、気付かずに」


「ヘヘっ全然。あー何か佐伯君と久しぶりにしゃべたかも」

そう言って俺の隣に座った


「そっかな」


「私の事なら気にしないで、楓とその…いい感じになってくれたら友達として嬉しいし」

寂しげなと言うかそれを隠すような笑顔を

俺に向けた。


「桜井さん」


ただ沈黙が包み込む

さっきまで白川といた時は正直言って

気が楽に思えたけど

桜井さんと居ると気不味いというか

この言葉をかけても良いのかとか

元々笑顔が素敵な桜井さんをこんな風にしてしまった自分はとか

そもそも俺は桜井さんに掛ける言葉はあるのかとか

混乱してる自問自答を繰り返す

答えなどありはしないのに


「次だね」

俺がこんな事を考えてる内に次はもう降車駅だ


「うん」


「あのね、私ね。佐伯君の事好きだよ」

時が止まったかと思った。2人しかいない車両で

じっと俺たちは見つめ合い

心臓が脈打つのも、窓に入り込む茜色の明かりも

全部止まったかと思うくらい

俺は、動揺してしまった

「俺は」


「だけどね、もう何も考えないようにするから。毎日毎日ずっと佐伯君の事考えてたけど

それも、もう全部やめるから…やめるから」

今にも泣き出しそうな桜井さんを

ただ、俺の両腕は桜井さんを

抱き締めようとしていた

榎本さんを好きだと言いながら

俺は、最悪な奴だ

最悪で酷い奴だ

言い聞かせて言い聞かせても

俺の両腕は桜井さんに向かって抱き締めようとしていた

その瞬間

降車駅に到着

ふっと、我に帰った

「ごめん」


「…バイバイ」

桜井さんは小走りにホームに降りて改札に

俺はホームの椅子に座り

俯いた

今にも発狂しそうな衝動を抑えつつ

頭を抱えた。




お読み頂きありがとうございます♪

また、投稿するのでお読み頂けたら幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 拝読いたしました! あぁーーっ!もう最高です(*ˊ˘ˋ*) 最後の二人のやり取りでキュンキュンが止まりませんでした!! いやぁ青春ですねぇ(*´ω`*) この先どうなるのか楽しみです! …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ