会えずじまい 〜東山 瑞波〜
大きな案件を抱えた私達の部署は、連日残業続きで
帰宅するのも夜遅い
今日もクタクタで帰宅してベットに泥の様に倒れる
「はぁー、橋野先輩に全然会えてないな。もぅ」
疲れた。会いたい。
時刻はもう直ぐ0時に差し掛かる所だ
スマホの受信音が鳴る
あ、橋野先輩だ!
橋野 康二と表示された画面をタップする
「お疲れさん!東山来週の土曜遊園地で会う形になってるけど大丈夫そう?」
疲労感も橋野先輩のメッセージを見ると吹き飛んだ。
「お疲れ様です!私は全然大丈夫ですから気にしないでください^^」
直ぐにメッセージを送った
「了解!楽しみにしてる。仕事で疲れてるだろうし
ゆっくりな、おやすみ〜」
「おやすみなさい(-_-)zzz」
送ったと同時に眠りに落ちた
次に目を覚ますと夜中の3時
スマホを充電し
お風呂を入ってない事に気づく
「…クサイ」
脱衣所で服を脱ぎ洗面の鏡を見た自分の姿は
かなりやつれてる様に見えた
目もクマだらけ、肌もカサカサ
こんなんじゃ橋野先輩に会うの恥ずかしいとガクッと
肩を落とした
シャワーを浴び髪をドライヤーで乾かして、ボディクリームを体に塗って化粧水を含んだマスクをつけて
ソファに寝そべる。
幸いにも明日というか今日になるけど仕事は休み
マスクを取った後何となく右足の親指に目がいく
ベージュのマニキュアが剥げていた
「はぁ」
ネイルサロンで綺麗に塗ってもらったのに
歩き過ぎかな
気づけばもう夜は明けて時刻は6時を過ぎた
「おはよう〜、瑞波」
「お母さん、おはよう」
お母さんは眠そな目を擦って仕事の準備をし
朝食を作る
目玉焼きとトーストよくある朝食だ
「瑞波、今日仕事は?」
「久しぶりに休みだよ」
「良かったわね。ゆっくりしなよ」
「ホント仕事続きで疲れちゃった」
お母さんが仕事に行った後
家の掃除をして洗濯物も干してお風呂も洗って
ひと段落した所でインスタントコーヒーを淹れ
ソファに座りブルーライトカットの眼鏡をかけ
スマホを弄る
外から多分子供を連れた母親同士が井戸端会議をしてる声が聞こえてる「私の旦那がね休日ゴロゴロしてさー」とか「あそこの息子いい歳して働いてないだ」とか
ひょっとしたら、ひょっとすると私も、いやー無いかな
あったらいいけど、橋野先輩と結婚して
あーやって近所のお母さんと井戸端会議して
「私の旦那がさ」とか言っちゃうのかな
そんな妄想して勝手に照れてる
バカみたい。
美容院に16時頃に予約を入れた
今が14時だから2時間後
その間は、昼寝して、それから出掛けた
自転車で15分程度の距離にあって
その美容院は開店して2.3年ってとこで
店舗の中が外から丸見えのガラス張りで
いつも少しだけ緊張してしまう
「いらっしゃいませ!あ、瑞波」
「紫帆今日はよろしくね」
「まかせて!」
瓦谷 紫帆 高校時代に橋野先輩の教室に着いてきてもらったり紫帆には頼ってばっか
予約時間には少しあったけど
他のお客さん少なかったし早めにカットしてもらえる事になった
「で、今日はどんな髪型にする?」
紫帆は私の髪の長さを確認しながら尋ねる
「そうだね。落ち着きのあるというかなんだろう決まってないんだ」
「毛先耳より少し長めに置いて、軽めにしとく?」
「うん、それでお願い」
「じゃあ、カットしていくね」
「よろしくね」
紫帆が髪をカットしてるとこで新しいお客さんが入店してきた
鏡越しで見てみると、ギャル風の高校生
制服からし春流ちゃんと同じ学校か
なんて、思ってるとその高校生が
「今度ねデートなんだ〜。だから、男ウケがいい髪でお願い!」
男ウケって、なんか可愛いな
(男ウケって、まぁ私も似たようなもんか)
その女の子はデートが待ち遠しいそうで
店員さんと楽しそうに会話してた
「最近、仕事やら、恋愛はどう?」
「そうだね、仕事はむちゃくちゃ忙しいけど
さ。実は」
「何よ〜」
「橋野先輩と会うんだ〜」
「橋野先輩ってあの⁉︎」
私は、これまでの事を紫帆に話した
「じゃあ、瑞波は念願の彼女良かったじゃん」
「いや、全然違うよ!!」
「うわ、焦ってる〜」
「ちょっと、もう!」
紫帆と話していると学生の頃の気分に戻る
こんな友達がいて私は恵まれてるなって
つくづく思う。
「はい!終わったよ〜。どう髪の長さとか」
私は髪の長さを鏡で確認する
「うん、完璧!ありがとう紫帆」
「良かった。瑞波デート上手く行くといいね」
「そうだね、緊張するけど頑張る!」
紫帆とまた近い内に会う約束をして
会計を済まし美容院を後にする。
自転車に乗って少しスーパーに寄り道
全然お酒も飲んでないし
ビール買っちゃお
ビール2缶と刺身の盛り合わせと
後、夕飯の買い出し
スーパーを出た頃には夜がもう空を覆いつくしていて真っ直ぐ自宅に自転車を漕いだ。
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