紫空〜佐伯 侑樹〜
「あのね、侑くん。今度さ遊園地行こうよ!」
「あ、うん」
久留美が昼休み屋上に
行きたいって言うから着いていき
一緒に弁当を食べて
そして、久留美は沈黙があるのを嫌って間を埋めるように喋る
僕はそれに適当に相槌をしたり答えたり
遠くの空を見ていた。
スマホに侑にいからメッセージが入る
「桜井さんが体調崩したんだって心配だな」
そう、入っていた
久留美が喋ってる手前返信が出来なかった
「侑くん」
「うん?」
「私の事、ウザイ?」
「なんで?」
「えっと、ううん、ごめん、何でもない」
「・・・みんなで行こうか遊園地」
「え⁉︎嬉しいけど、2人でじゃないんだー」
少し残念そうにしてる久留美を他所に桜井さんの事を考えていた
何て送ろうかとか家に行っても良いんだろうかとか
そして、教室に戻り午後の準備をする
「おっす、侑樹!」
「元輝かどうした?もう授業始まるぞ」
武田 元輝
いつも元気なやつでサッカー部でエース
小学生からの友達だ
「良いなって」
「なにが」
「久留美ちゃんにモテてー。何でだろなー俺もそこそこアピールしてんだけどな」
「何でだろうな」
「でも、侑樹は好きな訳じゃないだろ?」
「好きと言うより、ただの友達だからな」
「そっか、じゃあさ侑樹は久留美ちゃんの気持ち弄んでるって事だよな」
「そ・・・」
元輝の突然の返答に言葉が上手く出せなかった
「げ、始まったよー、じゃあな!」
「あぁ」
元輝は急いで席に戻っていった
別に弄んでなんか。いや、そもそも
久留美に僕は特別な感情はなくただの友達としか思っていない
そうは思っても久留美の笑顔が思い浮かんだ。
授業が始まり少し過ぎると現代文担当の柴原先生が
「ここ小テストで出るかもよー」と黒板に書いたその箇所を白のチョークで生徒の方を向きコンコンと打つ
「えー」だの何だの言ってるクラスメイトの反応が一瞬で教室を包む
柴原先生は「静かに!先生もテスト作るの大変なんだからな〜」と教壇に項垂れる
そしたら、みんなが笑う
僕はこの一連の流れを静観した
元輝の方を見ると一緒に笑ってる
その姿を見ていると僕はなぜか腹が立った
久留美の事?
煮え切らない気持ちに包まれていった
放課後
「侑くん、帰ろ?」
「うん、分かった」
久留美が下駄箱で待っていた
グラウンドでは、元輝がサッカーボールを追いかけている
元輝がつけている背番号10番が見えると
目を逸らした
「どうしたの侑くん?元気ないね」
「そんな事ないよ」
「何かあったの?」
「本当に何もないよ」
2人の靴がグラウンドの土を踏む音が鳴る
久留美は珍しく黙ったままだ
僕はそれはそれでいい
「何着て行こうかなー」
沈黙を破る様に久留美は少し大きな
声で言った
「・・・」
「侑くんはどんな服が好み?」
「久留美は何でも似合うと思うよ」
「ありがとう、うれしい」
久留美は頬を赤らめる
校門まであと少しの所でサッカーボールが
転がってくる
「あー、すみません!ボールお願いしますって侑樹かボール頼むわ」
「うん、はい」
とボールを蹴り返すと元輝はボールを手に取って僕らに歩み寄ってくる
「つかよ、侑樹の横にいるのは、もしや愛しの久留美ちゃんじゃね?」
「タケじゃん!『愛しの』はウケるわ」
久留美は元輝の事、タケって呼ぶんだ
前は武田くんだった
元輝と親しげに話す久留美は楽しげで
とても自然だ
「おーい、武田戻れ!」
コーチが元輝を呼んでる
「あっはい!。あーあ、久留美ちゃんともうちょい喋りたかったのに残念。じゃあな2人共〜」
「じゃあね〜、がんばってね」と久留美は手を振る
元輝はコーチの呼び戻しに残念そうにして
元輝は戻っていった
僕は終始黙ったままだった
「ごめんね、侑くん」
「いいよ」
「遊園地早く行きたいね」
「そうだね」
久留美と別れ自宅までの道の途中で
桜井さんに『お大事に』というメッセージを送った。
桜井さん家の近所に差し掛かった時
道の先で榎本さんに声をかけられた
「あ、侑樹くん帰り?」
「そうです。榎本さんは?」
「春流が体調悪いって言うから見舞いで」
「侑にいから桜井さんの事聞いてはいたんですが桜井さんはどうでしたか?」
「元気だったよ、お粥一緒に食べて話して
次は学校来ると思うよ」
「良かった」
「だね。あっ、バイトに遅れちゃうじゃあね」
「はい、それじゃ」
僕は榎本さんを見送ると歩き出す
桜井さんの家の前を通り過ぎて
自宅に
そして1日は、過ぎていった。
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