心溜まり〜東山 瑞波〜
「春流ちゃん、あの芸人さん面白いよね〜」
私がテレビから春流ちゃんの方へ顔を向けると
机に突っ伏して気持ちそうに眠ってる
その、寝顔を見ていると頬っぺたをツンツンしたくなって
ツンツンした。やわらかくてかわいい〜、、、って何やってんだろ私。
自分自身の行いに少し呆れると眠ってる春流ちゃんを
ソファまで移動させて掛け布団を被せる。
そしてまた、お笑い番組を観る
おもしろいな笑、、、、あっ、忘れてた!
今日中に払わないといけないコンサートの代金を払い忘れていた事を思い出す
かなり好きなバンドだし
けど、雨だしどうしょうー。
色々と葛藤したのちコンビニに向う事にした。
スエットにパーカーという
本当、ラフな格好化粧もしてないし
ノーメイクは、余り見られたくないから傘を差し少し俯きながら小走りで向かう
近所のコンビニまで、10分とも掛からない
コンビニに到着し傘立てに傘を入れる
自動扉が開いた瞬間
ドンっ
体と体が勢いよく当たり
鈍い音と共に私は、倒れてしまい
膝辺りから血が出てきた
擦りむいたかな
「痛たっ、あっ、ごめんなさい!お怪我ありませんでしたか⁉︎」
当たった人は男性でかなり申し訳ない顔していた
「私こそ、すみません」
その優しい声もその目も頭を掻く癖も、正しく橋野先輩だった。
奥に案内される時も
私は、平然を装っていられたか分からない位
心臓はバクバクで破裂しそうだった。
「ここに座って下さい」
橋野先輩が救急箱を取り出す後ろ姿を見つめる
あの頃より細くなったような
何か何か喋りたい
何を喋ればいいのかな
「ありがとうございます、いけませんね、私よそ見してて」
何言ってんだ私は、橋野先輩が目の前にいるのに
どうしよう、どうしよう
「すみません。それしか、、、膝見せてもらえますか」
そんなつもりで言った訳じゃないのに
むちゃくちゃ申し訳ない顔してる。
「、、、はい」
えっ、膝見られるの?
ムダ毛剃ってないヤバいよ
私は、牛歩戦法の様にゆっくり、ゆっくりとスエットを捲っていく
膝が露わになり
橋野先輩は、傷口に消毒液をかけ乾くと絆創膏を貼ってくれた。
「応急処置ですけどすみません」
橋野先輩が顔を上げて言うと
恥ずかしさから顔を逸らした。
「そ、それじゃ、わ、私はこれで」
そう言って小走りでコンビニを出て行く
胸を押さえて家に帰る
帰宅すると春流ちゃんが
テレビを観ていた。
「お姉ちゃんお風呂借りちゃったー」
そう言う春流ちゃんに抱きつく
「お、お姉ちゃんどうしたの?」
「会っちゃったよ!」
「誰に?」
「橋野先輩に!」
「えっ?」
雨の様に降り続く
橋野先輩への気持ちは
心の中にすっと溜まっていくばかりだった。
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