気になる〜榎本 楓〜
「楽しんで!、じゃあ」」
そう言って橋野さんは行ってしまった。
その顔はどことなく寂しそうな
そんな感じがした。
気のせいだったかも知れない
私があれこれ考え
思った事を橋野さんに伝えたとしても
「大丈夫、大丈夫」って笑いながらはぐらかされるに違いない。
大人には大人の事情があって
10代そこそこの私は何も出来ない
そんな事、分かりきってはいた。
丁度、横断歩道を渡りきった時
「なにか考え中ですか?」
侑樹くんが私に話しかける。
「ちょっと」
「橋野さんですか?」
「そう」
「用事があるなら仕方ないと思いますよ」
「私も、そう思うけど」
ふと、前を歩く佐伯くんと春流に視線を移す
2人が笑って話す姿が映る
ただ、話してるだけ
きっと、取り止めのない話しだと思う
そうだとしても、胸にモヤがかかる。
「気になります?」
「えっ、何が?」
少し驚いてしまった
「分かります、分かります。僕も気になってますから」
小声で囁くように言う。
橋野さんの事?佐伯くんの事?春流の事?。
話の流れだと橋野さん?
「なにも気になってないよ」
冷静を装う
「そうですか?」
私は黙りこくってしまう。
「はいっ、到着〜」
春流がそう言うと
そこはもう私達が目的としていた雑貨屋だった
ここは、『凪』という輸入と手作り中心の雑貨屋
2年前に偶然春流と見つけた。
木製の短い階段があってそこを上がると
テラス、その奥に扉があって
私達は、店内に入る。
「おー、オシャレじゃん!俺この雑貨屋好きかも」
佐伯くんが店内を見渡し言う。
「いいでしょう〜」
春流が佐伯くんに笑顔で寄ってまた、2人で話しだす
私もって思ったけど
違うかなって思ったから
仕方無く手持ち無沙汰の様に店内を見渡す。
「榎本さんここ、良いですよね」
「うん、まぁね」
さっきの事もあったから
少し冷たい返事をしてしまう。
「2人とも来てよ〜」
春流が手招きして私達を呼ぶ
ペンダントやら小物のコーナーだ。
「これさ、4人で色違いで買おうよ!」
春流が、蒼、紅、白、紫、黄、緑のネコを象った
キーホルダーを指さす。
近くのポップには『このキーホルダーを持つ人同士は固い友情で結ばれる、、、かも?』と
載っていた。友情か、、、大切だよね。
「榎本さんはどれにする?」
佐伯くんがウキウキしながら言う。
「えっと、私はどれにしよかなぁ」
私はキーホルダーに視線を向け
それぞれ手に取り見比べる。
「榎本さんはクールな感じがしますし蒼ですかね?」
私ってそんなイメージなんだ。
侑樹くんが言う通り「蒼」にした。
春流は、「黄」
佐伯くんが、「紅」
侑樹くんが、「紫」
を選んだ。
「後、白も買うね」
「誰かに渡すの?」
気になって春流に聞いてみた。
「お世話になってるお姉ちゃんに渡したくて」
「へー、そんな人いるんだ」
「うん!凄く美人で優しくて、、、憧れてるんだ」
少し照れ臭そうにしてる。
憧れの人か
お世話になってるなら
橋野さんに「緑」買っていこうか
元気もなかったし。
まあ、気に入るか分からないけど。
「それじゃ、私は橋野さんに緑買うね」
その後、私達は店を出ると
侑樹くんは、勉強する為に帰り
佐伯くんも一緒に帰って行った。
私と春流は、その辺を歩いたり、服見たりと
いつもコースで遊ぶ
「春流って今日侑樹くんと余りというか全然喋ってなかったよね?」
「うん、、なんだ、、、なんとなく?気まずいというかなんというか〜」
「気まずい?」
「まあまあ良いじゃない。次どこ行く?まだ昼だしー」
私はそれ以上聞かなかった
また、話してくれるかなって思ったから。
春流と夕方別れた
佐伯くんと春流は何を話していたんだろう。
っていやいや、何考えているの
良いじゃない、、別に、ただ、話してただけだし。
とにかく、明日橋野さんにこのキーホルダー渡そう。
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