僕は〜佐伯 侑樹〜
『、、、、あ、、、、ごめん、、、、なさい。』
ふと、この前出会った女の子を思い出す。
とても普通の状態じゃなかったと思う
どこの誰かも分からない人の袖を掴むなんて
僕は、浴槽に浸かって
思い耽る。
「おーい、侑樹まだ?風呂長すぎーー」
「はーい」
そう言えばこの前
尾行したって言ってたな
どうなったんだろう
「そういえば、尾行どうだったの?」
「ダメだったよ。桜井さんと逸れっちゃって解散した。」
「桜井さんって榎本さんの友達?」
「そうだよ。てか、もう風呂入るぞー」
「あ、うん」
侑にいは、そそくさと風呂場に向かった。
炭酸飲料を飲み
スマホを触る。
勉強アプリを立ち上げるようと
アイコンを押そうとした時
同級生の白川 久留美のメッセージを受け取る
『侑くん〜〜〜連絡ちょうだいって言ってんのに、全然くれないんだ!』
最近、久留美に好意を寄せられていて
毎日返信に困っている
正直言って煩わしい。
『ごめんね。そろそろ塾でテストがあるから勉強してて気付かなかった、悪いけど
また、勉強に戻るよ。』
『えーー、電話したい。いい?』
『ごめん、今日は勉強に集中したいんだ。本当ごめん』
僕が謝るのも早くこの無意味なやり取りを終わらせたかったから
『、、、わかった、、じゃ、、また学校でね」
『また、学校で』
「はあ」
一つため息をつくと
「おーーーい」
「あ、ビックリした!」
風呂から上がった侑にいが後ろに立っていた
「なに?」
「スゲーため息ついてたから、、、フラれたのか?」
確かに公園で出会った大人の女性
東山さんにフラれた
「子供とは、、、その、、付き合えない」って
僕はその意味も理解しているつもりだった
だけど、東山さんは僕の想いを冷静に
優しく掻き消した。
侑にいがフラれても尚榎本さんに向かう姿勢は
兄というか男として尊敬出来る。
僕はダメだったが。
もしかして、僕が久留美に思っているように
東山さんもそう思っていたんだろうか。
「いや、なんでもないよ。」
「お兄ちゃんにいつでも相談してくれてもいいんだぜ!」
グイッと親指を立てる。
「何かあったら相談するよ。ありがとう」
侑にいは冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しパンツ一丁の姿で飲む。
「あ、そうだ。これは相談、、、になるのかな」
「ん?」
侑にいがオレンジジュースを飲みながらこちらに視線を向ける。
僕は女の子に袖を掴まれたって話しをした。
「なんだそれは、イケメンの自慢話しか?」
「違うよ。単純にビックリしたのとスゴイ思い詰めてたしなんだろうって」
侑にいはうーんとアゴを触って考えてる。
「分かんないねー」
「分かんないのかよ!」
翌朝
学校に行く為にホームで電車を待つ
会社員の人、他校の学生、色んな人でごった返してる
侑にいと榎本さんが一緒に電車に乗り込む姿を見かけた
本当メンタル強いよ侑にい。がんばれ。
僕は別の車両に乗り込む。
駅を降り
改札を出た所で
榎本さんが女の子と抱き合い
謝り合っていた。
榎本さんと抱き合いっている女の子を見ると、、、えっ、、マジか
その女の子がいた。
そうか、この人が桜井さんか
周りはざわついていた。
「侑くんっ」
「久留美か」
「えっ、嫌なの?」
僕の反応が気になったのか久留美はムスッと頬を少し膨らます。
「いや、そんな事ないよ」
「えーそうかなー?。てか、なにあれ恥ずかしくないのウチの上級生でしょ?」
榎本さんと桜井さんを指差して言う。
「行こう」
久留美がこれ以上2人の事に対して何かを発言する事を嫌った僕は
久留美を連れて学校へ向かう。
昼休み
僕は、榎本さんのクラスに向かった。
理由はどうしても桜井さんを見たかったから
そこには、榎本さんと楽しげに話す桜井さんがいた
不思議とその笑顔を見ていると
胸が熱くなる自分がいた
僕は思った
、、、もしかしたら。僕は。
お読み頂きありがとうございます^ - ^
少しは登場してましたが新しい人物が登場しました。
よろしくお願いします!




