お姉ちゃんと〜桜井 春流〜
朝、、、
昨日、、、そうだ
ここは、、、
どこの部屋か分からない
部屋で目が覚め
暫くボーっと意味もなく天井を見上げる。
あ、そうか、昨日。
私、、、、
そんな事を思っていると
ノックの後
部屋のノブが回る。
その扉の方へ目をやると
婦警の方が入って来ると
警察署に居る事を思い出す
私に体調やらを聞いてきた後に
もろもろ説明をしてくる
あの男の人がどうなったとか言ってたと思うけど
あまり内容は覚えていない。
程なくした私は帰宅しても大丈夫との事で
帰宅した。
誰もいない
部屋の物も動いてない
昼の陽射しが部屋を照らして
ホコリがチラチラと見えては消えていく
私の事を気にしていない親と一緒のように
殺風景な家だ
何も変わらない
けど、私は変われたかな。
鞄の中からスマホを取り出すと
楓からメッセージが入っていた。
『連絡待ってるから。』
私は返信しようか迷ったけど
しなかった
楓には直接話したいと
思ったからだ。
メッセージを
スマホが受信する。
父
『お前は厄介なことばかり、手のかかる子だ。』
そう、一文
子供の事を放置してこんな文しか送れない父に呆れ
返信する気にもなれずに
スマホをテーブルに置いた。
家の電話が鳴る。
『はい、、桜井です。』
『もしかして、春流ちゃん?』
『どちら様でしょうか?』
『私、東山 瑞波昨日病院で一緒だった。』
『、、、お姉ちゃん?』
『そうだよ。学生手帳忘れてて、、ごめんね、連絡先見て連絡したの、、その後、どう?』
『うんいいよ、、警察署で泊まって家に帰ったけど、、、誰もいないし、、それに、メッセージで父親から説教された。」
『そっか、春流ちゃん今から会えないかな?学生手帳渡したいし』
『うん』
お姉ちゃんとあの橋で待ち合わせた
「おはよう」
「うん、おはよう」
お姉ちゃんの髪はさらさらと風になびき
大人の女性でも、クスッと笑った笑顔に少し幼さが残っていて
そしてあの時と変わらず美人で
憧れる。
「これ返すね」
学生手帳をお姉ちゃんは私に手渡す。
それを鞄に仕舞い「ありがとう」って伝えると
お姉ちゃんはスマホを取り出す。
「春流ちゃん連絡先交換しょうねっ?」
「うん」
連絡先を交換し
暫く沈黙の後
気付くと私は泣いていた。
まるで、心が叫んでるように
止めどなく。
するとお姉ちゃんは、また昨日のように抱き締めてくれた。
「寂しいよ、、嫌いにならないで、、」
心の奥底で思っていた事が
ぽろぽろ溢れる
それを私は止める事が出来なくて泣くしかなくて
お姉ちゃんは「うん、うん」と頷く
「ごめんね、、、お姉ちゃん」
「大丈夫よ。はいっハンカチ可愛い顔が台無しだよ」
お姉ちゃんはあの時と一緒で
優しい。
水色のハンカチの隅にはアヤメが刺繍されていた。
私は、「ありがとう」って言うと
涙を拭いた。
その後、お姉ちゃんは色んな話しをしてくれた
学生の頃好きだった人の話し、甥っ子の翔太くんの話し
韓国アイドルの話し、、。
そして、子供を産めないと言う事
それを聞いた時言葉を失ってしまったが
お姉ちゃんは「こういう運命なんだって言い聞かせてる」って
ほほ笑んで話してた。
きっと苦しんでいるに違いないのに
私の事なんてちっぽけに感じた。
私は、楓の事を話した
「友達の事なんだけど、聞いてくれる?」
「聞くよ。」
お姉ちゃんは欄干を背にし
私の方を向く
「楓って友達なんだけど、最初出会った時の印象が冷たい子だなって」
「冷たい?」
「そう、誰とも交流を持とうともしないし。だから私が怖いのも見たさで喋りかけてみたの
じゃ、楓はなんて言ったと思う?」
「え、なんだろ」
「誰?って、、言われたの、、冷たくない?笑」
「冷たいね笑」
「自分で言うのも何だけど。私そこそこクラスじゃ目立ってたんだ。けど、本当に楓は興味ない事は本当に興味無いなって」
「物事がハッキリしてる子だね。」
「でっ!それから毎日楓に話しかけたんだけど、全然共通の話題がなくて。もう天気の話しやら、適当に目についたものでいいやーって、、そうして話してたら少しずつ笑うようなって、、その、、、うれしかったんだ、、。」
「春流ちゃんと友達になれて楓ちゃんも嬉しいと思うよ」
「そっかなぁ、そう思ってくれていたら良いな」
佐伯君の事は話さなかった
楓の事が好きな佐伯君
私は佐伯君が好きだけど
それは、叶わない恋なんだと
分かりきっていたし
話すだけ
虚しくなってしまうから。
お読み頂きありがとうございました♪
また、投稿します^_^




