空気〜桜井 春流〜
(ハルちゃんへ今日は仕事でお母さん帰れないからお金置いとくわね。)
そう朝テーブルに手紙と5万円が入った封筒が置いてあった。
昨日だって帰って来たと思ったら仕事の話しばかりで私の事なんて何も聞かなかったくせに
マジで嫌いだ
今日は楓と遊ぶのに
気分最悪
駅前で楓と待ち合わせ
楓は先に着いて待っていた
「待った?」
「全然、どこ行こっか?」
「取り敢えずテキトーにブラブラしようよ!」
「うん、わかった」
休日この通りは人で
で溢れている。
同じような服装
そして、私も同じような服装
無難なファッションは
目新しいくないし
気持ちも変わらない
楓と言えば
部屋着に近い服装
、、、ラフ過ぎだよ。
「あっ、ハルじゃん」
うわー、最悪てか誰だっけ?
知り合いだろうけど私は全く思い出せない
少し年上かなチャラ男に声をかけられた。
「あーーと、うん、おはよ」
「いつ振りだろうな、、、、、ハル、その子は?」
「楓、同じ高校の友達だよ」
「どうも」
「ちょっ、待って、むちゃくちゃ可愛いじゃん!楓ちゃん俺に連絡先教えてよね、ね?」
「楓はこんなの慣れてないからやめてあげてよ。それじゃあ〜」
まただ、楓は人の心を奪っていく
私は卒なくその場を離れようとした。
「え〜どっか行くの?じゃあさ俺も参加していいすっか?そんで楓ちゃんの番号教えてもらうんだ〜」
うざ
「私はあなたに興味無いので、さようなら。行こ春流」
「あ、うん、」
楓は私の手を握ると
足早にその場を離れ
チャラ男は楓の言葉が突き刺さったのか
立ち尽くしていた。
人が少ない路地にで楓は止まる
「春流、、、あんな人と付き合ってるの?」
楓が怒ってる
「まあ、そう、」
「やめた方がいいよ」
楓にそう言われて
私の交友関係を全否定された気持ちになった
言う事も分かる
けど
正論がいつも
正しいとは限らないし
それに
今の私は正解も不正解も
全く見当が付かなくなっていた。
「いいじゃん!私がどんな人と付き合ったって楓に関係ないし
分かったような事言わないでっ」
言ってしまった、、、
私はそれを楓にぶつけると
自分から逃げるように立ち去った。
「春流、、、」
その声だけが小さく聞こえたて
胸が痛くなった
私は、、、
独りぼっちになるのかな
「痛っ、、、あ、ごめんなさい」
「いえ、僕は大丈夫です、、あなたは?」
「私も大丈夫です。すみません。」
私と年齢も変わらない男の子と
肩がぶつかった。
「はあ、、、良かった。それじゃ、僕は失礼します、、、あの、、どうかしましたか?」
無意識に男の子の袖を掴んでいた
楓を失ってしまうかも知れない怖さ。
それに反して楓に嫉妬している自分
なんというか
とても、寂しかった。
「、、、、あ、、、、ごめん、、、、なさい。」
「え、、と、、、すみません、、、兄を、、、その、、待たせていますので」
そう言うと男の子はそっと私の手を袖から離すと
会釈して振り返って歩き出した。
去り際に
シャツから微に香った
洗い立ての匂いは
空気と私の胸に触れて
ますます
胸を締め付け怖くなった。
やっと、投稿できました!
よろしくお願い致します。




