7話:勇者達は気付かない(追放者サイド)
オーガの洞窟:B2F
「おらあああ!! ははっ! やっぱすげえなマテリア!! オーガがゴブリンみてえに吹っ飛ぶぜ!」
大剣を担いだ男が剣を振り回すたびに、オーガがまるで紙切れのように千切れ、吹き飛んでいく。
血と臓物が周囲に飛び散り、賢者ラースと聖女マリンが嫌そうな顔をした。
「おい、あんまりはしゃぐなよ」
思わずそう勇者ジェミニが、その大剣の男――ダンズに注意する。強いのは結構だが、さっきから剣が自分に当たりそうで怖かった。
「うるせえなあ。勇者のくせに小せえこと言ってんじゃねえよ」
「俺の命令は絶対だぞ」
「んだとこら。お前が強い強いと持てはやされていたのも、マテリアのおかげだろ」
「……は? お前殺すぞ」
賢者であるラースは、もう何度目かになるこのケンカの仲裁をするのが、いい加減嫌になってきた。そのたびにラースが密かに杖に付けていた、【精神安定】のマテリアが効果を発揮する。
「2人ともお止めなさい。敵はまだ先にいますよ」
「そうです。ようやくオーガキングの居場所を突き止めたのですから」
聖女マリンも仲裁の言葉を口にした。
「ちっ……もうかれこれ1週間ずっと戦いっぱなしじゃねえか。ちゃんと報酬払ってくれるんだろうな」
ダンズが愚痴る。せっかく勇者パーティに入って箔が付くと思ったのに、ずっと戦闘ばかりだ。それは良いんだが、街でチヤホヤされたりすると思っていただけに、段々嫌になってきていた。
「お前が仕事すれば払ってやるよ」
「言われなくてもやってやるさ」
「ほら、怪我治しますよ」
回復担当であるマリンがそう言って、回復魔術をジェミニとダンズに掛けていく。【マナ生成】のマテリアのおかげで、魔術の源となるマナが枯渇しないから良いものの、もしなければどうなっていたかは分からない。
なんせこの2人、マテリアがあるからと、争うように無茶な突撃ばかりするのだ。
「もう少し慎重に戦おうか。こう怪我をしていては、キリがない」
ラースがそう注意するが、前衛2人は聞く耳を持たない。ラースは胃がきりきりと痛むのを感じ、さらに苛立ちが募って、また精神安定の効果が発動する。
「はん、マテリアがあれば余裕だろ。回復魔術も攻撃魔術も撃ち放題。俺らの身体能力も上がって、負ける気がしねえ。ふん、アレク様々だな」
小馬鹿にするようにジェミニが言うが、彼も、そして他のパーティメンバーも気付いていない。
オーガキングという強敵を目前にして――マテリアにヒビが入ってきていることに。
ずっと戦い続ける者達~
メンテナンスしないアホは滅びよ~
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