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53話:今はとにかく眠りたい


「アルマンディ商会のアルマン氏……か」


 アルマンディ商会は、この王都で2大商会と呼ばれる内の1つで、主に王侯貴族を相手に高級品を卸すことで財を成したと言われている。そして商人ギルドのギルド長でもあるアルマン氏もあまり良い噂は聞かない。裏社会と密接に繋がっているという話も聞く。


「でも、アルマンディ商会は王家御用達のお店だからね。王宮に出入りしているのは不思議ではないけど」

「はい。ですが、急に呼び出されたような様子だったそうで。もし仮にマスター暗殺を企てた者が王宮内の者だった場合、表立って動く事は出来ないでしょう。であれば……アルマン氏のような人物を通して……と考えるのが妥当かと。今回の呼び出しは、暗殺に失敗した件についての可能性も」


 アルマン氏なら、あるいは。そう思わせるほどの評判の悪さだ。


「なるほど……。可能性はある」

「更に、アメシス様が参加されるキーリヤ砂火山への遠征についてですが、主催がアルマンディ商会です。調べましたところ、現在キーリヤ砂火山は採掘禁止時期になっているそうです。ただし例外として、王家の許可があれば、可能との事なので、王宮を訪ねたのはこの遠征について……という線もあります」

「うーん……怪しいね。どっちもという可能性もあるし」

「マスターの件とは無関係でしょうが、アメシス様はこの危険な時期にキーリヤ砂火山で不当な労働を強いられる……かもしれません」


 ベルの言葉を聞きつつ、どれも不確定の情報で、何とも判断しづらい状況だ。


「そのままアメシスに伝えたところで、きっと彼は行くだろうね」

「はい」


 アレクはアメシスの蒼い瞳を思い出す。なぜか強烈に印象に残っている目だった。


 どこか人を惹きつけるあの瞳は、何となくだが、この国の王女であるセラフィや、エルフの王族であるハイエルフのエスメラルダを想起させる。カリスマ性、と呼んでも良いのかもしれない。


「ベル、お願いがあるのだけど」

「はい」

「トリフェン達を動かせる?」

「既に、今回のキーリヤ砂火山への遠征にトリフェン達を採掘士として紛れ込ませる段取りは付けております」


 そう平然と言うベルに、アレクは苦笑した。どうやらこちらの考えや行動がすっかり見抜かれているようだ。


「なんせ、今回はマテリアのレンタルだ。アメシスが帰ってきてくれないと困る。それに試作マテリアの実際の使い勝手も聞きたいからね」

「マスターは……優しすぎますね」


 ベルが微笑みつつそう言った。


「そうかな?」

「そうです。でもそれがマスターの良いところです。では、早速手配して参ります。アメシス様には、下手に説明しない方が良いかと」

「分かった。ありがとう」


 ベルが店から去っていくのと同時に、アレクはアメシスが来るまで少し仮眠をする事にした。考える事が沢山あったが、今はゆっくりと寝たいというのがアレクの本音だ。


 結局、アレクがカウンターに突っ伏して寝てしまうまで、さして時間はかからなかった。


ベルさん有能。

次話で、アメシス視点になります

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