4話:魔石はレンタル
その女性は、セレスと名乗った。彼女がサンドラを見た時少し身構えたが、害がないと分かるとすぐにそれを解いた。
「私は【王国騎士団】が1つ、【蒼の獅子】所属の騎士なんだが……実は儀礼用の剣に付ける宝石を探している。この辺りに腕の良い宝石師がいると聞いてきたのだが……君のことか?」
アレクは首を傾げた。自分の事では決してないと思うが、偶然にしては出来すぎている。そういえば……この店、最初から宝石展示用のショーケースや、鑑定用の器具が置いてあった。
もしかしたら……あのお爺さんは宝石師だったのかもしれない。
そう考えてから、アレクは慎重に答えた。
「えっと……多分、元々このお店をやっていたレガートさんの事だと思うのですが……もう店を畳まれて……旅に出ました」
「なんと……タイミングが悪かったか。では、君は? 宝石を扱っているようだが」
セレスがそう言って、カウンターのショーケースの中を覗く。
「僕も一応宝石師で、この店を譲り受けて商売を始めようと思っていまして。あ、でも僕はマテリア専門でして! だから儀礼用のちゃんとした宝石は……すみません、取り扱っていません」
アレクは正直にそう言うと頭を下げた。
「……そのマテリア? とはなんだ?」
セレスの疑問に、アレクが丁寧に説明していく。
「というわけで、戦闘職の方にはかなり有用な物なんですけど……イマイチ王都では流行っていなくて。作れるのも多分僕ぐらいですし……」
「話だけ聞くと凄いが……。ふむ、ちなみに1つでいくらぐらいするのだ? 儀礼式典なんて滅多に呼ばれないので正直言うと、見た目さえ誤魔化せればそれでいい。安いと助かるのだが……」
「あ、だったら――レンタルはどうでしょうか?」
「レンタル? 貸し出すって事か」
「はい。滅多に使う機会がないのに、買うのは勿体ないですし、何よりマテリアの効果については正直半信半疑でしょう。なのでまずはレンタルという形で使っていただいて、気に入ったらそのまま買い取り、いらなければ返却するという流れですね」
「なるほど……それだと確かに納得がいくな」
「それに、マテリアは便利ですけど、メンテナンスが必要なんです。雑に扱うと壊れてしまうので、そういう意味でも使う時にだけ必要な物をレンタルするという方法は悪くないと思います」
「ちなみにレンタルだといくらだ?」
「今でしたらお試し価格で……ええっと……じゃあ1週間で1000ゴルドで良いです。あ、1個につきですよ」
ちょっと安すぎるかな? と思ったけど、まあ仕方ない。とにかく色んな人に使ってもらって、マテリアの存在を知ってもらうことが大事なのだ。
「ふむ……まあ、ここで会ったのも何かの縁だろう。レンタルしてみようか」
「ありがとうございます! あ、どれにします?」
「これがいいな」
そう言って、セレスが指差したのは青い三角形のマテリアだった。
「私の騎士団は青色を好むんだ」
「なるほど……えっとそのマテリアですと【毒耐性】ですけど……それで良いですか?」
「構わんよ。ついでにそっちの赤いのも頼む」
「これは【筋力強化】ですね。では、2つで……2000ゴルドです。先払いでお願いします。勿論、効果が実感いただけなかった場合は、返却時に返金させてもらいます」
「分かった。ま、効果は正直、期待していないがね」
アレクは1000ゴルド紙幣を二枚受け取ると、ショーケースからマテリアを取り出した。それをカウンターの上にあるセレスの剣の柄の上に乗せると、軽く魔力を込める。
するとマテリアが柄の中へと沈んでいき、あっという間に、剣の柄には蒼と赤の宝石が埋めこまれた。
「これで完成です!」
「凄いな……こんなものは初めて見たよ」
「凄いでしょ!? アレクは優秀なんだから」
なぜか胸を張るサンドラを見て、アレクが微笑みを浮かべた。
「取り外しは一応、僕にしか出来ないように制限していますけど、購入された際はちゃんとご自身で外せるようにしますのでご安心を」
「ふむ……ありがとう。式典は明日だ。終わったら返しにこよう」
「はい、お願いします!」
「ふふ、じゃあなアレクに……サンドラだったか」
「ちゃんと返しにきなさいよ~」
こうしてアレクはマテリア屋として初めて仕事をこなしたのだった。
のちに語られますが、マテリアは使うほどに成長し効果が増したり変化したりします。レンタルは、実はアレク側にもメリットがあるのです。
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