48話:エルフの里支店
「じゃ、俺達はベルの姉貴の指示通り先に王都に行って、潜伏しとくぜ旦那」
「うん。気を付けてね」
「なあにマテリアがありゃあ、俺達は無敵だよ」
そう言ってトリフェン達が王都へと向かい、アレク達はエルフの里へと戻った。
「ええ!? もう帰るの!? 霊樹復活祭~響~の準備してたのに!!」
【アレク命】と書かれてある謎の羽織り物を着ているエスメラルダを見て、アレクが苦笑する。
「マナ濃度が戻るのにもう少し時間が掛かるから、無茶しちゃダメですよエスメラルダ様。僕らも早急に王都に戻ってやらなければならない事が増えましたし」
「そう……まあ仕方ないわね。ああ、そうだ、アレクこっちきて!」
そう言ってエスメラルダが、商店が立ち並ぶ里の中心を走る大通りの、端にある店の前で立ち止まった。
それは新しく建てられた店のようで、まだ看板も何も出ておらず、数人の職人が壁を塗っていた。
「これは……?」
「アレク、これから定期的にここに来るでしょ? だったら拠点ある方が良いし、そのたんびにお店閉めてたらそっちもお仕事やりづらいだろうから、こっちでも出来るようにお店を作ったの! 是非エルフの里でもマテリア屋さんをやって欲しいのよ」
「おお……」
胸を張るエスメラルダにどう反応していいか分からず、アレクは笑うしかなかった。
確かに、せっかくエルフの里に定期的に来るのなら、こちらでもマテリアのレンタル販売をしても良いかなあと、頭の片隅では思っていたが……。
「話が早すぎる……」
「アレクに不利益はないと思うけど……だめ?」
お願いのポーズをするエスメラルダに、アレクは溜息をついた。そんな顔で言われて、断れるわけがない。
「ありがとうございます、エスメラルダ様。次回来る時に予備の仕事道具とマテリアの在庫を運んできます。正式オープンはそれからですね」
「流石アレクね! 楽しみにしているわ!」
「アレクは女の子に甘いなあ……」
サンドラの言葉にアレクは苦笑する。だが、嬉しそうに飛び跳ねるエスメラルダを見て、悪い気分ではなかった。
「エルフ向けのマテリアも考えておかないとね」
なんて喋っていると、宿舎で荷物をまとめていたベルがやってきた。
「マスター。帰還準備完了です」
「ありがとうベル。じゃあ、エスメラルダ様、そろそろ我々は王都に戻ります」
「あと1日ぐらい、ここにいたら? プチ復活祭をするし」
「あはは……すみません。すぐに帰らないといけないので」
「そう……まあ、次来た時のお楽しみにしておくわ! なんせ来客なんて滅多にないのだから。もっと沢山来てくれてもいいのに、なぜか1度ここに来た人はみんな来たがらないのよね……」
その原因をアレクは教えようかどうか迷った末に、口をつぐんだ。
まあ……僕が言うことでもないか……。
「じゃあ、帰ろうか」
こうしてアレク達はエルフ達に盛大に見送られながら、エルフの里を後にしたのだった。
☆☆☆
帰りの馬車の中。
「――これ、なんなんだろうなあ」
アレクは母の形見の短剣を掲げた。
これまでは何をしてもなんの反応もなかったマテリアが、今は淡く光を放っている。
アレクはもう何度も試した鑑定眼をもう一度使って見る。
「やっぱり一緒か……」
アレクはその結果を視て……やはりこれまでと同様に頭を悩まさせたのであった。
そのマテリアの名は――【空白】
というわけで第2章エルフの里編完です! 次話から第3章~王都騒乱編~が始まります。
王子の暗躍、そしてアレクの店の発展と物語が大きく動きます。
お楽しみに!
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