47話:2本の牙はマテリアに誓う
ベルが、金貨の入った革袋をアレクへと差し出した。
「……金貨だね」
「報酬として彼らがトリフェン達に用意していた物ですが、金貨自体はこの大陸の共通金貨ですが……この革袋。これに微量に残留しているマナを調べたところ――アゲート王宮のマナと一致しました。かの場所は、異常にマナ濃度が高いとお伝えしたと思いますが、その影響で革袋まで、少しマナを帯びてしまったのだと推測できます」
更にベルは、長期間、高濃度のマナに晒さないと、検知できるほどのマナは残らないと言った。偶然、王宮でずっと眠っていた革袋を無関係の人間が使うだろうか?
アレクはそうは思わない。
「アゲート王家か」
「もしくはその関係者、または頻繁に出入りしている者……になりますね」
「はあ……ジェミニさんの事はもう解決したと思ったんだけどなあ」
アレクは、そう言って溜息をついた。かの勇者……いや秘匿された王子の呪縛はまだ自分を縛っているようだった。
「いずれにせよ、これ以上はここでは分かりません。先に里へと戻ったエスメラルダ様にだけ挨拶して、王都に帰還しましょう」
「そうだねベル」
そう言ってアレク達が立ち去ろうとすると、トリフェン達が慌てて駆け寄ってくる。
「ちょ、ちょ待った! アレクの旦那! 俺達はどうすれば!?」
「ん? 報酬なら、ちゃんと支払うよ。とりあえずこの金貨も用が済めば全部渡すつもりだし。あ、マテリアならそのまま使ってくれていいよ。それも報酬代金に入れておくから」
「いや、そうじゃねえ! 旦那、聞いてくれ。俺とトパゾは獣人族の中でも、はぐれ者なんだよ。だから行く当てもねえ。だからよ、この先も傭兵として雇ってくれねえか!? とりあえずは今の金額のままで良いからよ!」
トリフェンは、ずっと計算していた。
200万ゴルドという大金を約束したこの少年の言葉を疑ってはいなかった。だが、それを手にした後の自分達の行動がトリフェンには思い浮かばなかった。
少なくとも、しばらくは遊んで暮らせたとしても、いつかは金が無くなる。
だが、それよりもこの少年に付いていく方が、結果金になるような気がしたのだ。特に、このマテリアは異常だった。ただの石をはめ込むだけで、毒は効かなくなり、身体能力は向上する。
あまりに――強すぎる力だ。
これは、絶対に逃してはならないチャンスだ。
そうトリフェンの本能が叫んでいた。
「……旦那はこんな奴らに狙われているぐらいだ。相当厄介な立場にいるんだろ? だったら俺らみたいな裏で汚い仕事をする人材は必要だぜ? そっちのメイドはあんたの護衛だろ?」
「マスター。彼の言い分には一理あります。今後はマスターの護衛を最優先したいのですが、それをすると私自身が調査に出にくくなります。彼らならマスターとの関係性が薄く、動かしたとしても、繋がりが見えにくいでしょう」
「んー。それはそうだけど」
アレクとしても、トリフェン達が悪い人物だとは思わなかった。ただ、雇うほどの必要性があるのかというと……
「……あんたら金で裏切るじゃない」
サンドラがジト目でトリフェン達を見つめた。
「待ってくれ! 確かに金は大事だし、それでこいつらを裏切ったのは確かだ。だけど、アレクの旦那は違う。あんたは最初から俺達を獣人だと馬鹿にしなかったし……何より、これがある」
そう言って、トリフェンはマテリアが埋め込まれた山刀を掲げた。
「獣人族は何よりも力を尊ぶ。あんたが力をくれる限り、絶対に俺らは裏切らねえ」
「マスター。彼らの管理は私がやります。ですから私の部下として彼らを雇いませんか?」
珍しくベルがお願いをしてきた事にアレクは驚いていた。
それにアレクは少し微笑むと、頷いたのだった。
「そこまで言うなら……トリフェン、トパゾ。今後もよろしくね。一応ベルの部下という事になるからベルの指示には従ってね」
「やりましたね兄貴!」
「おう! 俺らが付いたからには百人力だぜ!」
こうしてトリフェンとトパゾは正式にアレクの部下となった。
彼らとベルは――後に【銀の双牙】という名で、裏社会で恐れられる存在になっていくのだった。
汚れ仕事担当が増えました。魔石屋アレキサンドライトの保有戦力が徐々に増えてきましたね。
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