46話:蠍の毒
2021/02/14
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「くそ!? なぜ黒毒が効かない!?」
「こいつら――強いぞ!」
「ぎゃあああ!!」
阿鼻叫喚が響き渡る。
ありえない事態だった。アサシンとしての訓練を積んできた男達が、あっさりと獣人達に蹂躙されていた。
「貴様らそれでも、ラーサの民か!」
大陸西部の砂原地帯を根城にする、暗殺を生業とする部族――ラーサ。その中の暗殺部隊の1つであるこの【蠍の尾】は特に毒殺に特化した集団だった。
彼らは専ら各国の王侯貴族に仕え、闇の仕事をこなしてきた。個々の戦闘能力自体はさほど高くないものの、毒や暗器の使い手であり、こちらの不意打ちから始まったこの状況であれば負けるわけがなかった。
だが、【蠍の尾】のリーダーであるラアルの目の前で、彼の部下達が次々と倒れていく。
「兄貴! こいつら……鈍いっすね!」
茶色の獣人が放たれた矢を避け、ラアルの部下を山刀で気絶させた。
「馬鹿野郎。俺達が速すぎるんだよ!」
獰猛な笑みを浮かべながら銀毛の獣人が部下2人を同時に地面へと叩き付けた。
その2人の獣人の身体には数本、毒をたっぷりと塗った矢が刺さっているが、ピンピンしている。元々獣人は毛皮が分厚いので矢自体は大して効果がないのは分かっている。
だが、即効性があり、体内に入れば間違いなく相手を死に至らせる【黒毒】を喰らってなお生きている理由がラウルには分からなかった。
そういえば1つだけ心当たりがある。
【蠍の尾】のここ最近の汚点である、セラフィ第2王女暗殺未遂事件。そういえばあの時も、なぜか黒毒が効かない者がいた。
もしかすると黒毒を克服する方法が知らない間に広まっているのかもしれない。
「毒は使うな! 首を狙え!」
ラアルがそう部下に指示するも、既に遅かった。
彼の目の前に――
「指揮官発見――捕縛する」
赤い目をした銀色の悪魔が舞い降りた。
☆☆☆
「マスター、制圧完了です」
「ご苦労様。トリフェン達もね」
アレクは茂みに隠れていたサンドラを肩に乗せ、ベルの雷撃によって身体が痺れて動けない、この集団のリーダーらしき男――ラウルへと近寄る。
「マテリアすげえな。毒も効かねえし、身体能力が馬鹿みたいに高くなりやがる」
「俺、今なら兄貴に勝てそうな気がするっす!」
トリフェンに殴られ、トパゾが涙目になっているのをアレクは笑いつつ、足下に倒れているラウルへと目線を向けた。
「こんにちは。貴方が彼らのリーダーですか?」
「……殺せ」
顔だけは雷撃を免れたラウルがそう吐き捨てた。
「誰の依頼か教えてくだされば、皆さんを五体満足で帰しますけど」
「殺せ。我らラーサの民は決して主人を裏切らない」
その目に浮かぶ決意の光を見て、アレクは尋問を諦めた。おそらく金を積んでも無駄だろう。
「マスター……!!」
「ざまあ……みろ」
ラウルはそれだけ呟くと、奥歯に仕込んだ毒を噛み砕いた。
「アガアアアア!!」
倒れて、捕縛されていた部下達も次々と自害していく。
「こいつら!!」
トリフェン達が止めようとするが、無駄だった。
「ベル!」
「マスター……手遅れです」
ベルの言葉に、アレクは自分の甘さを思い知った。
「こいつら……プロだな」
「っすね。根性は認めますけど……死ぬことはないのに」
トリフェン達がそう言って、黙祷を捧げた。
「……ベル、僕は間違っていたかな」
「いえ。最善の行動かと。放っておけば、また狙ってきていたでしょうし。遺留品を探って、主人とやらに繋がる物がないか調べてみましょう」
「うん」
アレクはそう言って、その死体だらけの場所から離れた。
「大丈夫? アレク」
サンドラの優しい声が響く。
「大丈夫。だけど、割り切れない部分もある。彼らが死ぬ必要はあったのかな」
「彼らが……そういう人間だったって事。それだけだよ」
「そうだね。でも、そんな彼らを使ってまでなぜ僕を?」
その問いにサンドラは答えず、ただその小さな手でアレクの頭を撫で続けた。
その後ベルによってとある証拠品が見つかった。
「マスター。まだ断定は出来ませんが……高確率で、アゲート王国の貴族……あるいは王族である可能性が高いかと」
黒幕の尻尾を掴んだ……?
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