3話:マテリア屋
旅に出たレガードを見送って、アレクの王都での新生活が始まった。
「で? どうするのー?」
店内を掃除をするアレクを見ながら、サンドラが窓辺で日光浴をしながらのんきにそう聞いた。
「んー。マテリアの認知度が低いからなあ。いきなり買ってくださいと言ってもダメだろうし」
「そうねえ……冒険者ギルドに売り込みに行くとか?」
「ジェミニさんのパーティに追放されたってきっと伝わっているだろうし、あんまり歓迎されない気がするなあ」
「それもそうねえ。あの爺さんの言ってた、バガ……なんとか商店に持ち込んでみるとか?」
「バガンティ商会だよ。それも困ったら、って言われたからすぐに頼るのもね。まずは自分で色々やってみてからじゃないかな?」
「まあ、とにもかくにも、まずは売る物と売る場所を作らないとね」
「うん」
掃除を終えたアレクはカウンター内のショーケースの中に、ここ数日で作ったマテリアを展示していく。
「とりあえず分かりやすいのから作ってみたよ」
一列目には赤い球状の宝石がきらめいている。
「【筋力強化】と【魔力強化】のマテリアね」
「こっちが【毒無効】と【麻痺無効】」
二列目には三角形の青色の石が並んでいる。
「それと【リジェネ】と【マナ生成】」
三列目に緑色の細長い水晶が置いてあった。
「基本の3色ね。でも、ちょっと効果が分かりづらいんじゃない?」
「そう思って、こんなのも作ったよ。【回復魔術】と、汎用性の高い【火属性魔術】」
アレクの手には紫色の四角い宝石が数個握られている。
マテリアは効果によって色や形が違う。
一部だが、例を挙げると――
【強化系】――赤い球状で、使用者の能力を向上する。
【耐性系】――青い三角形で、使用者に様々な耐性を付与する。
【回復系】――緑の細長い水晶で、使用者の体力やマナが徐々に回復する。
【スキル系】――紫色の四角形で、付与されたスキルが使えるようになる。
この他にも様々なマテリアがあるが、これらの4つが勇者パーティでも良く使用されていた。
特に、生まれ持った物しか使えないといわれるスキルを、マテリアだけで付与できるのは、賢者ですらも驚いていたほどだ。
「ああ、それは良いかもね」
「うん。これはショーウィンドウに飾ろう」
そういってアレクがショーウィンドウにスキル系のマテリアを飾った。
「そういえば値段はどうするの? 原材料の魔石だって今回はストックがあったけど、今後は新しく仕入れるか採りに行かないといけないし」
「んー。それなんだけどね――」
とアレクがサンドラに答えようとしたとき――店の扉がカランカランという鐘の音と共に開いた。
「お客さん!?」
サンドラが飛び起きると同時に僕は慌ててそちらへと振り向いた。
そこには背の高い、鎧を纏った綺麗な女性が立っていた。腰に差した剣からすると、騎士かそれとも冒険者か。
扉から吹き込む風で、その女性の青く長い髪がふわりと揺れ、アレクはそれについ見蕩れてしまった。
こんなに綺麗な女性は――見た事ないや。
アレクがそんな風に呆けていると女性が優しく微笑んで口を開いた。
「……ここは宝石屋か?」
そしてアレクとサンドラは口を揃えてこう答えたのだった。
「「――マテリア屋です!」」
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