21話:忠告ありがとうございます
ベリル王国南部――【水晶林】
「アレク! 見て! 綺麗!!」
採掘士や冒険者達と共に、アレク達が乗り合いの馬車に揺られていた。そして馬車の向かう先――丘を越えた向こうには幻想的な光景が広がっていた。
そこには白く透き通った林があった。1本1本の木が、水晶化しており陽光を反射して、キラキラと輝いている。
「あれが――水晶林ですか」
ベルが相変わらずのメイド服に、無表情な顔のまま、その白い森を見つめた。
「うん。あの林のある一帯は地下にマナが溜まっていてね。その影響で樹木まで水晶化しているんだ。更に地表にもマナが結晶化した事によって出来たクリスタル鉱床が露出していたりするから、ミスリルも比較的多く採れるんだよ」
「えっと……この場合は、ミスリル化したクリスタルを探すってこと?」
サンドラの言葉に、アレクが頷く。
「そうなるね。いくつか使えそうなマテリアを持ってきたから、調査と探索は僕、護衛についてはベルに任せるよ」
「かしこまりました」
乗り合い馬車が水晶林の手前で止まると、そこはちょっとした集落になっていた。林へと続く道沿いに宿屋やアイテム屋、採掘士ギルドの支部などが軒を連ねている。
アレクはそこで降りると、大きく伸びをした。
「んー! 結構長かったね」
「5時間と23分24秒掛かりました」
「あはは、ありがとう。さてと、まずは宿を探そうか」
アレクはサンドラを肩に乗せ、ベルを引き連れて、数軒ある宿屋へと向かった。馬車にそのまま乗っていれば更に奥まで行けるが、まずは宿の確保と、採掘士ギルドで、採掘許可を取るのが先決だった。
通りを見渡せば、歩いているのは採掘依頼を受けたらしき冒険者や、採掘士がほとんどだ。
ゆえに、妙な獣を肩に乗せ、メイドを連れているアレクは少々目立っていた。
「――おい、がきんちょ」
そう言って、アレク達の前に立ち塞がったのは、2人組の男だった。
2人は冒険者のような格好をしており、禿頭の男はハンマーを、その隣の痩せた黒髪の男は剣をそれぞれ手に握っている。
「何か、ご用でしょうか」
アレクが笑顔で答える。静かに動こうとするベルを、手を挙げて制止する。
「……どこの貴族のガキか知らねえがな、物見遊山で来られたら迷惑なんだよ。悪い事はいわねえ、馬車に乗って引き返してママの乳でも吸ってな」
「きひひ……でないと……こわーい魔物に襲われても知らねえぞお?」
小馬鹿にしたような男達の態度にも、アレクは笑みを絶やさない。
「ご忠告感謝します。採掘が終わり次第早急に帰還しますので、ご心配なく。それでは――」
そう言って、ぺこりと頭を下げたアレクが通り過ぎようとすると――
「大人の言う事は――聞けよ!!」
禿頭の男がアレクの手を掴もうとするが――
「――戦闘行為と判断」
あっという間に男へと接近したベルがその手を掴むと、そのまま地面へと捻じ伏せた。
「てめえ!!」
剣を振り上げた黒髪の男へと、ベルは左手を向けた。
その手から火属性マナを弾丸の形にし、射出。
「へ?」
剣の刃が、弾丸によって砕け、澄んだ音を響かせた。
「――警告。更なる戦闘行為を行使する場合は――当てます」
ベルの無機質な表情と声が、恐怖を煽る。黒髪の男はぺたんと尻餅をついた。
「痛てててて……離せ!! 折れる折れる!」
地面に組み伏せられた禿頭の男が苦悶の声を上げる。
「ベル――離してあげて」
「了解」
ベルが手を離し、立ち上がった。
「心配せずとも、魔物程度ならば彼女が何とかしてくれるので……いらぬ心配でしたね」
そう言って、アレクは立ち去っていく。
置いていかれた禿頭の男が、その背中を睨んでいた。
「あんのクソガキが……タダじゃおかねえぞ」
男の、怒りの声が響いた。
冒険者は縄張り意識が強いので、めんどくさい奴らが多いみたいですね。
お陰様で、日間総合2位まで来ました! 応援感謝です!!
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