表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/87

17話:魔導人形はマテリアの夢を見るのか


 アレクがそれに気付いたのは、朝、店の前を掃除しようと外へと出た時だった。


「っ!! 大変だ!!」


 店の扉の前に――銀髪の少女が倒れていた。


「大丈夫ですか!?」

「ふああ……どうしたのアレク……朝っぱらから騒がしい……」


 少女の側にしゃがむアレクにそう声を掛けながら、サンドラがとてとてと歩いてくる。


「……行き倒れ?」

 

 少女を寝ぼけ眼でサンドラが不思議そうに見つめた。


「分からないけど……息をしていないんだ!」

「死んでるの!?」

「とにかく中に運ぼう!」


 アレクが少女を抱えて、店の中へと運び込む。しかし、やはり息をしている様子はなく、鼓動も感じられない。


「ねえ……やっぱり……死んでいるんじゃない?」

「……衛兵を呼んでくる」


 そう言って、駆け出そうとするアレクはそこでようやく気付いた。


 「あ……れ……?」


 少女の、目を背けたくなるほど破壊された両足から――バネや歯車が覗いている。


「なに……これ」


 サンドラもそれに気付き、近付いてクンクンと匂いを嗅いだ。


「……油と鉄の匂い……アレク……これ……人間じゃない」

「ああ……これは……人形だ」


 アレクはそう気付いた瞬間に、鑑定眼を使った。


「――魔導人形……のようだけど……」

「魔導人形? なにそれ」


 サンドラの言葉にアレクは首を横に振った。鑑定眼は万能ではない。自分の知らない物については名称は分かるものの、それが何を意味するかまでは読めない。


 ゆえに、アレクは知識を増やすべく、色々な職業の人の話を聞いたり、書物を読んだりしているのだが――年のわりに豊富なアレクの知識の中には、魔導人形なる単語はなかった。


「でもそれよりも……もっと驚くことがあるよサンドラ」

「驚くこと?」

「この子には――()()()()()()()()()()()()()

「えええええ!?」


☆☆☆


 アレクは慎重に少女を店舗の奥にある作業台に乗せた。


 見た目だけで言えば、完璧に人間だ。着ている服も、どこかの貴族令嬢を思わせるようなワンピースドレスであり、かなりの上等品だが、あちこちが焦げたり、擦り切れたりしていた。


 アレクはその少女の身体に触れないように手を翳すと、魔力を込めていく。


 すると、少女の身体の上に――マテリアが浮かび上がってくる。


「ほんとだ……これ、マテリアだよ」


 サンドラが驚きの声を上げる。


「うん、まさか僕以外にも作れる人がいるなんて。でもこれ――」


 少女の両手両足にそれぞれ1個ずつマテリアが埋め込まれていた。だが、何より――その少女の薄い胸の上に、アレクがこれまで作った事も見た事もないほど、大きなマテリアが2つ浮かんでいた。


「凄い……こんな大きなマテリア……初めて見た」

「ありえないわ。だってこんな大きさの魔石は……存在しないはずよ!」

「うん。鑑定眼を使ってみよう」


 そう言ってアレクはそれぞれのマテリアに鑑定眼を使っていく。


「――凄いや。見た事も聞いたこともないマテリアばかりだ」

「なになに!?」

「まず、右手のマテリア。【マナブレイド】って名前だけど……なんだろうねこれ。左手は、【マナバレット】だし。マナって事は魔力に関係する何かだろうけど。で、両足には、【駆動強化】。多分、筋力強化に近い物だと思うけど……それより、この胸の2つのマテリア……1つは【エレメンタルマナドライブ】。それが何かさっぱり分からないし、もう一個にいたっては【魔導型自律知能コアA・L・I・C・E】……だってさ」

「……良く分からない事が良く分かったわ」

「同感だよ。でも、このマテリア……凄く()()。修復を何度かした形跡があるけど、傷だらけな上に、ヒビが入っている」

「どうするのアレク」

「……修復してみよう。もしこの人形がマテリアを動力としている、と仮定するならば……修復して魔力を注げば……また動くはず」


 アレクは、そう言いながらも半ば自分の仮説が正しい事を確信していた。


「いきなり襲ってこない……?」

「分からない……」


 だが、アレクは自分がこのままこのマテリアに触れずにいることが、出来るとは思えなかった。初めて出会った、自分と母親以外の者が作ったマテリア。


 動いているところが見たい。どういう効果なのかを見たい。


 その知的好奇心に、アレクは抗えなかった。


 アレクは慎重に、胸の上の2つのマテリアへと魔力を込め、修復していく。それは徐々に輝きを取り戻していき――


「……ふう」


 アレクが息を吐くと同時に、少女の中へと修復されたマテリアが沈んでいく。


 同時に、何か細かい機構が動き始める音が鳴り始め、魔力の流れが少女の身体を巡っていく。


「見て! アレク!」


 サンドラが指差す先。破壊されていた少女の両足が――ひとりでに修復されていく。


「凄いな……どういう理屈だろ」

「っ!! アレク!」


 サンドラの声と共に――少女が目を開いた。そのガラス玉のような瞳に赤い光が灯る。


 そして少女はバネ仕掛けのように上半身を持ち上げると、アレクの方をジッと見つめた。


「えっと……おはよう?」


 そんなアレクの挨拶に、少女は無表情でこう答えたのだった。


「――()()()()()()()()()()。マナドライブ起動のマナパターンと一致を確認、登録完了。ご命令を――()()()()


新キャラは作者の趣味です!! 


更新はよ、続き気になる、おらもっと書けやごらぁ!


と思ったそこの方、是非ともブクマと評価をしていただければ幸いです。めっちゃ頑張ります!

ブクマはページ上部もしくは↓ 評価は広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★をするだけです!

よろしくお願いします! 面白くなかったら★一個にしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作! 隠居したい元Sランク冒険者のおっさんとドラゴン娘が繰り広げる規格外なスローライフ!

「先日救っていただいたドラゴンです」と押しかけ女房してきた美少女と、それに困っている、隠居した元Sランクオッサン冒険者による辺境スローライフ



興味ある方は是非読んでみてください!
― 新着の感想 ―
[一言] 破損した自動人形(感情薄め)が自己修復するとか作者分かってねーな。 歯車一つ一つ削り出す努力を主人公が見せる事によって、人形が愛情と依存を覚えていくのが良いんだろうが。
[一言] 薄い胸の上にある2つの大きなマテリア……(意味深
[気になる点] 行き倒れ? → し、死んでる!? → 中に運ぼう! って流れに違和感ありました。 呼吸も鼓動も無いことが分かった時点で、普通は動かさずに衛兵を呼ぶかと…。 両足のバネや歯車に気付いて店…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ