15話:勇者達は苦戦する(追放者サイド)
オーガの洞窟:B3F――大鬼の玉座。
「ええい! 邪魔するな!!」
ピシリ。勇者ジェミニが、マテリアによって強化された斬撃で、オーガキングの手前にいたオーガを切り裂いていく。
「――【サンダーブラスト】!」
ピシリ。賢者ラースが、ジェミニを狙うオーガを、マテリアによって強化された魔術で焼き払う。
「おらあああ!! 雑魚はどけえええ!!」
ピシピシ。ダンズがマテリアの力で強化された筋力で大剣を振るい、オーガ達を薙ぎ払う。
「【グレーターヒール】――無茶しないで! まずは取り巻きのオーガを倒しま――っ!?」
パリン。戦闘の喧噪の中で、その音は静かに――でも確かに響いた。
「あれ……?」
聖女マリンは、急激に自分の中から力が抜けていくのを感じた。
「なんだ!? っ!! こいつら!!」
ジェミニは急にオーガ達が素早く、そして力強くなった事に驚いていた。
「――【フレイムランス】!! ……なぜだ!?」
ラースは自身が放った魔術が今までと比べ物にならないぐらいに、小さく、そして弱くなっている事に唖然としていた。
「がはっ! いてえええ!!」
ダンズの大剣がオーガによって止められ、反撃の蹴りを食らってしまう。
「どうなっている!?」
勇者が混乱しながらバックステップ。しかし、それは想定していたよりもずっと短い距離でしかなく、踏み込んできたオーガの棍棒を辛うじて剣で防ぐ。
これまでになかった重みを感じ、思わず剣を逸らしてしまう。
悪戦苦闘するジェミニ達をよそに、マリンは自分の杖を見つめ、そしてようやく事の重大さに気付いたのだった。
「あいつらが急に強くなったんじゃない……私達が――弱くなったのよ」
「――ま、マテリアが!」
ラースも気付いてしまった。自分の杖に埋め込んでいたマテリアが――割れている事に。
「ふざけんな! なんでマテリアが割れてるんだ!」
何とかオーガを一体倒した勇者が叫ぶが、それに対する答えを持つ者は既にこの場にはいない。
「撤退! 撤退よ! このままだと、全滅する!」
「ふざけんな! オーガキングがすぐ目の前にいるんだぞ!」
勇者がそう叫ぶが、ラースとマリンは既に撤退準備をしていた。
「くそおおお俺を蹴りやがったなクソオーガ風情がああああ!!」
激昂するダンズが無謀にも突撃する。
「死ねえええ!!――あっ」
轟音と、肉の潰れる音が響く。
「ゴアアアアアアア!!」
オーガキングが、振り下ろした巨大なハンマーを再び持ち上げた。
地面には、ダンズ……だった何かが潰れていた。
それを見たジェミニは、くるりと背を向けると一目散に出口へと向かった。
無理だ。今のままでは……あれには勝てない。
「くそ!! なんでだ!! どうしてこうなった!!」
追ってくるオーガ達の殺意を背中に感じながらジェミニが叫ぶ。
しかしそれは、自業自得以外の何ものでもなかった。
酷使したマテリアが割れてしまいました。マテリアの力に頼り切ってしまい、雑な戦い方が身に付いてしまった勇者達に勝ち目はありませんでした。本来の実力であれば、勝てるはずなんですけどね……。
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