11話:魔石屋アレキサンドライト
数日後。
「どうだ? 自信作だぜ」
そう言ってルベウスが、アレクの店の上にある看板用のポールに、新しい看板をぶら下げた。
「凄い……素敵です!!」
「ねえねえ! あれってやっぱりあたしかな!?」
はしゃいで走り回るサンドラを見て、アレクが微笑んだ。
その看板は、デフォルメされたサンドラに似た獣が、大きく丸い宝石を抱き抱えて丸まっているようなデザインになっていた。
その中心の宝石には店名が刻まれている。
「【魔石屋アレキサンドライト】――良い名前だな」
「はい!」
その名前は、アレクとサンドラが三日三晩うんうん唸りながら考えた名前だった。
当初はマテリア屋と称する予定だったが、加工魔石――マテリアという言葉自体がこの王都では全く伝わらない事を考えて、魔石屋としたのだ。そしてアレクとサンドラの2人の名前を合わせた店名とくっつけた。
「ルベウスさん、素晴らしい仕事ですよ!」
「あたしをモチーフにしたのは褒めてあげる!」
「はは……お前のおかげだよアレク。鍛冶職人としての人生……俺はもう一度歩めそうだ」
ルベウスがそう言って、笑った。その笑みには、あのやさぐれていた時の暗い影はない。どうやら火の恐怖はもう克服できたようだ。
「えっと、ルベウスさん。看板の代金ですが――」
「いらん」
「え?」
「いらん。アレク、お前には恩義がある。だから、これぐらいは開店祝いという事にしといてくれ」
「でもこの看板……アクアライト製ですよね? 滅茶苦茶高い鉱石のはずですよ!」
アレクは鑑定眼で、ルベウスが作った看板がアクアライトと呼ばれる金属製である事を見抜いていた。アクアライトは、丈夫で耐久性があり、かつ水にも強く錆びる事がないという。野外で使う金属としては最高峰の素材の1つだ。
その代わりにその原材料となる鉱石は希少で、常に高値で取引されている。
「俺は確信しているんだ。お前の名と、そしてお前が作ったマテリアは、絶対にこの王都中に轟く事になる。だったら、やっぱり店の顔となる看板は、ちゃんとした物にしないと、だろ?」
そう言って、ルベウスがニカッと笑ったのだった。
「あ、じゃあ、ルベウスさん。ハンマーに付けたあのマテリアは、代金代わりに差し上げます」
「ん? 良いのか? あれ高いんじゃねえのか?」
返すつもりだったルベウスが首を傾げた。
「構いません、また作れば良いんです。その代わりに、ルベウスさん。鍛冶職人として、お仕事を依頼をしたいのですが」
そう言って、アレクはニコリと笑い返した。
「くくく……商売人らしい顔付きになってるじゃねえか」
ルベウスが悪い笑みを浮かべると、煙草を吸い始めた。お互い、商売人同士だ。一方的な貸し借りをお互いに作りすぎない事が上手くやっていくコツだと、アレクもルベウスも理解していた。
「まあ、大体見当が付くがね」
アレクが頷くと、口を開いた。
「流石ですねルベウスさん。それで、依頼についてなんですが……僕の店で売る――武器を作ってください」
いよいよ本格オープンですね。そして何やら企んでいるようで?
アレキサンドライトは実在する宝石ですね。名前から分かる通り、主要キャラは宝石から名前を取っていたりします。(勇者パーティ除く)
次話で新しいお客さんがやってきて……新商品のお披露目です!
更新はよ、続き気になる、おらもっと書けやごらぁ!
と思ったそこの方、是非ともブクマと評価をしていただければ幸いです。めっちゃ頑張ります!
ブクマはページ上部もしくは↓ 評価は広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★をするだけです!
よろしくお願いします! 面白くなかったら★一個にしましょう!




