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Electro Signal  作者: 笹霧 陽介
第一章 貧民街統一
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3

 千葉区画沿岸部五十区、倉庫が立ち並ぶそのうちの一つ。

 貧民街過激派グループ「レッドナイツ」が拠点として使っている、この場所に来たのは作戦を実行するためである。


「この中にレッドナイツの中枢を担う奴らがいるのかい? ジョーカー」


「そうだが……まずは雑魚の始末から始めようか」


 いつの間に集まってきたのか、鉄パイプやら金属バットやらを持ったレッドナイツのメンバーが大量にいた。

 全員が同じマークを、ジャケットの背中、肩の刺青、バンダナ、それぞれ違う場所に入れている。

 赤を基調とした円に盾、そこに剣がクロスするようにして描かれているマーク。


「罠ですか……! ジョーカーどうしますか?」


 そう聞いた井川(いがわ)は俺の答えを待つよりも先に、後ろへと一歩下がる。


「言わなくても分かるだろう? 俺だけで十分だ」


「あーあ、私も出たかったんだけどなぁ」


 (ひいらぎ)は手を頭の後ろで組み、暇そうな面持ちで見ている。


「僕の出番は……なし……?」


 腰の刀から手を離したのは、通常兵器隊隊長、刈谷(かりや) 宗司(そうじ)

 まだ若く俺と同じ十八歳だが、剣の腕はグループ内随一(ずいいち)。無能力者ながら異能力高火力隊と頭を並べる強さを持っている。


 数は正確ではないが約二百。

 俺達ストレイキャッツ九人を囲むようにして敵意を剥き出しにしている。


「ヘっ! ガキどもがこんなところに何の用だ?」


「ここは俺たちレッドナイツのアジトだぞ?」


 かなり鍛えているのか、袖の敗れたシャツから太い腕が見えている。

 手には金属製のパイプを携えている。


「さて、レッドナイツの皆さんこんにちは……そして、しばしのお別れを」


 俺の前まで歩いて来ていたレッドナイツの二人が地に叩きつけられる。


「なんだ……こいつッ!」


重力(グラビティ)操作(コントローラー)」これが俺の異能力。

 名前の通り重力を操る事が出来る能力だ。

 指定した範囲内の重力を操ることはこの能力において基本的な技術だ。


「ほぉ……相変わらず凄いねジョーカーの能力は」


 ものの数秒で他の構成員たちもねじ伏せる。


「よし行こうか」


 錆び付いた倉庫の扉はギシギシと大きな音を引き鳴らしながらゆっくりと開く。

 窓から差し込む弱い光では見えなかった倉庫の奥の方を、開いた扉の間から入る光が照らしだす。

 中にいるのは十人。

 重ねられた土管の一番上に座っている、マントを羽織った男がレッドナイツのリーダー赤坂(あかさか) 晃司(こうじ)だ。


「ようこそレッドナイツへ! 十二人の少数弱小グループだと思っていたが、ここに入れたということはそれなりに実力があるということか」


「赤坂さんここは私が出ましょう……」


 長身でメガネをかけた細身の男。

 腰には日本刀のような刀を携えている。

 一目でそれが日本刀だと分かるのは、同じような刀を持っている奴を知っているからで。

 そして、そいつは俺が知っている剣を使う者の中で最も……


「なにッ……!」


 ……強い!

 一瞬の出来事に、敵は何が起こったのか理解ができていないだろう。

 刀を抜くことすらできず、男の首元へ刀が突き付けられている。

 刈谷流剣術は多数ある流派の中で、独自のスタイルを貫いてきた。

 剣を持った男が抑えられたことにより、他にニヤニヤと余裕の表情で座っていた奴らも立ち上がり俺達に明らかな殺気を送って来た。


「おっと、全員動くなよ」


 隠密機動隊の三人がそれぞれ一人ずつ敵を拘束することを合図に、俺の後ろにいた数人が動き出す。

 不意をつかれたレッドナイツの幹部メンバー達は、いくら能力者といえでも能力を発動する前に気絶させられては意味をなさない。

 ストレイキャッツリーダーの俺とレッドナイツリーダーの赤坂との間、一直線上に壁は何もなくなり睨み合い、赤坂はゆっくりと立ち上がる。


「何が目的だ? 俺の命か?」


「そんなものには興味はない。お前たちには今日から俺の傘下に入ってもらう」


「ほぅ、レッドナイツそのものが目的というわけか。傘下に入れて何をする?」


「東京地区をぶっ壊す」


「ふっ……ふはははは!!!! 全く面白い奴だ。真顔でそれを言ってのけるとはな! 道は険しいぞ?」


「そんなこと、百も承知だ」


「いいだろう! お前について行ってみるとしよう」


 レッドナイツはここ十年もの間千葉区画を中心に勢力を伸ばしてきた。

 リーダーの赤坂 晃司は十歳の時に自らの手で両親を殺し、その後今のレッドナイツを創設。

 いくつかのグループを統合していきながら今の体制を築いてきた。

 赤坂の力はメンバーが一番理解している。

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