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Electro Signal  作者: 笹霧 陽介
第二章 政府直轄討伐軍
17/24

3

「第一部隊は後退! 負傷者の手当てと補給を急げ! 第二部隊は前進しろ!」


「赤坂さん! 補給部隊が山道の悪路で遅れているとのこと!」


「くッ……! 前衛に人数を回せ! 補給部隊到着までなんとか持たせるんだ」


「了解!」


 戦闘が開始してから二十分で、おおよそ三割が死傷し、戦線を離脱した。

 しかし、正面からの撃ち合いをしているため、敵方も被害がゼロというわけではない。

 苦しいのはお互いに同じはず。


「砲撃くるぞ!」


 前方に移動中の舞台の中で、声が上がった。

 そしてすぐに着弾する。


「ぐあッ……!」


 部隊のちょうど真ん中に砲弾があたった。

 間髪入れずに、何発も砲弾を発射する音が聞こえる。

 部隊が半分に割れる。


「走れ! 止まったら砲弾に当たるぞ!」


 通常兵器隊の副隊長、桜木涼が部隊をまとめる。

 頭に緑色のバンダナを巻き、右目に眼帯をつけた桜木は、レッドナイツで右腕として支えてくれていた。

 レッドナイツの傘下に降った今も、よく働いてくれている。

 ジョーカーが認め、副隊長にするほどの実力者。


 桜木の言葉に、前方半数の隊員が走り出し敵の本陣を目指す。

 後方の半数は、次々に飛んでくる砲弾により、下がらざるを得ない。

 桜木は後方に残されてしまった。

 木々の間をすり抜け、山を駆け下り、開けたところに出る。


「撃て撃て撃てぇい!」


 無数の銃口が前方の部隊に向けられる。

 綺麗に整列した敵の部隊が、一斉に発射する。


「うあぁ!」


「撤退だ! 逃げーーうッ!」


 囲い込むようにして撃たれた味方が、次々に倒れてゆく。


「くそ! 豚どもがぁ……ッ!」


 隠密機動隊の伊賀が木の陰から出てくると、赤坂の前に跪く。


「桜木さんの率いる第二部隊が、敵の戦車による攻撃で分断。前半分が戦車の攻撃を避けるため山を降りたところを、敵の集中砲火を受け全滅したとのこと」


「何? 桜木は無事なのか?」


「残った半数は散りじりに逃げているため、桜木さんの生死は不明です」


「わかった。下がれ」


 伊賀は一度頭を下げると、再び森の中へときえる。


「やはり俺たちでは軍に勝てないのか……」


 戦況は討伐軍有利に大きく傾いたかと思った、まさにその時、討伐軍の本陣で事は起こった。


「なんだ? 何が起こった!」


 音のなった方に視線が集まる。

 戦車十門全てが一斉に土の中へと消えていた。

 討伐軍の兵士も何が起こっているかわからない、といった様子で混乱している。

 井川の作戦がうまくいったのだ。

 井川は地形を変えられる土昏の能力で、戦車の下の地盤を沈下させた。


 しかし、土昏の能力範囲が狭いため、戦車に近づく必要がある。

 そこで目をつけたのは佐田透の能力。

 彼は自分と自分が触っている同等程度の質量のものを、透明にすることができる。

 この能力を使い、討伐軍の兵士に気づかれることなく、土昏を敵本陣へと送り込めたのだ。


「よくやったぞ土昏、佐田!」


 井川が任務を遂行した二人を迎える。


「ム……」


「いやほんと、もうこんなドキドキする任務はこりごりですよ! 僕の能力はそんなに万能じゃないんですから!」


 佐田の能力には時間的な制約がある。

 それは透明化になれるのは一日三十分までで、それを過ぎると強制的に能力が解除されると言うもの。

 とにかくこれでもう一押しできれば、なんとかなるかもしれない。

 敵の戦力を大きく削ぐ最後の一手があれば。


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