第六一話
ギリギリなんで限界です。
不意に腹に衝撃を感じる。
「ぶっ!!」
その衝撃によって一気に目が覚める。
目の前に居たのはガーガだ。
「おはようアモリ、よく眠れたか?」
「おはようガーガ、おかげで目が覚めたよ」
ベッドの上で身を起こして伸びをする。
窓の外を見ると日が昇り清々しい光景だ。
「早速で悪いが昨日の件はできるだけ早く頼む」
「ああ、適当に月宮に会いに行って探ってみる」
俺の言葉にガーガは一度頭を下げる。
「頼む、ガーガの方ではユミとミフネを直でとり持つことはできないのだ」
「わかっている」
そう呟いて思い出すのは二人の距離だ。
まぁ二人ともそれなりに親しいと感じているので、結局どちらかが告白すればとりあえずはそれでつき合い始めることになるとは思う。
意識しているのは陽川の方なので、陽川の踏ん切りがつけばいいだけとも言える。
「よし、やるか」
と言って寝床から出て軽く体を動かす。
体の関節がほぐれたような感覚が返ってくる。
「よし、と」
「……そろそろいいか?」
とガーガが声をかけてきた。
なのでガーガに顔を向ける。
「どうかしたのか?」
「ああ、木下を探しているイオリという人物だが以外な方向から少しわかったことがある」
いきなりの言葉にまじまじとガーガを見つめる。
俺の様子に少しうれしそうだ。
「まずイオリは街で同じような年ごろ人間にインタビューを行っているがどうにも芳しくないようだ」
「まぁな、そもそも木下を知っている人間自体がほとんどいないだろう」
その俺の言葉にガーガはうなずいた。
「まぁイオリも目立つ人間だと思っているから首をひねっていたな」
「という事は中学までの木下を知っている人間なのか」
改めて口に出すと不穏さがけた違いに上がっていることに気付く。
元住んでいた街での出来事を知っていると疑問しか浮かばない。
色々隠ぺいされていたとはいえ噂程度も流れていないのはおかしい。
いや、逆にだからこそ調べているのかもしれないと思いなおす。
「そういうことだ、しかも不思議なことに乗っている車のナンバープレートはフタバの母親が住んでいる街だな」
「……まてまて、確か母親は元住んでいた場所から離れて暮らしていたんだよな?」
「ああ、どう考えてもおかしい」
考えられるのは住んでいる地域の人間でおかしな死に方をした人間を調べて行ったか、元々噂話を聞いていた人間が母親の方を追いかけていった二パターンが考えられる。
がどちらも不自然だ。
不可解な死よりも木下の調査を優先するなんて何かがおかしい。
俺のその考えを読み取ったのかガーガはかすかにうなずいて話し始める。
「おそらくだがイオリが母親の下手人だ」
「どうしてそう思った?」
聞き返す。
何となく俺もそのような気がするがあまりに突飛な発言だからだ。
「母親の事が聞きたいから娘であるフタバを探しているというふうだが、もし逆だったなら?」
「逆?」
思わず聞き返す。
「フタバの事を探したいから母親を殺した」
「ちょっと発想が飛んでいないか?」
素直にそんな感想をぶつける。
とガーガはこう話し始める。
「そうか? 何らかの理由があってフタバを追っているが、母親の方しか追跡できなかった、そうしたとき母親が死んだら法律的にはフタバが相続することになる」
「で、その情報を追いかけると?」
「ああ、あまりに乱暴すぎる話だが、手っ取り早い方法だろう」
言われてみればそんな気がしないことはないが、さすがに正気を疑う理由だ。
いや。
と内心首を振る。
正気ではないからやったのだと思う。
「それでそんな暴力的な手を用いる可能性が高いやつはうまく成果が得られないなら何をすると思う?」
ガーガから軽い調子でそんな質問が向けられる。
が、内容はかなり切羽詰まったことだ。
「……また人死にが出るかもしれないな」
自分で口に出して気が沈む。
「証拠を固めて警察に任せる方が良いな」
「ああ、そっちは危険だからガーガの方でやり始める、できるだけ急ぐができるだけ身の回りに注意を払っておいてくれ」
「ああ」
とうなずいて窓から出ていくガーガを見送った。
明日も頑張ります。




