表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/124

第五八話

できました。

「そう……か」


 俺が話し終わった後、ガーガは重々しくうなずいた。

 そしてゆっくりと口を開く。


「ひどい家庭環境だったんだな」


「ああ、俺の家は親はあんまり家に居ないがそれでも大切にしてくれているってのはわかる」


 合間合間に電話で連絡をしていたが、このところ夜歩きが多いことを気にしている様子だ。

 放任にちかいがそれでも気にかけてもらっている気がする。

 まぁ遠出して夜遅くに返るなんてことはもうしないと思うが。


「父親は娘に虐待を行い、母親は精神的虐待、それのせいで学校での素行にも影響が出ているな」


「そうなのか?」


 ガーガは肩を落としこっちを見てくる。


「中学時代の同級生でフタバを知っていると言える人間がかかわっている時間が比較的短い人間だけだ」


「……そう言えば話を聞けた人間は頭注転校してきて不登校になった人間だけだったな」


 そしてほぼ全員が県外に出ている。

 異常な話だ。

 普通に考えればよほどの進学校を狙うなど目的がないと地元の高校に通うのが普通だ。

 私立高校なども考えても誰一人地元に残らないというのはおかしい。


「それに教室の中で死んだ生徒も気になる……」


「?調べてないのか?」


「ああ、死んだ人間が居るのは調べることができたが、場所が場所だからなどうやって隠ぺいしたのやら」


 ふぅ。

 とガーガはため息を漏らす。

 その表情には疲れが見て取れる。


「それにしても学校の山川って教師にどうやって話を通したんだ? 異様にカリカリしていたが」


「秘密だ」


 とどこかおどけて笑う。

 そして気になるのが木下の家でのことになる。


「それにしてもまさかアモリがあの養護教諭と小旅行をするほど仲が良かったとは驚きだな」


「……まぁ、同じ本が好きだったらしくてな」


 と設定を話す。

 同時にヒュプノスの欺瞞工作というか改変は対策の専門家でもあるガーガも騙している様子だ。


「ガーガから注意するのもあれだし、あまり強くも言えないがちょっと軽率じゃないか?」


「まぁ、分かる」


 同意する。

 普通の教師ならまず行わない行動だ。


「でも俺が頼んだことなので悪いのは俺だな」


「? なんでだ?」


 疑問が飛んできた。

 少し考えてその疑問の理由に思い当たる。

 ガーガからしたらごく普通の養護教諭でこういう危険なことに連れ出される人間ではないのだ。


「正直なはなし強いんだよ、なんかの格闘技の段持ちで今回あのトラブルに巻き込まれた時もおかげで助かった」


「ああ、木下の家とその後の脱走か、あそこまで大きな物になるとはさすがにガーガも見抜けなかった」


 そのご俺をじっと見てくる。

 そして不思議そうに質問してくる。


「それにしてもなぜわざわざ危険な場所に向かったんだ?」


「あー、とな、ちょっと罰当たりな話になるんだが家の中で骨壺を見つけてな」


「……家の中を探索していたら虐待の証拠が出てきてことは聞いたが、一体家の中で何が起きていたんだ?」


 かなり端折って話していたので確かに家の中の心霊現象じみた話は省いていたことを思い出す。

 なので家の中から最後に墓場に行くまで話を思い出しながら話していく。


「まず家の中に入ったら、ポルターガイストじみた現象が起きて閉じ込められた」


 そこでヒュプノスがやった特殊能力の事は話すつもりが起きなかった。

 いまだに俺の精神はヒュプノスに紐づけられているという事もあるのだろう。


「最初の猛攻は何とかしのぐことができて、そうしている間に襲ってくる相手の特性わかった」


「それは一体?」


 ガーガへ一度うなずいて思い出すふりをしながら話す。


「目と耳が極端に弱く、床や壁に触れたときに感知するってことだった」


「その条件ならほぼ詰みじゃないのか?」


 首を振って否定する。

 実際はまるっきり嘘だが神妙な顔をして答える。


「違う、振れた瞬間を感知するんだ、だからすり足をすれば感知から逃れられた」


「なるほどな、理由はわからんが知らなかったら見えない場所から攻撃され続けるのか」


 とうなずいている。

 嘘を浮いていることに気が引けるがなんとかそのことを出さないようにする。


「そしてさっき言った通り家の中で閉じ込められていた証拠と写真を撮っていた証拠を押さえた、その時点では閉じ込められていた木下が関係していると思っていたんだが、真倉先生が言ったんだよ」


 言葉を切る。

 ガーガもまたじっと話を聞いている様子だ。


「閉じ込められていた人間がさらに閉じ込めるのは少しおかしくないか? って」


「うーむ、そんな気もするが、その手の存在は大体が理不尽なものだ、やってもかしくない気もするが……まぁ、それほど突飛な発想ではないな」


 とガーガは半信半疑だ。

 その言葉に俺もうなずくが、話を続ける。


「実際探したら母親の浮気と、父親が家に執着している理由と思われる物……骨壺を見つけた」


「なるほど」


 そのガーガを相槌を受けて、さらに話を続ける。


「で、骨壺から出て来た父親の興味がひけそうなもの、何かの映像が入ったDVDだと思う、それを使って家の外に脱出して、成仏させるために最終地点である墓に向かったわけだ、そうしたらあのデッカイ壺が出て来た」


「なるほど大体わかった」


 ガーガはうなずいた。

 その後は必死に墓場に向かって納めたと言って話を終了した。

明日も頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ