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第一一四話

出来ました。

「ほう……倒した後、何かが襲いかかってきたと?」


 俺たちが戦ったヤヌスとその後のナニカの話をガーガに行った。

 すると少しだけ考えこんでいる。


「正直にいうと正体は全く分からん」


 セレネもまた同じらしくうなずいている。

 しかしヒュプノスは何か心当たりがあるようだ。


「一つ、いいですかぁ?」


「なんだネム? 心当たりでも?」


「心当たりと言えば心当たりですが、二柱がかかわっている可能性がありますねぇ」


 その言葉にガーガとセレネが首をひねる。

 そこに軽やかな声が入ってくる。


「それを想像できるのは流石ね、ヒュプノス」


 と死に装束のように真っ白な女――ヘラが現れた。

 正体をばらされたヒュプノスは何とも言えない表情をしている。

 ガーガたちは驚いた表情をするが、首を振って頭を切り替えたようで。


「詳しく頼めるか?」


 とガーガが問いかける。

 なのでヒュプノスは一瞬ヘラに視線を向けるが、ベールの奥でクスクス笑うばかりだ。

 仕方がない。

 とばかりにヒュプノスは肩を落として話始める。


「まず双貌の神ヤヌスですけど、これはかなり特殊な性質を持ちますよぉ」


「そうなのか? 今まででた記録がないからまったくわからなかった」


「今まで一度もか?」


 俺のその質問にガーガがうなずく。


「ああ、アレスやユピテルは比較的多いんだがヤヌスなんて神は初めてだし、ヒュプノスが夢以外に出てくるなんて事態は間違いなく史上初だ」


 とガーガたちは何とも言えない表情をしている。


「まぁ、混乱しているの分かりますけどいま大切なことはヤヌスとそれから生まれた神の方じゃないですかぁ?」


「……まて、ヤヌスから生まれた神だと!?」


 ガーガが慌てた様子で聞き返す。

 それにヒュプノスは頷いて続きを話す。


「ヤヌスという存在は特殊な成り立ちをしています、双貌の神の名の通り二面性、ありていに言うと多重人格者が

元になるんですよぉ」


「……なるほど、フタバは多重人格者だと?」


「そうなりますねぇ、そして今までの神が苗床とした人は精神に異常をきたしましたよねぇ?」


 それにはヘラがうなずいた。


「まぁほとんどは乗っ取る形をとますね、融合という方が近いですが」


「なかなかとんでもないことしているな」


 ぼそりというと、ガーガが先を促す。


「そこまでは知っているが、わざわざ行ったという事はヤヌスは特殊なのか?」


「ええ、元々精神的な病気の一つだからというのもあるでしょうが、ヤヌスは精神片方にの異常を引き起こすんですよぉ」


 そのままヒュプノスは説明を続ける。


「つまり精神を片方のみ乗っ取るのですねぇ」


「なるほど」


 ガーガはそこで一つうなずいた。

 なら。

 と言いながら聞き返す。


「ヤヌスから生まれる神とはつまり――」


 その言葉にヒュプノスはうなずく。


「ヤヌスともう一つの精神、その二つを苗床とした規格外としか言えない存在ですねぇ」


 その言葉に沈黙が満ちる。


「ユピテルとヘラ以上と考えてもいいのか?」


 その言葉にはヒュプノスは首を横に振る。


「わからない、というのもここまでの話はあくまで出来るというだけの話なのですからねぇ」


 そこから先はヘラが引き継いだ。


「そこまで知っているヒュプノスが異常ね、そしてヒュプノスが言ったように出来るという話で、一度だけ出来たことがあるの」


「それは?」


 ヘラは少しだけ考えて、あきらめたように両手を上げる。


「天地開闢を狙った集団ね、今の世界の否定を行うためとか言ってものすごい手間暇をかけていたわね」


 あまりのスケールにさすがに閉口する。

 それを見たヘラは落ち着くよう話しかけてくる。


「落ち着いて、その時の存在は倒されたわ」


「……規格外の存在と言っていたのにか?」


 どこか誇らしげにヘラは話す。


「良人と私がやったんです、生まれた瞬間に最大出力で空間ごと吹き飛ばしたんですよ」


 その言葉で恐ろしいことに気付く。


「つまり正面からは勝てていないんだな」


「……そうね、運がよかったわね」


 そして今は間違いなく生まれてしまった後だ。

 今はまだ無事そうだが、何をしてくるかわからない。

 そんな締め付けられるような恐怖を感じる。


「ただ、朗報がありますねぇ」


 とヒュプノスが話す。

 全員で一斉にヒュプノスを見る。

 そしてヒュプノスは俺を見ている。


「何かあるのか?」


 視線の意味をヒュプノスに問いかける。

 するとヒュプノスはうなずいて、俺――正確には俺のポケットを指す。

 そのポケットはヤヌスから渡されたガラス玉らしきものを入れたポケットだ。


「そこに入っている物は木下ちゃんの精神の根元とでもいうものですよぉ」


「つまりこれを返せばふたばは元に戻るのか?」


 その言葉にヒュプノスは何とも言えない表情を浮かべる。

 続いてゆっくりと話す。


「やってみる価値はあると思いますけど、それよりも大切なことはヤヌスから生まれた存在は大谷君が手にしている分足りていないということですよぉ」


 と言っても。

 とヒュプノスは続ける。


「人の一部ですから微々たるものです、でも足りていないのは確かですよぉ」


「……なるほど」


 そしてヒュプノスは俺の頭に手を置いて語る。


「最後の最後までヤヌスからの信頼を手に入れた大谷君のお手柄です、そこは誇っても良い事ですよぉ」


 と語りかけられた。

 そしてポケットからガラス玉を取り出して、じっと見つめた。

明日も頑張ります。

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