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第一話

更新頑張ります。

「っ!?」


 今見えている光景に目を剥いた。

 それは大量の化け物を撃破して、俺を助けてくれた人間が見知った人間だったからだ。

 体を包んでいるいかにも魔法少女じみた衣装が光になり崩れた後には制服をしっかりと着込んだ女子が居る。

 輝くような緩やかなウェーブをもった金髪は肩位の長さのボブカットの栗毛になる。

 切れ長の目を持ち、精巧な人形のように整った容貌をしている。

 そんなかなり目立つ奴を俺は知っている。


陽川 由美(ひかわ ゆみ)……」


 クラスメイトであり、幼馴染の名前だ。

 その名前を呟いたとき首筋に冷たいモノが添えられる。

 視界の端に見えるのは金属光沢をもつ何かだ。


「声を出すな」


「っ!!」


 低く落ち着いた、しかし深い覚悟が感じられる声だ。

 岩がくくり付けられたように指一本動かせなくなる。

 内臓をつかまれたように息苦しくなる。


「あ――」


 何かを言おうとした時、首に添えられたモノが押し付けられる。

 その感覚はとっさに声を飲み込ませた。


「声を出すなと言っただろう?」


 口調も声質も変わっていない

 しかし明らかに何かのギアが上がったように感じる。


「名前がわかる物を見せるんだ、ゆっくりとな」


 首の動きだけでうなずく。

 そしてかばんから手触りだけで財布を選んで中から学生証を取り出し指でつまみ手を挙げる要領で渡す。

 話しかけてくる相手はその学生証を取り中を読み上げる。


大谷 亜守(おおたに あもり)、校名からするとユミと同じところか……もしかしてクラスメイトか?」


 その質問にうなずきを返す。

 すると相手は興味深そうに聞き返してくる。


「ほぅ……なんで追いかけてきた? 好奇心か?」


 首を振って否定する。

 完全に偶然なのだ。

 相手は少しだけ間をおいて、口を開く。


「ならなぜここに来た? 最初から説明を」


 その言葉にうなずいて、今日の放課後の頃からを思い出しながら説明を始める。


==========


「アモリ、少し手伝ってほしい事がある」


 放課後帰る準備をしていると陽川から声がかけられる。

 その口調は幼馴染だからこその気安さがある。


「買い出しだな?」


「ああ、食い盛りでな」


 いつも通りのやり取りをしながら思い出すのは陽川の家の事だ。

 陽川の両親は仲が良い夫婦で有名だ。

 仲が良い夫婦がボルテージが上がった結果起こることは一つだ。

 そんな感じで食べ盛りで伸び盛りのちびっこが五人いる。

 母親の方はなんと末っ子がもう一人できているらしくそろそろ二桁目に突入しそうだ。

 そんなわけで陽川家の買い出しを手伝うのはよくある。


 予定としては買い出しを手伝い、その後に礼として夕飯をいただくことになる。

 なので家にその旨を伝える必要がある。

 と思っていると聞きなれた、少し高めの声が聞こえてくる。


「あ、二人とも今帰るところ?」


 その声に食い気味に反応したのは陽川だ。


「あ、ああそうだ!!」


 話しかけてきたのは月宮 御船(つきみや みふね)

 線の細い顔で、声も高く、体格も華奢な部類に入るがれっきとした男だ。

 色々あって俺と陽川の共通の友人だ。


「月宮は今帰るところか?」


「ううん、これから合唱部の部活」


「そ、そうか……」


 陽川はどうもただの友人であると思っていない様子だ。

 その事実に苦笑を浮かべ――


==========


「長い、早くしろ」


 抑揚のない言葉で急かされる。

 決して怒気をはらんでいるわけではないが肝が冷える声だ。


「わかった、わかったから首筋をピタピタするな」


「お前の態度しだいだ」


 息をのみ、説明を急ぐことにする。

 何かのはずみでざっくりやられたらたまらない。


「結局陽川の買い出しを俺が代わりに行くことにしたんだよ、陽川はおそらく月宮が好きだからな」


「……続けろ」


 冷や汗を流しながら、相手を刺激しないように伝えるべきことを考えながら口を開く。


「その帰り道、モノクロの世界に知らないうちになっていて、アレに襲われたんだよ!!」


「ほう、ただの人が来れる場所じゃないぞ」


 痛みすら感じるほど鋭い視線を感じる。

 おそらく妙な動作や返答を間違ったら殺される。

 そう確信するに足るほど物騒な視線だ。


「だから知らないんだって、嘘じゃない!!」


 だから全く心当たりがないことを伝える。

 不審だろうが正直に言うべきだ。

 ごまかそうとすることがもうすでに危険だ。


「……買い出しと言ったな?」


「ああ、言ったさ!!」


 相手は何かが引っかかったのか聞き返してくる。

 だから必死に肯定する。


「その代金はどこから出した?」


「陽川の財布だよ!! あと手書きのメモもある」


「それか!!」


 何か合点がいった様子だ。

 その答え合わせをするよためにゆっくりとかばんに手を入れて陽川の財布を見せる。

 相手もさすがにそれは手を取ろうとしていない。


「原因は手書きのメモだな、すまんなボウズ」


 首筋に押し当てられていたモノが離される。

 それを確認して胸をなでおろす。

 そうしたら一方的な尋問を受けたことに対してだんだん頭に来た。


「ボウズって、アンタがさっき確認したように大谷 亜守ってちゃんと名前がある!!」


 言いながら振り返る。


 するとそこにはありえないモノが見える。


「コケェ?」


 パステルイエローのえらくファンシーな色をしてデフォルメされた鶏が()()()()()

 そして手には銀色に輝くある者を翼で器用に持っている。


「お前ナイフかと思ったら()()()()()()!!」


「コケケケ、慌てるお前はコッケェだったぞ!!」


「鶏使ったジョークを言うなよ」


 そんな突っ込みを脱力しながら行った。

明日も頑張ります。

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