第三十八骨 隠し骨
熊骨が振り下ろした爪を潜り抜けるように躱す。
手の骨と融合した人間の頭蓋が俺に噛みつこうとするが、それに合わせて、標準を合わせる。
(歯銃)
噛みつこうとした、口の中に歯弾をぶち込むと、ぼんっ、と頭蓋が割れて、散らばっていく。
(あと、10)
両手両足にある頭蓋をまず片付けた。
あとは腹の5、背中の3、頭の2だ。
歯弾の数は残り20発。
2発に1発当てれば、すべての頭蓋を砕くことができる。
順調にいっていると思っていた。
接近戦さえ、避けていれば、攻撃を受けることもない。
熊骨だけなら素早く動けたかもしれないが、いくつもの頭蓋と合体しているため、動きが鈍く、捕まることはない、そう思っていたのだ。
突然、ゴンッと、何かが足に当たった。
バランスを崩して、その場で転ぶ。
(なんだっ?)
それは最初に攻撃した時に犬骨に噛まれて、奪われた背骨ムチだった。
投げたのか? いや、熊骨の手に背骨ムチは握られてなかったはずだ。
途中で地面に落としていたと思っていた。
カッ、カッ、カッ、と歯を鳴らしたのは、背中にある三つの頭蓋だ。
(コイツらがくわえて隠していたのか!)
ただ、付属しているだけではない。
頭蓋の一つ一つが意思を持っている。
慌てて、しゃがんだ姿勢から立ち上がろうとした。
しかし、足骨に背骨ムチが絡まり、すぐに外れない。
ここぞとばかりに、熊骨が襲いかかり、爪が伸びた右腕骨を振り下ろす。
(くっ)
咄嗟にでたのは、いままでゴリラアバラ盾を持っていた左腕骨で頭をかばう。
当然そこには、盾はない。
無情にも渾身の熊骨の一撃が、左腕骨にのしかかる。
べぎゃ、という破壊音と共に、前腕部にある尺骨と橈骨が同時に折れて砕けた。
ゴリラ骨に負けないパワーに戦慄する。
足骨に背骨ムチを絡めてたまま、芋虫のように地面を這いずりまわって逃げようとする。
ガッ、と後から左の肩甲骨を犬骨に噛みつかれた。
まずい、と思ったときには行動する。
このまま、噛まれたままだと、なぶられるだけだ。
俺は自ら噛まれている肩甲骨の関節球を外し、とかげのしっぽきりのように逃げ出した。
肩甲骨を外したことにより、左の上腕骨も外れ地面に落ちる。
(こ、この犬畜生がっ!)
完全に左手骨を失い、片腕になったが、そのまま右で歯銃を構え、犬骨の頭蓋めがけて振りかぶった。
(あっ)
犬骨の頭蓋が、大きな盾で守られている。
俺から奪ったゴリラアバラ盾だっ。
(コイツ、このタイミングで、俺から奪った武器を利用しだした!)
放たれた歯弾がゴリラアバラ盾に喰い込んで、小さな穴をあけた。
熊骨の身体をしているが、こいつは獣じゃない。
多くの人間が共存する混合骨なのだ。
このままでは勝てない。
そう、強く実感する。
この戦いでさらに歯銃を進化させる。
それが唯一、生き残る道だと感じていた。
【骨骨メモ】
日付 7日目
骨強化 4回
追加骨 仙骨1 牛角骨1 腰椎5 胸椎12 猿尾骨 1 頚椎7
総合骨数 243骨
武器 骨ヌンチャク 背骨ムチ(損失中) ゴリラアバラ盾(損失中)
必殺骨 歯銃(開発中)(残り19発)
保存砂骨 480グラム
現在の骨強度 銅貨程度
負傷箇所
左肩甲骨 損失
左上腕骨 損失
左尺骨 粉砕骨折
左橈骨 粉砕骨折
第三十八骨です。
ここまで読んでくださった読者様、ありがとうございます!
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どうか骨をよろしくお願いします!
追記
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