第三十七骨 歯銃
右の人差し指の骨。その指節骨に細長い骨をはめ込む。
地面に落ちていた腓骨。
足にある脛骨の外側に平行して並ぶ長骨で,脛骨よりはるかに細い。
それを人差し指の倍くらいの長さに折って、中の空洞を調節する。
ピタリとハマった腓骨を上に向けて、そこに抜いていた歯を入れた。
火薬がないので、銃のようなスピードは出せない。
だが、遠心力を利用して、普通に投げるよりは早く、そして正確に飛ばすことができる。
人差し指と親指以外の指骨を内に曲げ、親指を立てる。
右手を銃の形に見立てて、頭蓋の横に構えた。
(歯銃)
出来れば必殺技は口に出したいが、声はでない。
力強く右手を振り下ろすと、人差し指に装着した腓骨から、歯が飛び出した。
ガッ、と熊骨が歯を大きく鳴らして、四つ脚になり突進してくる。
その頭蓋に、飛び出した歯弾がぶち当たった。
ピシッ、と熊骨の頭蓋にヒビが入る。
元からあった穴を通すことは出来なかったが、やはり、歯の強度は骨よりもはるかに硬い。
突進していた熊骨が立ち上がり、ヒビの入った頭をさわる。
ガ、ガ、ガッ、と連続で歯を鳴らし、怒りを露わにした。
(いける、いけるぞっ)
新たな歯弾を、腓骨に装填する。
欠点は1回に1発にしか打てないことだ。
この戦いが終わったら、さらに改造しよう。
再び四つ足になった熊骨に向けて、歯銃を構える。
不思議と気分は落ち着いていた。
骨のことに詳しいからか。
最初からどのくらいの角度と力で振りかぶれば、どこに飛んでいくのか、ある程度のイメージが頭に浮かんでいた。
(歯銃)
2発目の歯弾は、熊骨の眉間に空いた穴に、吸い込まれるように入っていった。
ゴンッという音が響いて、熊骨の後頭部を歯弾が突き抜ける。
熊骨の頭蓋がガクンとうなだれ、そのまま動かなくなった。
(か、勝ったのか?)
わずか2発で、あっさりと決着がついたと思った。
だが、次の瞬間に、止まっていた熊骨が再び動き、俺に襲いかかる。
横に大きく転がりながら、その攻撃を避ける。
熊骨の頭蓋はダラリ、と垂れ下がったままだ。
しかし、左右の人間と犬の頭蓋が、カタカタ、と歯を鳴らし、俺を睨んでいる。
(あの二つも壊さないといけないのか? ……いや、ちがうな)
熊骨の腹にある家族のような五つの頭蓋。
さらに、両手両足にある四つの頭蓋。
背中にある三つの頭蓋。
そのすべてがカタカタ、と歯を鳴らして笑っている。
(あと14。全部壊さないといけないのかっ)
残りの歯弾は、26発。
いいだろう。全部の頭蓋を撃ち抜いてやる。
襲いかかってくる頭蓋の集合体に向け、俺は再び歯銃を構えた。
【骨骨メモ】
日付 7日目
骨強化 4回
追加骨 仙骨1 牛角骨1 腰椎5 胸椎12 猿尾骨 1 頚椎7
総合骨数 243骨
武器 骨ヌンチャク 背骨ムチ(損失中) ゴリラアバラ盾(損失中)
必殺骨 歯銃(開発中)(残り26発)
保存砂骨 480グラム
現在の骨強度 銅貨程度
負傷箇所
全回復
 




