表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸の王【むくろのおう】  作者: アキライズン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/45

第二十九骨 盾骨

 

 まず1番に目についたのは、ゴリラ骨の追加骨だ。

 それはこれまでの追加骨で一番大きなサイズだった。


(肋骨が全部揃っている)


 それは猿骨に奪われ、ドラミングができなくなったゴリラ骨の頑強な肋骨だった。


(隙間なく、肋骨が密集している。これは……)


 手に取って確かめて見る。

 ズシリ、と重たいゴリラの肋骨は、下にいくほど広がって逆三角形になっていた。

 それをあえて、反対にする。


(……盾だ)


 それを前に構えると、身体の半分以上が隠れる、巨大な盾のように見えた。

 強度を確かめるために、軽く拳で叩いてみる。

 どん、とゴリラ骨がドラミングをした時のような音が響き渡った。


(これは、使えるな)


 いままでにない、防御型の追加骨に、かなりの好感触を感じる。


 ゴリラアバラシールド


 自然にその名前が頭に浮かぶ。

 これがあれば、今回の戦いのように集団に囲まれても、広範囲で攻撃を防げそうだ。


 ゴリラアバラシールドを右手骨で持ち、左手の前腕部ぜんわんぶにある尺骨しゃっこつ橈骨とうこつの間に合わせる。

 追加骨についていた関節球が、ピタリ、と前腕部と重なり合って一体化した。

 これで、両手の自由を得たまま、ゴリラアバラシールドを使うことができる。


 欠点は少々重たくて、動きが鈍ることぐらいだ。

 その点は骨を強化していけば、なんとかなりそうだった。


(さて、次は)


 追加骨はまだあった。

 猿骨が残していった追加骨だ。

 これはゴリラ骨と違い、二つある。

 どうやら、俺と女骨じょこつの二人分が出たらしい。


(これは? どこの骨だ?)


 手に取って見てみるが、人間にはない骨だった。

 いや、似たような骨はある。


(そうか、これは尾骨びこつか)


 人間の尾骨は3から6個の尾椎が結合して、他の動物に比べて著しく退化した痕跡器官となっている。

 だから、人間には、尻尾として対外には現れず、その機能を果たす事はない。


 だが、猿のように尻尾を使って木にぶら下がったりする動物の尾骨は、背骨のように沢山の骨が重なり合い、長くなっている。


(これは、尻尾として使えるのか?)


 退化した自分の尾骨に長い猿骨の尾骨を合わせると、嘘のように簡単に繋がった。


(コントロール出来るのか?)


 試しに動かして見ると、思い通りとはいかないまでも、右に左に大きく動く。

 細かい動きは、まだできないが、慣れれば、武器などを尾骨で拾ったり、できるようになるかもしれない。


 女骨も俺と同じように尾骨を装着して、動かしていた。

 勢い余って、自分で自分の尾骶骨びていこつを叩いている。


 カカッ、と歯を慣らし思わず笑うと、睨まれてしまった。

 怖いので、視線を逸らして口笛を吹く。

 骨の隙間からひゅー、ひゅー、という乾いた音が聞こえてきた。


(大苦戦したが、それなりに報酬は大きかったな)


 敵が強ければ強いほど、それを倒せばそれだけ強くなれる。

 それを嫌というほど実感した五日目の夜だった。




【骨骨メモ】


 日付 5日目

 骨強化 3回

 追加骨 仙骨せんこつ1 牛角骨うしつのぼね1 腰椎ようつい5 胸椎きょうつい12 猿尾骨 1

 総合骨数 236骨

 武器 背骨ムチ ゴリラアバラシールド

 保存砂骨 500グラム

 現在の骨強度 ひのきの棒レベル

 負傷箇所 

 全回復



 仲骨 女骨じょこつ


 日付 3日目

 骨強化 2回

 追加骨 仙骨せんこつ1 猿尾骨 1

 総合骨数 208骨

 武器 骨ヌンチャク 

 現在の骨強度 脆弱せいじゃくと貧弱の間

 負傷箇所 

 全回復

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どうにかこうにか勝って順調に強化されてますけども 骸の王が扉の向こうからいつやってくるかドキドキもの
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ