第二十五骨 入り乱れ骨
自分も含め、現在の骨戦力を確認する。
ゴリラ骨は、かなりの数の骨を抜かれており、力が半減していた。
もし、最初のままだったら、俺の頭蓋骨は猿骨ごと砕かれていただろう。
次に猿骨は、最初数え切れないほどの数をだったが、今はもう二十匹ほどに減っている。
噛むだけではなく、骨抜きを覚えたのは驚異だが、こちらも戦力は大幅にダウンしていた。
そして、最後に自分だ。
唯一の武器である背骨ムチを右上腕骨ごと失ったのが痛い。
身体中の骨をもボロボロで、どんな攻撃を喰らっても、それが致命傷になりそうだ。
(一旦、引いたほうがいい。だが、見逃してくれるのか?)
猿骨は、ゴリラ骨と俺の両方を囲んでいる。
ゴリラ骨は、動かず穴の中央で、前屈みになりながら構えていた。
(ダメだ。おそらくどちらも、俺のことを警戒している)
ゴリラ骨と猿骨を共倒れにさせるには、どうすればいいのか。
いや、最悪なのは、どちらも俺を先に片付けようとした場合だ。
それは、一か八かの賭けだった。
ゴリラ骨を取り囲む猿骨と同じように、その輪の中に入っていく。
俺もゴリラ骨を襲うという意思表示を、猿骨共に認識させる。
カッ、カカッ、と猿骨共は警戒して、歯を鳴らすが襲ってはこない。
ゴリラ骨の威圧感のほうが俺よりも格段に上なのだ。
協力するなら今は見逃してやろう、そんな猿骨共の意志が伝わってくる。
ゴンッ、とゴリラ骨が地面を叩いた。
肋骨を奪われ、ドラミングができない苛立ちが伝わってくる。
それが、戦闘再開の合図となった。
猿骨共がゴリラ骨に襲いかかると同時に、俺もゴリラ骨に向かっていく。
(これが最後の攻防になるっ)
ゴリラ骨の拳骨は、猿骨の一体を砕きつつ、俺の頭蓋骨を襲う。
それを間一髪のところで、しゃがんでかわした。
そのまま、ゴリラ骨の横をすり抜けるように走り抜ける。
目的は猿骨に奪われた、右上腕骨と背骨ムチだ。
ゴリラ骨のすぐ近くに捨てられていた右上腕骨を左手骨で拾う。
(関節球が無事なら、もう一度接続できるはずだっ)
猿骨共がゴリラ骨と戦う中、外された右上腕骨を肩骨と繋ぎ合わせる。
それは外す時より簡単にピタリとハマり、元通りになった。
(あとはもう、どっちも関係ないっ!)
ゴリラ骨に残った猿骨共がまとわりつき、骨を外して奪っている。
ゴリラ骨は自身のダメージを顧みず、猿骨ごと己の身体を叩いていた。
そこに俺も参戦する。
(砕けろっ! 全部、砕けてしまえっ!)
目標を定めずに、ただ背骨ムチを振り回す。
ゴリラ骨も、猿骨も、そして俺も、入り乱れるように、骨と骨がぶつかり合う。
そして、ついに……
大きく骨が砕ける音が穴に響き、一つの勢力が終わりを告げた。
【骨骨メモ】
日付 5日目
骨強化 2回
追加骨 仙骨1 牛角骨1 腰椎5 胸椎12
総合骨数 235骨
武器 背骨ムチ
現在の骨強度 脆弱と貧弱の間
負傷箇所
右脚大腿骨 亀裂骨折
頭蓋骨 亀裂骨折 大
他多数亀裂骨折
仲骨 女骨
日付 3日目
骨強化 1回
追加骨 仙骨1
総合骨数 207骨
武器 骨ヌンチャク
現在の骨強度 貧弱貧弱
負傷箇所
背骨胸椎 亀裂骨折
左手上腕骨 開放骨折
右脚大腿骨 開放骨折
他多数亀裂骨折




