第二十三骨 ゴリラ骨
ゴリラ骨の登場により、猿骨は俺達への攻撃を停止した。
警戒度マックスでゴリラ骨の周りを取り囲む。
身体に纏わりついていた猿骨が離れていき、自身のダメージを確認する。
まずい。思った以上にダメージを喰らいすぎた。
身体中の骨が、かなりひび割れ、骨折している。
かろうじて動けるが、後、少し攻撃されていたら、バラバラになっていたレベルだ。
隣で倒れている女骨を確認すると、俺よりもダメージが酷かった。
左手の上腕骨と、右足の大腿骨が、完全に折れてなくなっている。
骨強度が俺よりも低いためだろう。
もう、女骨はまともに動けない。
ゴリラ骨が猿骨を全て片付けても、俺達はゴリラ骨にやられるだけだ。
両方が共倒れ、もしくは生き残ったほうが、瀕死でなければ勝ち目はないだろう。
ゴン、ゴン、ゴン、ゴンッ、と、再びゴリラ骨が肋骨を強く叩き、ドラミングをする。
ゴリラと人間の遺伝子は98%以上が同じと言われていた。
しかし、その骨格は、人間とはかなりかけ離れている。
肋骨や骨盤は、倍以上の大きさで、骨の一つ一つが、かなり丈夫そうだ。
頭蓋骨のてっぺんにある矢状の隆起も猿骨よりも鋭く発達していた。
(武骨と同じですでに強化されているのか? いや、最初からゴリラの骨はあのように頑強なのかっ)
猿骨の大群に、勝るとも劣らない迫力がゴリラ骨から漂ってくる。
どちらが勝つのがまったく予想がつかない。
猿骨共はゴリラ骨を囲みながら、だんだんとその円を縮めていく。
今にも、襲いかかりそうな猿骨をゴリラ骨はチラリと一瞥し……
ゴッ、といきなり、拳骨を叩きつけた。
ぐしゃり、猿骨の頭蓋骨が背骨ごと押し潰され、地面までめり込んでいく。
圧倒的なゴリラパワーは骨になっても変わらないのかっ。
潰れた猿骨を見て、他の猿骨供が歯を鳴らして、興奮し出す。
(戦いが始まるっ!)
俺達の時と同じように、猿骨が一斉にゴリラ骨に襲いかかる。
振り払うように、ゴリラ骨が両手骨を振るい、猿骨が二、三骨、同時に砕け散った。
だが、それぐらいでは猿骨供は止まらない。
ゴリラ骨を覆い尽くすように、猿骨供が群がっていく。
俺達と同じように、ゴリラ骨も一瞬で飲み込まれた。
加勢したほうがいいのか?
そう思った瞬間だった。
無数の猿骨がしがみついたままの状態で、ぶわっ、とゴリラ骨が飛び上がる。
そして、両手骨を振り上げて、地面に叩きつけた。
ドドンッ、という激しい音がして、地面が陥没する。
その衝撃で、ほとんどの猿骨がゴリラ骨からひっぺがされた。
(強いっ! しかもダメージがほとんどないっ!!)
猿骨が噛み付いていたようだが、ゴリラ骨にはヒビ一つ入っていない。
圧倒的なパワーと、頑強なボディは、無数の猿骨共ですら、ものともしないのかっ!?
勝利を確信したのか、ゴリラ骨が再び肋骨を叩き、ドラミングをしようとする。
だが、その腕骨が、寸前で止まった。
(肋骨が、二本、抜けているっ!?)
カカッ、とゴリラ骨から離れた猿骨が、両手にゴリラ骨の肋骨を一本ずつ持って、笑っている。
(は、外したのか? 関節球を触ってっ?)
猿骨共が再び、ゴリラ骨に襲いかかり、戦いは第二ラウンドに突入した。
【骨骨メモ】
日付 5日目
骨強化 2回
追加骨 仙骨1 牛角骨1 腰椎5 胸椎12
総合骨数 235骨
武器 背骨ムチ
現在の骨強度 脆弱と貧弱の間
負傷箇所
右脚大腿骨 亀裂骨折
他多数亀裂骨折
仲骨 女骨
日付 3日目
骨強化 1回
追加骨 仙骨1
総合骨数 207骨
武器 骨ヌンチャク
現在の骨強度 貧弱貧弱
負傷箇所
背骨胸椎 亀裂骨折
左手上腕骨 開放骨折
右脚大腿骨 開放骨折
他多数亀裂骨折
 




