表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

第十六骨 砂骨

 

 何が起こったのかわからないまま、武骨ぶこつとの戦いが終わっていた。

 足元でバラバラになった武骨は、これでもか、というばかりに解体されている。


 骨と骨の繋ぎ目が綺麗に外れていた。

 自分の骨を外そうとしても、まったく外れなかったのにどうやって、武骨の骨を外したんだろうか。


 頭蓋ずがいが真っ白になってからの記憶がなく、見当もつかない。


(そうだっ、女骨じょこつは大丈夫なのかっ)


 俺を庇って背骨を折られた女骨に、駆け寄ろうとして蹴躓けつまずく。

 右脚の大腿骨だいたいこつを折られていたのを忘れていた。


 這い寄るように女骨の元へ行くと、ぐったりと倒れたまま、ほとんど動いていない。

 前回の戦いで、頭蓋骨や心臓部だけではなく、背骨を砕かれても活動を停止することがわかっていた。


 このままだと女骨は砂化してしまう。

 その前に武骨が砂化すればいいのだが、一つ問題があった。


 記憶はないが、今回、武骨を倒したのは俺のはずだ。

 だとしたら、回復や強化は、女骨はできないかもしれない。

 それは、女骨の消滅を意味している。


 おそらく、俺たちは生前の知り合いで、お互いに大切な人だったのだろう。

 だから、女骨は命がけで俺を守ってくれたし、俺も女骨がやられるのを見て、頭蓋が真っ白になった。


 一瞬だけ浮かんだ母娘の姿は、女骨が人間だった時のものなのか。


(……あっ)


 バラバラになっていた武骨の砂化が始まった。

 予想通り、俺のほうに骨砂が纏わり付く。


(このままではまずいっ)


 折れた右脚大腿骨(だいたいこつ) に入り込む骨砂を手で掴む。

 それを女骨の砕けた背骨に塗りたくる。


(頼むっ、助かってくれっ)


 これで回復が始まらなければ、どうしようもない。

 自分の大腿骨につく砂骨を何度も何度も、女骨の背骨に移動させる。


 動かなかった女骨が、ピクッと反応した。

 粉々だった背骨の胸椎きょうついが、ゆっくりと回復している。


(……よかった。今度は間に合った)


 記憶がないのに、そう思ったことに驚いた。

 そうか、前は間に合わなかったのか。

 胸骨のあたりが熱くなる。

 骨の身体になって、無くしたはずの記憶や痛みは、骨のどこかにまだ残っているのだ。


 武骨の砂骨がなくなり、回復が終わる。

 しかし、女骨の背骨にはまだヒビ割れが残っていた。

 自分の右脚大腿骨にも同じようにヒビが入っている。

 二人で回復を分け合うことができたが、どちらも完全には回復できず、骨強化もできなかった。

 骨砂を分けて与えることは、自分が回復するより、消耗が激しいのかもしれない。


(……あとは追加骨か)


 武骨が砂化したあたりに、いつものように崩れずに残った骨があった。


 背骨の中心部である12個の胸椎きょうついだ。

 前回手に入れた5個の腰椎ようついの上に繋げることが出来た。

 やはり、手に入る骨は、ランダムではなく、順番が決まっているのだろう。

 そして、今回、武骨が残したものは、それだけではなかった。


 上腕骨と上腕骨を鎖で繋げた骨ヌンチャクが、崩れることなく残っている。


 俺達を苦しめた強力な武器を手に入れた。





【骨骨メモ】


 日付 4日目

 骨強化 2回

 追加骨 仙骨せんこつ1 牛角骨うしつのぼね1 腰椎ようつい5 胸椎きょうつい12

 総合骨数 235骨

 武器 骨ヌンチャク

 現在の骨強度 脆弱せいじゃくと貧弱の間

 負傷箇所 右脚大腿骨(だいたいこつ) 亀裂骨折



 仲骨 女骨じょこつ


 日付 2日目

 骨強化 1回

 追加骨 仙骨せんこつ

 総合骨数 207骨

 現在の骨強度 貧弱貧弱

 負傷箇所 背骨胸椎(きょうつい) 亀裂骨折

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ