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混沌への一歩

そして、東京千代田区では3台の車が車列を組んで走っていた。

1台はリムジンで、残りの2台の警護車が前後を走る、コンボイと言われる車列である。


「くっ...どうなっているんだ!」

「総理、少し気を休められた方がよろしいかと。」

「だが、このままでは日本が...いや、世界規模で社会が崩れるぞ。」

「まるで世紀末のように...ですか?」

「そうだ、世界のシステムが変わったのだぞ。今までの法律が役に立たなくなるかもしれない。それに今までは一般人に対して、警官は銃という武力のアドバンテージがあった。しかし、ネットでは、今この世界はゲームのようなシステムになっていて、化け物を倒すことで無限に強くなれる可能性があるという噂が広がっている。」

「その情報は本当に正しいのでしょうか?」

「もちろん、全ての情報を鵜吞みにするわけではないが、情報に乗っていた中で、ステータスと唱えることで自分の能力が確認できるというのは、本当だった。」

「...なるほど。では、我々は武力の確保を最優先に動くのですか?」

「いや、それも大事だが、まずは国民を安心させる必要がある。」

「確かにそうですね。では―」

「ッ!?」


急に車体が揺れ、窓ガラスが割れる。

総理はSPに守られたお陰で無事だったが、他はどうやら気を失ったか死んでしまったようだ。

辺りを見回してみると、そこには一人のフードの男が。

その男は肌が青白く、とても健康そうには見えない。


「こんにちは、ソウリ。」


状況からして、先程起こった不可解な出来事の犯人はこの男の仕業だろう。


「さっきのはお前の仕業か?」

「ええ、もちろん。」

「お前は何者だ?何が目的でこのような事をした?」

「私は高貴なるヴァンパイア族の一人、仲間からはヴェルジェと呼ばれています。私はこの地域に住んでいる人間達のリーダーを探しているところなのですが、あなたはリーダですか?」


そう言って、微笑むヴァンパイア。

私は、冷静に焦りを見せないように返答する。


「いや、私はただの人間だ。用事が済んだのであればこれにて失礼させてもらう。」


そう言った瞬間、ヴァンパイアの姿がぶれて総理の首が飛んだ。


「下等ナ人間如キガ!ワタシニ嘘ヲ!ツクナアァアアッ!!」


ヴァンパイアはそう叫ぶと総理の体をグチャグチャに踏み潰していく。

総理の体が原型を留めなくなり、ただの肉片となった頃、ようやくヴァンパイアは動かしていた足を止めた。


「ふぅ...スッキリしました。しかし、フードを被れば一応活動できるからと言って昼に活動することになるとは、面倒な仕事を押し付けられましたね。蝙蝠化もできないから移動も面倒ですし、苦情を入れに行きますか。リーダを始末したことですし。」


そして、このようなモンスターが人間達の指導者を狙う事件が、世界の主要都市を中心に起こり、人間社会は大きく変わることになる。

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