ピチピチの17歳のオジサンな一般男子高校生が泣く。
蓋を開けると、なんと黒いローブ入っていた!
ローブ(黒)を入手…ってふざけてるのはやめよう。
ローブは黒の生地に、裾や袖などに金のラインが入った、シンプルだが豪華な一品だった。
――くッ、我が闇に潜む中二の魂が疼くッ!
――これぞ、支配者たる我に相応しい一品…
うん、恥ずかしいからやめよう。
とりあえず、鑑定。
魔術師のローブ(黒) 品質(伝説)
耐久値:∞
基本性能:
INT+5%、MEN+10%
物理ダメージ軽減10%
特殊効果:
吸魂Lv1、被ダメージ軽減16%、SPD+2、経験値1.8倍
解説:
ダンジョン産の伝説級アイテム。
解説ヒドくない!?そんなん僕だってわかるよ!
てか、耐久値無限ってナニコレ、めっちゃ特殊効果ついているしチートかよ!
まあ、伝説がどのくらいのレアリティなのか分からないが、一般よりも数段階は上だろう。
伝説だから、耐久値がこんなヤバいことになっているのか?
いや、もしかしたら、宝箱や敵からドロップするような、今の世界特有のアイテムは壊れることがないのか?
品質はどちらかというと、特殊効果の数や強さに関わっている可能性の方が高いだろうから、ドロップ品だから壊れない設計になっているのだろう。
でも、その場合、要らないアイテムとかは永遠に消えないことになって、廃棄物が増えて大変なことになるだろう。
ていうか、壊れないなら刃物で攻撃されたときに布で弾くのか?それとも赤く光るのか?
鎧はどうなるんだろう、完全物理耐性じゃないとゲームだと普通にダメージ受けてるし、弾かないで赤く光るパターンだろうか。
そういえば、噛まれたときに赤く光ったので、部位欠損とかあるのだろうか、状態異常として発現するならばありそうだが。
ならば、赤い線が部位を分断するように一周して、条件(例えば瞬間のダメージ量が一定に達するとか)を満たしたら部位欠損の状態異常が発生するとか...って、今は考察している場合じゃない。
まずは、このアイテムをどうするかを考えるべきだ。
まあ、もちろん装備するんだけど。
僕は、着ていたローブを脱いで、魔術師のローブを着るために手に持った。
すると、魔術師のローブは光のエフェクトを発生させて消えてしまった。
「へ?」
僕の、ローブが、消えた???
え、なんで?
「.........返せ、返せよッ!!」
「夢のマイチートアイテムなんだよッ!!」
さて、これ以上ふざけるのはやめよう。
ハガ〇ンのファンに怒られちゃう、感動のシーンなのに。ごめんなさい。
つまりこれは、あの言葉ですよね。
「アイテムボックスッ!!!」
......
何も起きないな。
あれ?恥ずかしい思いしただけ?
オジサン泣いちゃうよ?
ピチピチの17歳のオジサンが泣いちゃうよ?いいの?
「ふっ、駄菓子菓子!まだ僕には奥の手がある!!」
「インベントリッ!!」
――シュンッ
半透明の画面が表示される。
「キタァァァ!!...あ」
「ふっ、やれやれ予想道理だったようだな...」
......テンションが高くなったのを誤魔化そうとしたら、更に地雷(中二)を踏んでしまったようだ。
そのまま悶えること数分。
落ち着いてきたので、インベントリを見るとアイテム欄に魔術師のローブが入っているのが分かる。
ゲームだとアイテムボックスよりも、インベントリって言うことの方が多い感じがするけど、なんでだろう?
まあ、それはともかく、インベントリには宝箱や敵から落ちるようなもの(アイテムと呼ぶことにする)しか入れられないのだろう。
まあ、今のところ敵からドロップしたことがないので、今までやってきたゲームによる憶測でしかないが。
魔術師のローブを指で押すと、選択肢が現れた。
選択肢は、装備、ロック、破壊の三つだったので、ロックしてから装備を押す。
ロック機能は間違えて破壊を押しても、破壊されることがないようにする機能で、所謂貴重品として大切に保管しとくみたいな感じである。
これは、昔のゲームには無かった機能で、比較的最近生まれた機能だ。
私的見解としては、スマホが普及して、スマホでゲームをする人が増えたので、誤タップによってアイテムを捨ててしまうのを防ぐために作られたのではないかと考えている。
その後、これってハード関係なく必要な機能なのでは?ということになって、色々なゲームにこの機能が追加されたんじゃないかなと。
まあ、そんなことはどうでもいい。
装備を押したら、体の周囲に光のエフェクトが発生し、着ている状態でローブが出現した。
試しに、ローブを脱いでみると、消えて、インベントリに入る。
インベントリ欄の横に装備欄があるのでそこを押してみる。
装備欄は、リストが頭、首、背中、胴、右手、左手、指×10、腕、腰、足の19個に分かれている。
19個も装備出来るの?多すぎだろ!主に指が!
まあ、指10本もあるのに1、2個しか装備出来ないのも嫌だけどさ。
因みに、背中のところには魔術師のローブが入っている。
他にも、胴や腰、足には、制作した服が、両手には木刀が入っていたが、インベントリには入れられない。
やはり、耐久値が無限のものしか入らないみたいだ。
木刀の御神体Lvが上がったら、耐久値無限になったりしないかな?
てかどうやって御神体Lv上げるの?信者増やすの?
...面倒くさいのでやめよう。
信仰対象なのに微妙な扱いだが、正直もっと良質な武器が手に入ったらそっちに乗り換えるべきだ。
これは、命がかかった、紛れもないリアルである。
だから、神だなんだの言って、こだわって弱い武器を使って死ぬよりも、性能のいい武器を手に入れたら乗り換えて、常に最善の状態で挑むべきだ。
ていうか、このローブの『経験値1.8倍』とか『被ダメージ16%軽減』とか『SPD+2』とか結構エグいよな。
特にSPD+2って装備したら約1.5倍になるのか、ということは行動速度が1.5倍になるってことで...
へ?やばくね?
今は抑えているから普通の人間の速度だが、本気を出したら、マジで前の1.5倍くらいの速度で動けそうだ。
おそらく、行動速度の限界値が5から7に上がったのだろう。
ただし、行動によって消費されるスタミナは変わらないので、約1.5倍の速度で動いたら、すぐに疲れてしまうだろう。
例えば、
木刀を振るのにSTを5消費するとして、普通の人は1秒間に一回攻撃できるとしたら、2秒間に二回攻撃できる。
しかし、行動速度が1.5倍ならば、2秒間に3回攻撃できるということになり、それはつまり、STの消費速度も1.5倍になるという事だ。
つまり、時間とスタミナだけで考えると、消費するスタミナが今までの1.5倍の速度で減っていくということになる。
これだけ聞くと、現在STの最大値が120あるので、24回振れると思うだろうが、現実はそう上手くはいかない。
敵へ移動するときには走るのでスタミナは使うし、回避にも使う、カウンターは回避と攻撃を同時に行うのでさらに普通の攻撃よりも消費が激しい。
走るとスタミナがゴリゴリ削れ、次に武器を使わない体を使った完全回避が高コスト、次が攻撃で、後は防御、受け流しの順。
防御よりも受け流しの方がいいが、技術が必要なのは言うまでもないだろう。
基本的にはスタミナは、激しい行動をするときに消費され、消費している間は回復しない。
だから、ずっと激しい攻防を行うことは出来ない。
まあ、それでも5体くらいだったら同時に相手できるし、魔術が加わったので、敵が強敵じゃないなら沢山いてもなんとかなるだろうが。
それに、スタミナ管理には慣れているし、スキルとかを上げたりすることでST消費量が少し減ったりしているので、2倍の速度でもなんとかなるだろう。
STの最大値も上がっているし、もし無理ならば行動速度を落とせばいいだけだし。
因みに、STは毎秒5%ずつ回復するため、最大値を上げるほど、1秒毎の回復量が上がる。
ついでに、疲労状態に関して分かったことがある。
疲労状態は、スタミナを激しく消費し続けると起こるっぽい。
例えるなら、STは運動とかで短時間で激しく動いたときに息切れする感じだが、疲労状態は一日中仕事で動き回ったり、デスクワークで筋肉疲労が発生するみたいな?
まあ、システム的な見解を述べるならば、ST消 費をすると、疲労として溜まって、疲労は時間経過で回復するが、疲労が溜まる速度のほうが早くて限界に達すると状態異常になる的な感じ。
具体的には、多分ST最大値の10〜20倍くらいかな?分からないけど、多分それくらいで、回復速度はSTよりも、かなり遅いと思われる。
疲労について分かったことはこれくらいだ。
ローブの話に戻ろう。
この、吸魂とは何だろうか?
文字通り考えるならば、魂を吸うらしい。
ふむ、なるほど。さっぱり分からん。
――いつも通り、理解できないものはゴミ箱にポイするか!




