僕はノーマルな一般男子高校生だッ!
『地図』スキルを入手した僕は、左の道を進んでいく。
「食料も水も見つからないなー。」
当たり前だが、こんなところで食べるものがあるとしたら、宝箱に入った謎のアイテムか敵ぐらいだろう。
しかし、宝箱はもちろん、敵一匹すら見つからない。
あの石像は動いてないからノーカウント。
そんなことを考えて歩いて行くと、先程と同じような広い空間が見えてくる。
慎重になって近づいて行く。
「ここは、トラップゾーン?」
そこは右の大部屋に深さが加わったような場所になっていて、ここから下に50メートル程いったところに床がある。
僕がいる場所の向こう側には道が見えるが、左右に石像はいない。
その代わりに、僕から見て左に階段が下に伸びており、こちら側から右下に伸びる階段を下りなければいけないのだろう。
そして、下は迷路になっていて、迷路の壁や床に一定間隔で火を噴くライオンの石像が存在している。
「回転している石像もあるのか。」
他にも明らかに矢を発射しそうなクロスボウが設置されていたり、こんなゾーンにあるはずのない丸見えの宝箱、毒霧ゾーンといった罠が点在している。
「石碑があるけど、罠を解除したりするヒントなのかな?」
毒霧などで通ることが不可能な罠には石碑が近くにあるので、解除方法が記載されていると思われる。
基本的にタイミングが掴めれば問題ない罠が多いので、問題はないだろう。
階段を降りて、石像から噴出される火を躱していく。
そして、飛んでくる矢を避け、宝箱に拾っていた小石を投げてミミックか罠か確認して進んでいく。
「宝箱は爆発系トラップだけか。」
流石にこんな罠ゾーンでモンスターと戦うなんて鬼畜はないと思いたい。
しかも、どのゲームでも結構強いミミックをこの状況で出すなんてどんなマゾゲーだ。
例えるなら、マ○オやったことない奴が、クリア率0.01%のマリ○○ーカーのコースを初見でクリアするのと同じぐらいの難易度だろう。
「お、石碑だ!」
罠をかいくぐり、ようやく石碑のある場所へたどり着く。
「こ、これは…!」
――読めない!日本語にしてよ!
しかし、今までプレイヤー?に優しいシステムだったのに、ここだけ違うということはだ。
この文字が罠の解除のヒントではなくて、解除方法そのものだとしたら、文字が読めるだけで解除てきてしまうだろう。
つまり、暗号にしたので、それを解けってことになるのかな?
「あれ?これカタカナとアルファベットの大文字が混ざってるだけか。」
よく見ると、五十音順にアルファベット順のループが合わさっている。
「日本のダンジョンだから、日本人向けに用意されたのかな?」
――な、なんて優しいダンジョンだっ!
危ない、惚れるところだった。
僕は一般男子高校生なんだから、ダンジョンコンプレックス?なんて属性はいらない。
「ママーッ!」ならぬ「ダンジョンーッ!」なんて嫌だし、「お兄ちゃん」や「お兄様」ならまだしも、「プレイヤー」や「侵入者」、「盗掘者」、「ハンター」なんて呼ばれても全くこれっぽっちも嬉しくない!
「えっと、カイジョホウホウヲココニシルス、イキヲトメ、ドクギリノナカニハイリ、ゼンテンヲセヨ…」
――うん。なんで前転なんだよっ!
こんな馬鹿な方法なら、確かに石碑を読まないと解けないだろうから、アリかも知れないが…
「スゥ…」
――ゴロンッ!
息を止め、毒霧に入り前転をすると、道を塞いでいた毒霧が消えて、奥に進めるようになった。
「背中が擦れて痛い。」
――マット用意してよ!ダンジョンーッ!
――あ...いや、その、これは、ダンジョンコンプレックスではなくて...。
――......僕はノーマルな一般男子高校生だッ!
このときの僕は、まだダンジョンを楽しむ余裕があった。
しかし、僕は甘く見ていたのだ。
一人で準備もなしにダンジョンに潜ることが、どれほど危険なことかを理解せずに。




